「ごめんねえ、遅くなっちゃって」
ユメちゃんがようやく、トイレから戻ってきました。けっこう混んでいたようです。
「ううん。大丈夫だった?」
「うん。でも、みんなにタイツでトイレ入ったの、ばれちゃった」
「そんなの気にする必要ないよ。いっぱいいるし。上履きない人」
「え、そうなの?なあんだ」
「じゃ、戻ろっか。寒いしね」
「うん。足濡れて、冷たいし」
「私も」
数学の試験が始まりました。あんまり得意じゃないのですが、わからないなどと言ってはいられません。考え考え、足の指を動かし動かししていると、ピーンときました。裸足のおかげです。なんか今日は冴えている気がしました。
数学も無事に終わり、ようやく昼食休憩。1時間とられています。
「ねえねえ、なんか1階に広場があるんだって。みんなでそこで食べようって」
ユメちゃんが言います。
「へえ、そうなんだ。いってみよ!」
もちろん私も賛成して、塾の同じクラスの人と一緒に、階段をおりました。みんな上履きを履いていて、ちょっと恥ずかし。気温は今朝よりだいぶん上がりましたが、床は冷たいままでした。ちょっと湿った靴下がなんとなく気持ち悪い感じがします。
「わあ、きれいだね」
1階の廊下を進んでいくと、学校の中央部が4階まで吹き抜けになっていて、天井から日光が降り注いでいます。そこにおかれた大きな木のモニュメントが輝き、何とも綺麗なのです。あたりには床に座ったりベンチに座ったり、テーブルに座ったりして、みんながご飯を食べています。
「すごいねえ。私たちもたべよ」
「あ、あそこ空いてる」
私たちは端っこに空いているテーブルを見つけて座りました。ちょうど6人、座ることができました。
そこからは世間話や、恋のお話、などなどしていると、あっという間に40分が過ぎました。もう教室に戻らないと、次の教科、社会の試験が始まります。
つづく(11/10一部訂正)