私たちはいいところで話を切り上げ、テーブルを片付けて席を立ちました。階段を上っていると、ユメちゃんが何やら気にしている様子でした。教室に着いて席につきます。
「ユメ、さっきからどうかした?お腹痛い?」
「あ、ううん、そうじゃないの」
「そう?でも・・・」
「・・・あのね、タイツ、穴あいちゃったみたいなんだ・・・」
「え・・・?」
「ほら・・・」
ユメちゃんは椅子の下からこっそりと私にタイツの足裏を見せてくれました。左足のかかとの部分に小さく穴が開き、素足がのぞいています。
「床の段差に引っ掛けちゃったみたいなの」
「うそお。結構、大きく開いちゃったね・・・」
「うん。後ろから見えそうで、恥ずかしくて・・・」
確かに、これは、見えたら恥ずかしいです。
「どうしよう、リナ?」
どうしようもありません。
「でも・・・。私の靴下履く?」
「それはだめでしょ?リナが裸足になっちゃう」
「うーん・・・」
「ああ、靴下くらい持ってくるんだったなあ。冷たくて、破れちゃうなんて」
「ユメ・・・」
「あ、もう、大丈夫よ。ごめんね、心配かけて。席立たなければいいんだし」
「そっか、そうだよね。もうあと2教科で終わりだし」
「がんばろ!」
「うん」

  午後の教科は眠気との戦いでした。ご飯を食べると眠くなるのです。それに教室の中は暖かく、日差しもあります。なんとかうつらうつら、理科と国語の試験が終わりました。一日、終了です。

「リナ!国語、どうだった?」

「うーん、古文が微妙」

「私は漢文かな」

「じゃ、終わったし、どっかいこっか」

「うん!」

私たちは荷物をまとめて、また冷たく寒い廊下へと足を入れました。一気に体が冷えて、目が覚めます。

「うー、寒い」

「でも、あとちょっと!」

玄関に着くと、私は忘れ物に気づきました。

つづく(11/10一部訂正)