翌日も快晴だった。
この日は決められた班ごとにフィールドワークをして終わり。そしていよいよ明日は家に帰る日。その日のうちに帰り仕度をして布団に入る。この日も、みんなすぐに寝入ってしまった。

 ところが草木も眠る丑三つ時、マサミたちの部屋で一人目を覚ます人がいた。マサミだった。
「・・・なに?」
誰かが窓の外から自分の名前を呼ぶ声がした。
「マサミ、マサミ・・・。」
「行かないと・・・。」
その時は全く疑いを持つことなく、とにかくいかないと。そういう思いしかなかった。上は長袖の体操服に、下は半ズボン、白い、くるぶしの上まで来るソックス。何故かその日の夜はマサミは靴下を履いて寝ていた。今思い返しても、理由は分からない。いつもは履かないのに。
 部屋のドアを静かに開ける。しんと静まりかえった校舎内。耳にキーンとくる音がどこかしてくるそして、かすかにマサミを呼ぶ声。。マサミはスリッパを履くことなく、白い靴下のまま廊下を歩き始めた。ぼーっとする。早く行かないと。よたよた体を揺らしながら、ただただ歩いた。
1階の玄関にはもちろん鍵がかかっていた。カタンと鍵をあける。そして靴下のまま外に出た。靴を履こうなど、考えられなかった。
 声がする方へ、ひたすら歩く。靴下は泥だらけ。そんなことも気にせず、ひたすら森の中を歩く。その日は月明かりがあり、懐中電灯なしでも十分辺りは見渡せた。1日目に歩いた道を進むと、折り返し地点にたどり着いた。しかし声はそのさらに奥から聞こえる。道からはずれ、草を掻き分けて進む。半ズボンなので、生足がでている部分に草が当たる。また、靴を履いていないため、地面の感触が痛いほどに伝わってくる。木の根っこ、石・・・。

 体中ドロドロになりながら道なき道を進んだ。声の主はまだ見えない。それでもだんだん近づいてくる。足が痛い。

つづく