2日目の朝。宿の窓には小さな白いものがたくさん舞い下りてくるのが見えました。
雪だろうと思ったのですが、家内は温泉に行っていて、だれもそばにいません。確かにベランダに舞い降りて溶けたので雪だ思うのです。
さて朝食後、「モネの庭」へ向けて出発。国道493号を高知方向にもどる感じで、時間にして30分弱。
「モネの庭」とはフランスの画家モネの自宅の庭のこと。彼は自分の庭を愛して、たくさんの絵にしました。
彼は当初は写実的な画風でしたが、ルノワールとも交友があり、そのうちに影響を受けて印象派といわれる画風に変わっていきました。
一方で山あいの北川村。当時はこれといって産業もなく、どうにかしないとこの村は埋没してしまうと人々は心配していました。柚子を使ったジャム、マーマレードなどはどうかという意見も当然あったようですが、同じようなことをしている自治体も全国にあるけど、パッとしません。
村のどなたかが、人をたくさん呼べるような施設はどうかと意見を出しました。
それではとフランスの美術に詳しかったどなたかがいたのでしょう、モネの庭を村内に作ってはどうだろう。いろいろ協議してやってみようということに。
当初フランスまで出かけて、向こうの美術家、庭園家のかたに直談判するも断わられてしまいました。地方の村の財政から考えると渡航費用だけでもバカになりません。しかし粘り強く依頼した結果、指導を引き受けてくれることに。
そして実際に村まで来ていただいて具体的な指導もしていただき、開園となったそうです。
村としては大きなギャンブルだったと思います。
庭園内はあちこちが、フランスの景色を模して、作られています。
今回の旅行は、少し時期が早く、まだまだ花が咲いていません。
この池も、季節がよければ睡蓮が美しく咲いているはずです。うーん残念。
チューリップ。花はまだひらいていませんが、この時期に見れることはありがたいことです。
園内では、植物の世話をしている人や、レストラン、売店で働くスタッフの方々がいます。ある程度の雇用が確保できているのでしょう。若い人はほとんど村内に残らないとおっしゃってました。
園内の奥を散策すると、「風の丘」の案内板が。
大宰府が一望できると書いてあります。こんなところから九州が見えるのか。よくよく見ると「太平洋が」でした。
太平洋が見えました。この海を眺めて、勝海舟や坂本竜馬が「いつまでも武家にまかせとったら、日本は遅れてしまうぜよ」と呟いたのかもしれません。
庭園のきれいなレストランで、野菜とパンの昼食を取りました。次の朝ドラで「あんぱん」がはじまります。やなせたかしさんのドラマかな。これで全国からどっと高知に人が押し寄せてくれたら、そしてこの庭園まで足を運んでくれたら、どれほどうれしいことでしょう。
そうそう園内では結構女性の一人旅の方をみました。最近増えているようですね。よくよく考えると60代の女性は若いころバブルに狂奔した世代。60代になり何かをしたくて、動きたくてうずうずしている方も多いような気がします。ご存じですか、ジュリアナ。
これからいい季節になります。チャンスがあれば、ぜひ「モネの庭」に足を運んでみてください。
さて今度は西に向かって高知城へ移動。結構な移動距離です。
途中で車を停めて海を見ることに。
「気持ちのよかぜよ」九州弁と土佐弁がまじってますか。土佐では「よか」は使わなかったかな。
これは道路沿い、あちこちで見た避難タワー。
想定される南海トラフ大地震、津波に備えてのもの。よくよく見ると海岸沿いにも民家がまだあります。
いざという時に昇るのでしょう。高さ10m、15mかな。
高知は約100年おきの間隔で、地震は起きているようです。とにかく準備できることはやっておくに越したことはないのでしょうね。
高知城到着。約30年前に来たことがありますが、今回は天守閣の中まで入りました。
下は天守閣へ続く、裏からの入り口。
最上階の部屋から、東を眺むる。
なんだか足がすくみます。このお城も結構前に再建されたものだそうです。
お城の城壁、建物の壁に発砲用の窓や敵方撃退の施設が施してあったようです。お殿様(山内一豊)はこんな建物の中でゆっくり生活できたのでしょうか。
常時いくさのことを考えた状態は、精神衛生上よくないと思いますが。私なら無理。
さて、高知城そばの「ひろめ市場」に歩いていきました。
ここは分かりやすく言えばフードコート。兎に角広い。店が多い。
まずは席を確保しなさいと。
そしてお好きな店で注文したら、無線の機械がブルブル鳴って取りにいきます。
各店、メニューはよく似ています。カツオのたたき、ウツボのから揚げ、クジラの刺身などの料理、まだまだ他にもたくさんあります。日本酒は司牡丹、土佐鶴、酔鯨など。
入ったら「司食堂」が目に入りました。このお店大阪梅田のグランドビルかどこかにも開店しています。家内が言うには私も行ったことがあるそうです。
縁があるのでここにしました。よくよく店の説明をみたら、こういった店舗展開のごく初期に開業した歴史のあるお見せだそうです。
回りをみると他にもお店は数十店規模で営業しています。
フードコートでは、高校生のグループやら、関係がよくわからない男女のふたり連れ、サラリーマン。毎日来てそうなチューハイ好きの一人客のおばちゃん。楽しいですね。
カツオのたたきを中心に何点か頼んで、残念ながらノンアルコールを飲みました。
もうすぐレンタカーの返却時間が迫ってきています。ガソリンも満タンにしなければなりません。
腰を上げて空港へ。
やれやれレンタカーを返して、空港でひと息。お土産に「酔鯨」と小瓶で「亀泉」を買いました。
家内は今回初めてでしたが、次はひとりでゆっくり来ようかなと言ってます。
帰ったらアンプを作りたいなと、ときどき考えていました。