「あれ?スリッパがない・・・。」
「このまま入るのかな?」
トイレの前に立って、私たちは困惑していました。私たちの中学校では、トイレは廊下から一段低く作られていて、上履きから専用のスリッパに履き替えなくてはなりませんでした。ですがこの学校のトイレは段差がなく、スリッパもありません。みんな上履きのまま入っているようです。
「どうしよう・・・。」
私たちはためらっていました。靴下のままトイレに入るのは流石に気が引けるのです。廊下は仕方なく歩いていますが、トイレは・・・。
ですが、近くを通る人はおらず、時間も迫っています。
「入ろう、ユメ。集中できないよ。」
「でも・・・。」
私は決意していましたが、ユメちゃんの方はためらっている様子。
「私も一緒に入るから。大丈夫よ。ちょっとくらい。ほら、結構綺麗じゃない。この学校。トイレもきっと掃除してあるよ。」
「リナが一緒なら・・・。」
「うん。」
かくして、私たちは裸足のまま、トイレに足を踏み入れました。廊下と変わらない床ですが、手洗い場のあたりが濡れていたようで、私の靴下はかかとあたりがじんわり。ユメちゃんの方は無事だったようです。それにしても、洗浄機能があったり、便座が暖かかったのには驚きました。この学校に来たいなあと思いました。

つづく