僕を飲み込んだエレベーターは、高速で『処刑場』へと上がって行った。
上がって行く途中で、ガラス越しに外が見えた。
実は結論から言うと、この時が最も心臓の鼓動が激しくなり、息苦しくなった時間だった。
途中でも100メートルくらいはあっただろうか。
高い! 高いって!!
もう充分だから、この辺で勘弁してくれ!
周りには日本人が居なかった事もあり、僕は思わず声に出して言ってしまった。
僕の願いをあざ笑うかのように、エレベーターはグングン残り半分を上っていった。
これからやろうとする人は、ここが一歩手前で考える時間です。
よく己と向き合って下さい。
バンジーの受付は、下だけでなく展望スペースにもありますので、最初は入場券だけにして上まで上がり、展望スペースの受付で、よく考えて決めた方がいいと思います。
展望スペースは上下に分かれてて、上では飛び出す様子、下では落ちて行く様子を見られます。
下の展望スペースでは、床がガラス張りの場所があるので、地面との距離も確かめられます。
普通は、よく考えるまでもなく、ここで思い留まるんでしょうが、アホは上の受付でお会計を済ませます。
馬鹿に付ける薬は無いとは、よく言ったものだ。
馬鹿は飛ばなきゃ 治らない。
僕は後戻り出来ない状況に、自分を追い込みたかったので、下で受付を済ませていた。
それと、これも先に言っておかないといけないのですが、バンジーでどれくらいの人が並んでいるか、確かめた方がいいでしょう。
さあ やるぞ!!
と意を決したのに、待たされる時間が多くては、その気持ちをそがれてしまうからです。
僕は受付でバンジーの意志を伝え、誓約書にサインを書かされた。
たとえ どんな事があっても、こちらは責任は持ちませんよ。
って内容でしょ? どうせ。
そんなのは分かりきってたので、僕は全く読まずにサインをした。
ロッカールームに案内され、黒の専用Tシャツに着替えるように言われた。
実はこれも意味があって、飛ぶ時はポケットの中身を全て出すように言われます。
入場券も持たずに、正に無券状態になります。
そうなると、荷物や着替えは上にあるのに、入場出来ない事態になるので、このTシャツが再入場券代わりになります。
それなら、このTシャツさえ着てれば、翌日もフリーで入れるんじゃない? とアホは思いがちですが、翌日はしっかり別の色になってるので、もちろんそれは出来ませんw
敵もさる者 引っ掻く者
『囚人服』に着替えさせられた僕は、ベルト類で雁字搦め(まあや 「がんじがらめ」ね。)にされ、処刑の時間まで待たされた。
つづく