今回の1625アンプでややうまくない点があります。

右チャンネルが、電源部に近い方ですが、残留ノイズが左に比べて大きいのです。

 

左0.2mVに対して0.9mVあります。実用上は問題のない値だと思いますが、原因を想定して低減化を試してみました。

 

半田付けがうまくなく、例えばアース母線やラグ端子にリード線を簡単に接触させたままで半田を乗せて、導体同志が完全に導通せずに半田の中を信号が流れる状態になっていないか。

 

これが一番有力なトラブル原因だと考えて、半田付け部分をもう一度チェック、やり直しをしました。結果は何も改善されませんでした。

 

 再度原因想定のやり直し。

 

アンプを眺めて考えたのは、デザインを決めるときに、後ろに並んだOPTが2個、PTが1個の並び方。

 

この3個の間隔を同じにして、均等にレイアウトしたのですが、どうやらPTと真ん中のOPTが近かったようです。PT長辺側からの漏洩磁束が、OPTに影響を与えているようです。

 

特性を優先するなら、真ん中のOPTはもう少し左に寄せた配置にすべきだったと思います。

見た目は、気づく方にはアンバランスなデザインに映るかもしれません。

 

物理学的には、熱や電荷、磁束などは、距離の2乗に反比例します。分かりやすく言えば、離せば離すほど影響が小さくなるということです。

デザインを優先したら、特性に少し影響が出てしまったという事例です。

 

思い出せば、過去習作しようとして、そのままでは完成できなかった、伊藤喜多男氏のEL34PPアンプ(ステレオサウンド誌 別冊:サウンドボーイに寄稿)もそうでした。

 記事の中で伊藤氏が「デザインを優先したことにより、少し不具合が発生しました」と述べた、配線引き回しの失敗を思い出します。枝ぶりの美しさを追及する中で、位相反転段のグリッド回路を出力段の方まで、長々と引き回してしまった件です。

 

デザインを決めるときも、その背景に存在する、物理的要因を忘れてはならない、ということを肝に銘じておくことを痛感しました。

 

今回はこの山水のPTが磁気シールドなしの仕様だったことを、認識していなかったことが原因でした。