山頂ではお弁当を食べる。きれいな空気の中、きれいな景色を見ながらのお弁当は最高だ。いつもの日々を忘れてしまいそうだ。

 昼食を食べると、集合写真を撮り、山頂に立つ風力発電の風車を見学する。真っ白な巨大な物体だ。恐怖を感じる。

 見学を終え、しばらく自由時間をとると、下山する。マサミはまたあの謎の生き物に出会うのではないかと、気が気ではなかった。

 やはり、その生物は現れた。下山する間、 マサミの視界に時々入ってくる。森の木々の間からちらちらと見える人影。昨日から比べると、近づいているように見えた。マサミと同い年くらいの女の子で、白いワンピースを着ているようだった。髪は黒く、長い。あんなところに、人が、しかもこどもが、いるはずがない。得たいの知れないものを見ているのにも関わらず、不思議と恐怖感は抱かなかった。マサミ以外の子達も、数人は気づいた人がいて、ひそひそと話していた。それでもやはり先生には、見えないようだった。

 下山して、学校に着いた頃には日がだいぶん傾き、夕方の空をしていた。時刻は午後4時35分。これから夕食の始まる6時までは自由に過ごしていい。しかし誰もが疲れきっており、遊ぶ気にはなれなさそうだった。マサミたちもすぐに部屋に戻り、ゆっくり疲れをとっていた。

 夕食を終えると、星空観察。学校の3階、大きな天体望遠鏡のかる部屋にクラスごとに集まる。時刻は午後8時。マサミたちも、普段の生活では見られない、満天の星空に酔いしれた。望遠鏡では土星の観察、月の表面の観察もできた。素晴らしい体験だ。また、初日では話があまり上手ではなかった所長さんも、この時はたいへん上手い説明をしてくれた。以外だった。

 観察も終わると、9時を過ぎ、就寝。登山の疲れからだろうか、その夜は誰もがすぐに眠りについた…。

つづく