このごろオペラ付く次男を誘って、映画館で初のライブ上映されるバイロイト音楽祭タンホイザーを見にいきました。
我が家にはなぜか昔からタンホイザーのフルスコアがあり、それを見ながらお勉強をした次男君。ついでに少し前のバイロイト音楽祭のタンホイザー、ヴォルフガングワーグナー演出のDVDも買って上映に備えます。
今年でこの演出でのタンホイザーは最後になるということを小耳にはさみ、賛否両論(いや批判の方が多い)この演出を見ておくのも悪くないかなぁ、と少々期待して行きました。
私たちがいつも行く映画館。チケットは普通の映画のものと変わりませんが、入り口にはまぁシャンペンとオレンジジュース、そして少しつまむものなどが無料で提供されています。
ちなみにお値段は一人30ユーロ。安くありませんけれど、バイロイトへ行くことを考えたら・・・。
今回興味深かったのが、始まる前と、各休憩中に行われた映画館鑑賞している人向けへのオペラ紹介番組。進行・解説者のとなりにテノールのフォークトが付き添って、いろいろと今回のタンホイザー裏を披露。
この”変な”タンホイザー演出をしたバウムガルテン氏とのインタビューもあったり、衣装やメイクアップ、舞台装置を扱う裏方さんのなども登場で、全体的になかなか楽しめました。
第一幕でヴィーナス城で出てくる”着ぐるみ”。いろいろなところでは”精子”だ、と言われていましたが、実はあれは衣装さんに言わせると、”おたまじゃくし”なんだそうで・・・(あんまり変わらないけれどね)。 あれを作るのに適した布を探すのに苦労して、最後には海上で使われるものを見つけ出したとか・・・。
第二幕で血みどろになるエリザベート。その血を本物に見せるだけでなく、衣装についた血が綺麗に落ちるような配合にしないといけなかった研究、二幕が終わったらすぐに洗濯にかけられて綺麗にしないといけないことの苦労話。
なによりも舞台が上から下まで鉄柱で組まれたものですから、それを組むだけでも一苦労。
なんと25mのほど標高差?!があるそうですから、上で歌う人は高所恐怖症ではいけませんね・・・。
そして肝心な演出家のバウムガルテンさんの話・・・・、彼の抽象的なドイツ語が理解出来なかったとしておきましょう。とにかくこれはファンタジーなんだから、ありえないことをありえない風に表現するのは普通、みたいなことを言っていたような・・・。
第一幕はでも、どの演出のものを見ても結構過激なセックスシーンダンスがあるので、なんとなくは構えていたのですが、うわぁ、ヴィーナスが妊婦だ!今回はダンサーでなく、ヴィーナスとタンホイザーの濡れ場?!シーンがしっかり(爆。 なぜか彼女はとってもコミカル、おちゃらけで陽気です。タンホイザーは口だけのうわっつら男。真面目に生きてないよね、この人、というのがこの演出ではっきり分かります。いつでもへらへら、ニカニカ・・・。
そうなのよねぇ、オペラの内容からしたらタンホイザーは、ハーレムに飽きちゃったから足洗いたいんだぁ、なんてものすごく勝手な奴なんですよね。
しかし、タンホイザーを歌うトルステン・ケアル、映画館で聞いたからかなんなのか、カンカン、キンキン、私好みではありませんでした。あんまり彼の歌が続くとなぜか頭痛が・・・。
体系これで、この声かぁ・・・・。鼻声がもっと鼻詰まったみたい。
まぁいいや、とにかく舞台の続きです。
ここから出してくれ、と訴えるタンホイザーに、例の”おたまじゃくし”着ぐるみが寄ってきて囲い込み、彼を押しつぶそうとしてます。うーーーん、これいらないよね・・・。苦笑です。
ヴィーナスの牢獄からようやく開放されて出てきたところは、ガス工場。
どっかのぼくちゃん(本当は羊飼いの少年)役のKatja Stuber。声も演技も安定していて、それでいて若々しい声。デビューが2011年のとってもフレッシュなソプラノで次男君も感動。
