オークションでアンプの出品を見ていると、「ガリがあってジャンクです」とか、質問で「ガリはありませんか」とか、ガリはよろしくない現象の最たるものになっています。
ガリの発生してからの対策はいくつかあります。
1.何度も接点を入り切りさせて、導通を復活させる。
2.アルコール、接点復活剤で洗浄し復活させる。
この2点に集約されると思います。
ガリの発生モードを考えますと、接点を切り替える途中、あるいは切り替え後に、一時的に接触が取れなくなり、また接触が復活するということになると思います。
では接触不良を発生させている原因は何かを考えますと、接点表面に非導体の物質が付着するからです。当たり前のことですが。
この非導体物質は何だろうという話になります。考えられる物質は
1.接点部の金属に発生するサビ
2.外部から接点部に付着する異物
この2点に集約されると思います。
これらが発生および付着するモードを考えますと、①サビは金属と酸素(水分中に含まれる)の結合により発生します。
②異物は空気中の小さな埃(粉状のダスト)が考えられます。もうひとつ言えば③油も考えられます。ロータリースイッチや可変抵抗器の回転部分には必ず潤滑用に油が使われています。これらが移動して接点部に転移することもあるでしょう。
③の油はガリ発生後の拭き取り、洗浄での対応となります。
①②の付着モードを考えます。結論から言えば、空気中の水分が原因です。②の埃は接点部に付着し、放っておくと水分を吸収し糊状、あるいはペースト状になります。さらにそのまま放っておくと、今度は乾燥して固くなり、接点部に固着します。何年間も放っておくと最後は、固い絶縁物層が形成され、ひどいときには接触が確保できなくなります。
オークションに出てくる、中古のアンプは、何年間も物入れ、あるいは外部倉庫にほったらかしのものもあり、こういった状態のものが多いのだろうと思われます。
予防を考えます。アンプはずっと使用し続けて湿度の高くない、温度変化の少ない環境下に置いておくことが重要です。要は人の生活環境下です。それほど難しくない予防です。
逆を考えますと、湿度が高い、温度変化が激しい、とくに屋外とほとんど変わらない状態の物入、倉庫、建物に大事な機器は置かないことです。
接点部だけならまだしも、トランスは巻線間の絶縁に紙を巻いていますが、これが吸湿すると、使用時にシューッと焼けて巻線間がショートしてしまうことがあります。小電力用のトランスならそのまま使えますが、パワーアンプ用の大電力トランスの場合はショートしてしまうと、負荷をかけても所定の電圧まで上がらなくなります。
くれぐれも湿気、水分にはご注意ください。