私には何年か周期でアンプに使う球がある。

 

807と6BM8だ。

 

807はトッププレートで見かけが野暮ったく人気がない。ネット市場でも中古で1本、1000円から2000円程度で入手できた。

 

現在はわからない。

 

以前は見かけるとどんどん集めていた。この球は大型管だし、プレートから金属キャップが外に出ていて長さもある。

 

 なので数が集まると嵩張ってしまう。我が家はそんなに大きくないし、それほど収納スペースがない。押し入れ、天袋、物入のうち、半分はレコードや球、トランスが入っている。

 

何とかしろ、減らせと指示が出る。もう子供二人も出て行ったので、それほど言われることもなくなったが、球が数百本くらい(数えたことがないので正確な数は不明)入っている物入れがそろそろ、扉を閉めるのがむずかしくなりつつある。

 

そんな状況もあり、3年から4年に一度は807のアンプを作っている。そうしないと吐けないのだ。

 

今回もその時期がめぐってきた。807の従弟にあたる1625という球でアンプを作らなければならない。もちろん自分では使用しない。売りに出す予定だ。

 

 

この球は根強い人気がある。昔の米国のオーディオ用のアンプにも使われていた。

通常は送信管として使われていたものだ。

 

音が柔らかい。結構大きな出力は出せるが、音はエッジが立ってなくて聴きやすいのだ。

1625はヒーターとソケットが807と違う。12.6V/0.45AでソケットはなんていうのだろうラージUTとでもいうのかな。807の5本足UYと異なっている。あとの特性は同一。

 

 

 

レトロな球にはレトロなトランスで行こう。この電源トランスとチョークコイルはもう50年程度前のサンスイ製だ。でも現役復帰には何の心配もない。人間もこうだといいけど。

 

電源トランスのPH-88は高圧側は500Vが出ている。これをチョークインプットで使うと400V程度のB電圧が取れると思う。ちょうど具合がいい。

 

そういえばチョークコイルのことをチョークトランスと呼ぶ人がたくさんいるが、これは正確に言えば正しくない。戦後から使われた和製英語だ。正しくはチョークコイル。日本語では塞流線輪(そくりゅうせんりん)。トランスはトランスフォーマーで変成器だ。二次側に磁気誘導で電圧を発生(変成)させるもの。チョークは通常単巻きで変成機能を持たないのでトランスではない。

 昔の人は、鉄心に巻線が巻いてあればみんなトランスと呼んだようだ。ひと頃、タンゴのチョークにも「CHOKE TRANS」という文字が印刷されていた。平田社長は戦後の呼び方に愛着を持たれていたのだろう。

 当然、外国人にはチョークトランスは通じない。プロ野球のナイターがナイトゲームに変わったように、チョークも変わらないだろうか。世間にあまり見向きされていない球アンプのことだから、もうどうでもいいことかも知れない。

 

さてサンスイのやはり古いチョークコイルC907。これをチョークインプットで使おう。電源トランスとおそろいの金色のプレートがなんとも言えず味がある。これをもっとピカピカにして使おう。

 

出力トランスはカナダ・ハモンド社の大型1650R。楽に100W出せるもの。音は米国サウンドそのもの。見栄えがさえなくて古いのでやはり時々ネットオークションで安く出品されている。絶縁塗料がこってり塗ってあり、こそぎ落して塗装しようと思う。

 

固定バイアスAB級で30W前後かな。とにかく部品を使って、家から出て行ってもらわなければならない。1625も4クアッドくらい手持ちがある。

 

ということで次は1625アンプ。1625でないと、レトロなトランスたちも出番がないだろう。

 

 

現在、ヤフオクで6L6Gアンプを出品中で、落札されて小遣いが入ったら、またトランスでも買おうかな。

 

でもこれじゃ無意味だ。