本日19日の朝方3時間で入力回りを配線しました。
これで終了かと思ったら、パイロットランプへの配線が残っていました。それを終えるとどうやら、すべての配線が終ったようです。
次に針が振れるテスターを導通確認に使用して、スイッチをあちこち切り替えながら、接続をチェックしました。
各アースポイントもチェック。
最後にもう一度、電源部のコンデンサの+とアースの間の抵抗を測り、徐々に無限大の方へ動いていくのを確認。
いよいよ電源をONにしてB電圧をみます。280Vなければならないところが255Vでした。抵抗を取り替えて280Vに調整。
他の電圧はほぼOK。このとき気になる、残留ノイズを出力端で測ると、左右とも1mV以下で嬉しくなりました。発振もアース不良も無いようです。
ここからは波形を入れて監視します。ライン入力から左に1KHzの正弦波、右に矩形波を入力すると出力波形に問題はありません。左右違う波形を入れるとMODE機能が確認しやすくなります。
更に、トーンコントロール、フィルター回路などのアクセサリー回路を動かし、波形が正しく変化するかを見て、問題はありませんでした。
次のステップでシステム内につないでみました。どんな音がするのでしょう。
まずCDを掛けてみました。いつも聴いている、チャーリー・ヘイデンのライブのもの。録音がいいのです。
いきなり大きな音がしたので、背面のレベルセットVRを絞りました。このプリは結構ゲインが高いのですね。もういちど聴き直しです。
おお、想像どおりの突き抜けた音です。情報量が多い。やや硬いというかキツイ印象。聴いているうちにこなれてくるでしょうか。
シンバルの余韻などがよく聴こえます。バスドラはドスドスと重いですね。切り替える前に聴いていたCR型SRPPプリとは好対照です。
ここでアクセサリー回路を試すべく、スイッチ類を動かすとバチッと音が出ます。怖い怖い。何度も動かして接点を慣らすと消えていきました。これも不思議です。
次はレコードです。最近引っ張り出して聴いている、ウィントン・マーサリスのデビュー盤。
レコード自体の録音特性なのでしょうか。80年代当初のものなのでハイファイ録音なのですが、ややレンジが狭いような。それでも各楽器は明瞭に鳴ります。レコードもきつさや硬さを感じるのかなと想像していましたが、トランペットなどは音に丸みを感じます。
これがマランツ7本来の音とは言いませんが、傾向は同じなのでしょう。
思えば、他のCR型やクオード型のイコライザは回路を考えながら結果的にあの音に行き着いた、と想像されるのですが、マランツ7はどうやら初めからこの音を出すために、回路を何度も試行錯誤したように思うのです。
真空管というデバイスでここまでの音を出した、ソウル・B・マランツ氏は天才なのでしょう。
今回は回路と実装形態を比較しながら、自分なりに考えて、ひとつひとつ確認していきましたが、その作業を通してマランツ氏の試行錯誤の結果が見て取れます。右チャンネルのイコライザ部のみ単独のアース母線で構成したり、イコライザの入力部のグリッドリーク抵抗を左右で違ところに配置したり、他にも切ったり、つないだりして、細工をした跡が見られます。おそらく発振と闘ったのでしょう。格闘した形跡をそのまま残して量産移行したのもなんだか興味深いのです。
私はアンプは必ず1点アース(シャーシへ落とすアースポイントは1か所)を守ってきました。そうすることが完成への近道だから。しかしながらマランツ7は26点アースなのです。オリジナルを細かく探せばもっと多いかもしれません。何がどうなっているのか、よくわからないのです。
今回は自分でも嫌になるくらいの作業量でした。何度も実態図を書きながら、回路との整合を確認しました。結果トラブルなく動作しましたが、その努力が報われたものと思われます。
何しろこのプリもケースから作りましたし、足掛け3年です。思い切って再チャレンジしてよかったと思います。
今回の完成でうれしかったのは、オリジナルのレバースイッチが入手できずに、国産の水平移動のレバースイッチを代用したのですが、その実装方法の変更が成功したことです。この実態配線図は今後も利用できますし、私自身の財産になると思っています。
先輩のKさんが20数台のマランツ7のコピーを製作された気持ちが分かってきました。魅力があるのです。この小さな片手で持ち上げられるプリアンプが、すごいポテンシャルを持っていること。それを自分で完成させるということの意味です。
私も少しアレンジして、またこのプリのコピーを作りたくなりました。
しばらくのあいだ、過去に製作したプリアンプたちと、マランツ7コピーの比較をしてみます。エージングも必要でしょうし、少し改良したいところもあります。
現時点でどの回路のプリが最高なのかは自分でもわかりません。また報告します。
今回はお付き合い、ありがとうございました。
追記:このプリアンプのために、部品や資料を提供してくださったAnalog-Unlimited さん、部品や回路の情報を提供いただいたKさんに心から感謝いたします。