学校からどれほど歩いたのだろうか、すっかり森の奥深くに入ってしまった。かろうじてあたりは見渡せる。道のようなものはなく、人が以前に立ち入った形跡もないような場所だった。
その姿はようやく見ることができた。
真っ白い、半そでのワンピースに、足元は裸足だった。髪は長く、黒くつやがある。後姿しか見えないが、10歳くらいの女の子である。
「あなた、だれ?」
女の子が振り向く。はじめて間近で顔を見た。白く綺麗な肌。整った顔立ち。かわいい。
「・・・・。わたし、アオイ。」
「どうして、私の名前を呼んでたの?」
「・・・・わたし、寂しかったの。学校に、私くらいの子はいっぱい来てくれるのに、私を見ると怖がっちゃって・・・。」
「・・・・。」
「でも、マサミは違った。怖がらずに、私に興味を持ってくれた。だから、一緒に遊ぼうと思ったの。」
「わかった。いっしょに遊ぼ。一人なの?」
「うん。じゃあさ、鬼ごっこ!しよ!」
「よっしゃ!わたし、はしるのとくいだよ。」
「じゃあマサミがおにね。」
それから裸足と白ソックス姿の2人の女の子は、森の中を駆け回った。鬼ごっこしたり、縄跳びしたり、おしゃべりしたり…。どれほど遊んだのだろう。遠くの空がしらみだした。
つづく