教室に戻ると早速試験開始です。冷え切った足元をすり合わせながら、体を温めます。リスニングに始まり、文法問題、並べ替え、読解、英作文。英語の得意な私にとって、難しくはありませんでした。
「どうだった?英語」
「まあまあかな?」
「さすがリナ!私、全然わかんなかった。最後、なに?あれ?」
「あ、それ、私もわかんなかった」
「そうなの?リナに解けないんなら、誰も解けないね!」
「そんなことないよ、ね、田中君」
私は再び田中君に話しかけてみました。今日で仲良くなりたいと思っていました。
「え?うん、あれはちょっと無理だね。僕もわからなかった」
「え、田中君も!なんか嬉しいね」
ユメちゃんは自然と田中君と話をしています。なんか、羨ましい。席に横に座って、タイツ足を伸ばしているユメちゃん。足の指をくねくねと動かしています。それから足裏を見ました。
「わ、汚れてる」
「どうしたの?」
私が身を乗り出して見てみると、ユメちゃんの黒いタイツの足裏は白っぽくなっていました。意外と床は埃が溜まっているようです。私も気になって、椅子のしたから足裏を見てみました。白いハイソックスの足裏は、かかとがとくに汚れていましたが、それほど真っ黒ではありません。灰色?でもいつもよりは汚れてて・・・。
「わあ、リナも汚れちゃってる」
「うん。やっぱり上履き持ってきた方が良かったね」

「うん、次はちゃんと持ってこよう」
こんな私たちのやり取りをする私たちを、田中君がじっと見つめていたのを、私は知っています。
次は社会科。私はあまり暗記は得意ではありません。何とか絞り出そうとしましたが、うーん、思い出せません。 結局そのまま試験終了!惜しかった!
次は数学。これが終わると昼食休憩です。
「ねえ、もっかい、トイレ行かない?」
「いいよ。もう、靴下のままでいいよね?一回入っちゃってるし」
「私は別に。大丈夫よ」
「じゃ、いこ!借りるのも、迷惑だもんね」
「そうだよねえ」
私たちは今朝同様、靴下とタイツのまま、トイレに入りました。中には誰もいませんでしたが、床は今朝よりも濡れています。きっとみんな、手を洗ったあと水を飛ばして行ったのでしょう、おかげで私の靴下は足の裏全体がじっとりとしてしまいました。冷たい床を歩くと、その冷たさが際立ちます。先に用を足した私は、ユメちゃんをトイレの外で待っていました。目の前を通りゆく同学年の女の子たちの中には、私同様靴を履いていない子も何人かいて、親近感を持てました。その子たちの方も、私の靴下だけの真っ白な足元を見て、ホッとしたような表情をしています。ただやはり、足は寒そう。タイツだけという人も、何人か通って行きました。ただ不思議なのは、男子には、上履きを履いていない人が少ないこと。なんででしょう?どっちかというと、逆のイメージがあるのですけど・・・。

つづく(11/10一部訂正)