実は、3月の初めの頃に、6L6Gアンプのシャーシ加工の記事を書いていましたので、それを①とします。なので番号を変更しました。

今回はシリーズ4回目です。

 

回路図は下のようになります。出力管はAB1級、Vp360Vの自己バイアス動作事例が規格表にありましたので、これに習います。

 

私は面倒くさがりやなので、球の特性を1本ずつ測定したり、動作曲線を描きません。規格表のとおりに作ることが多いのです。

 それに従うと、MAXで片側24.5Wの出力になるそうです。これは理論値で18W前後だろうと想像します。

いつも悩むのはデカップリング回路の電圧配分です。丸印で加工んでいる抵抗2か所。この値を調整して電圧を決めます。

 

 トランスの高圧二次側が270Vなので、ブリッジ整流すると1.4倍で378V程度が出てくると思います。

アイドリング状態では、出力管2本で88mA、初段・前段で7mA程度なので片側95mA。両チャンネルで190mAとなります。チョークコイルの直流抵抗(10Ω程度)から判断すると、ここの電圧降下はオームの法則から2V程度です。

 

 よってB電圧は376Vと踏んでいます。出力管のバイアス抵抗は250Ωで、これに88mAが流れますから、カソードの電位は22Vです。よって実行プレート電圧は375V-22V=354Vとなります。これで規格表にある動作条件にほぼ等しくなります。

 

 スクリーングリッド電圧は、6L6 の規格は270Vまでしかかけてはいけないことになっています。ここはB電圧から100V・5Wのチェナーダイオードで電圧を落とします。354-100=254V となります。

 

 大型規格の6L6GCはここに450V程度かけても大丈夫なのです。随分違うものですね。同じヒーター電流0.9Aで6L6GCは50W出せるのですからとても優秀であることが分かります。ちなみにEL34のヒーター電流は1.5Aなのです。

 

 このように事前に電圧配分を計算するのですが、そんなに大きく外れることはありません。

 

次が出力段の実態配線のポンチ絵。 アース母線を張ります。母線式はパーツを手頃なところでアースに落とせるので利便性はいいです。残留ノイズも低くできます。どれが母線だか分かりますか。汚い絵ですみません。

 

 

 

次が初段、位相反転段です。3回推敲しました。だだっ広いシャーシに組めば、苦労しないのですが、カッコいいデザインにしようと思えば、コンパクトにしなければなりません。それにより、このあたりの配線が込み合うのです。ラグ端子をどこにどう持ってくればよいか、どの端子に何を配置すれば無理なく実装できるかを考えます。これもパズルのようで楽しい作業です。

 実際に配線しながら変更することももちろんあります。左右の6CG7で、内部の2つのユニットの位相が逆になっています。やや複雑なのですが、マランツ7のコピーを作った経験からすれば、それほどでもありません。

 

 

 

最後に電源部。AC100Vの一次側やヒーター配線は省略。ここではダイオードの集団をどこに配置するか、B電圧用の高圧コンデンサをどこに持ってくるかがポイントです。ダイオードは電源トランの1個のネジとラグ端子を友締めしてそこに持ってくることにしました。

1点アースは電源トランスの別のネジのところにします。通常もそうしています。

 ブリッジをでてすぐのコンデンサは、米国製の円筒形のブロック型を使います。チョークを出てすぐのB電圧部分には国産の小型のコンデンサを。

更に下の写真をご覧ください。今やこの長さ3センチ足らずの国産のコンデンサが使えるのです。本当はこの小型コンデンサを2個でよかったのですが、大きなブロックコンデンサがシャーシ上にないと寂しいという向きもありますので、あえて大きいものも使いました。

 

 

このコンデンサのツメ型リードは間隔が10㎜で、ラグ端子には持ってこいなのです。

 

そして次は配線作業に移ります。

 

また報告しますね。