あわててフミについていく。少し距離をとって後ろを歩く。フミが歩くときに足裏が見えるが、ほこりなどが付き黒く汚れてしまっていた。それでもフミは全く気にせず、友達と楽しそうにしゃべりながら廊下を歩く。とても興奮した。ここまでしてくれたのは初めて。こんなことまでしてくれる女の子に出会ったのも初めて。フミ、ありがとう!と心のなかで感謝する。
理科室は床が古く、埃っぽい。以前掃除したことがあるが、毎日多量の埃や砂といったゴミが集まった。フミはもちろんそんなことはお構い無く、裸足でずかずかと理科室に入った。
理科室は4人ごとに座るテーブルが並んでいて、4人一班で実験をする。ここでは僕はフミと遠く離れた。ここまで運は良くないか。
今日は少し先生が話して、花粉を顕微鏡で観察する。顕微鏡はすでにテーブルに置いてあったが、花粉は理科準備室にとりにいかなくてはならない。班で一人だが、僕の班は誰も行きたがらないからいつも僕がいくはめになる。まあ、いいけど。理科準備室で順番待ちをしていると、後ろにヒタヒタと足音が。まさか…、と思ってちらりと下を見ると、裸足の足があった。少し黒く汚れていた。どき!とした。話すことはできず、ただチラチラと足を見ながら、並んでいた。待っている間じゅう足の指がうにうに動いていて、また興奮した。先生からシャーレに入った椿の花を受け取り、席に戻る。ああ、同じ班になりたかったなあ。
観察が終わる頃には授業も終わった。教室に戻る。またフミの後を怪しまれない程度に着いていく。足の裏、さっきよりだいぶん汚れが濃くなった。さすが理科室!
5時間目が終わると今日の授業は終わり。帰りの会が始まったが、フミの靴下は無造作に机の横に置かれたまま、フミの上履きは靴箱で待機中。結局フミは今日一日上履きを履かず、途中からは靴下も脱ぎ、完全に裸足だった。久し振りに萌えた。
会が終わり、生徒は教室を出ていく。僕はいつもなら速攻家に帰るのだが、今日だけはフミがどうするか最後まで見たい。
帰りの会が終わると、フミは友達と席に着いたまま話し出した。僕は自分の席でなんかする振りをしながらフミを観察していた。
汚れた足の裏がよく見える。よくこんなに汚したなあ。
少しすると、フミたちが席を立った。帰るようだ。どうするのか。こうした。
席を立ったフミは、自分の席の周りをきれいに片付け、バッグを持ち、靴下を、ポケットに押し込んで、そのまま教室を出ていった!あ…、見とれていて、あわてて教室を出る。怪しまれないかな?でも少しは大丈夫…。裸足のまま階段を下るフミ。そのまま靴箱まで来た。そして自分のから真っ白なスニーカーを取り出し…、裸足で履いた!そしてそのままさようなら。
しばらくその場に立ちすくんでいた。いろんな感情が混ざって。誰かがぶつかって我を取り戻した。ああ、危なかった。まさかそのまま履いて帰るとは…。
フミがますます気になるようになった。
1部終わり