持っているDVDはボーイソプラノ。子供のきれいな声がいいのですが、でも若いソプラノが歌うとまた違いますね。モーツアルトのフィガロでスザンナ役なんてよさそう。
騎士団登場のなかで一番気に入ったのが、なによりヘルマン領主を歌った韓国人Kwangchul Youn。うぉぉ、この低音といい、音量といい、音程の確かさといい、最高じゃないの。それになにより顔が好みだわ~。それを聞いた次男君、横で『ママ好きだねぇ、映画『赤壁』に出てきそうな雰囲気の人だよね』と呆れ顔でした。(爆 三国志に出てきそうな、アジアンなおじちゃんは昔から好なのよねぇ・・・。違う、違う、ここはタンホイザー。
タンホイザーを見つけた旧騎士仲間たち。
帰ってこいよ、とタンホイザーを無理やりに誘えば、いや、僕は帰るつもりないんだけれど・・・・、困ったなぁ、と頭をぽりぽり。
でもさぁ、ほら、あのエリザベートが待ってるぜ、とヴォルフラムに言われちゃぁ、
あぁ、あのかわいいエリザベートか、そういえばいたよね、そんな子。そこまで言うならちょっと帰ってみようかなぁ・・・。
と、かなり軽い調子のタンホイザーがここでも演出から見て取れます。
場が変わってエリザベート登場。
彼女はいいですね。演出が変でも、上手な歌声にはぴぴっと反応。
Camilla Nylund、2011年からここで毎年エリザベート歌っているそうですが、ご本人インタビューでは、この円熟したエリザベートを聞いていただけると思います、ということでした。そしてまさにその通り。見て聞いて納得です。
白無垢処女のエリザベートも所詮、”女”には代わりありません。
セクシーにタンホイザーに迫られちゃったら、やっぱりねぇ・・・。
なんとなくタンホイザーにからまれて、ちょっとうれしい気分。
そんな場面にエリザベートのおじさま、ヘルマン領主登場。ちょっと怪しげな雰囲気を察して、そろそろ姪っ子もお年頃。タンホイザーも帰ってきたことだし、今度の歌会でいい奴を自分で決めて結婚しろよ!と半ば強制的な態度です。(普通の演出だと”やさしいおじさま”なんだけれど。)
エリザベート半分困っちゃってます。だって、相手はタンホイザーだけなんだけど・・・。
さて歌会に続々と人が集まってきます。お、そこには妊婦のヴィーナスがタンホイザーに付き添って登場し、円卓の外でにやにや笑いながら座ります。時折、タンホイザーが彼女のところへ行って、いちゃらいちゃら・・・。それを見たエリザベートが半分呆れ、怒り・・・。
でもやっぱりセクシーに迫ってくるタンホイザーの歌を聞くと気持ちはトロトロに溶けちゃいそうです。プラトニックラブな歌を歌う他のあっさり系男たちより、やっぱりテストステロンをガンガン感じちゃう方がいいわ、となりますが・・・。でもまさかねぇ、ハーレム・ヴィーナス城にいたとはさすがの彼女も思いもよらず・・・。
タンホイザーが最後に、未経験な奴はヴィーナス城へ行け!と歌ったところで、ヴィーナスと一緒にワルツを踊り出す・・・。
まわりは飽きれてしまいます。奴を殺せ~、ここから追い出せ~。
それを聞いてエリザベートが叫び、みんなの前で自暴自棄に走り、精神異常に陥ります。ナイフを持って自分の手を差し血みどろになり、おじさまにお慈悲を、救いを求めて第二幕終了。
歌会はやっぱり見どころ。でもヴォルフラムを歌ったMarkus Eiche,声質はどう聞いてもマイスタージンガーのベックメッサーがよさそう・・・。ちょっとこの役には軽すぎる気がします。
第三幕に入る直前、まったくクコアーには記載されていない関係のない、教会でのメッセ場面が登場。みんなで最後にアーメン、で舞台から去ったところで、観客からブーイング。『オペラと何の関係もないじゃないか!』と野次が飛びますが、私にはこの場面はローマに到着し、無事に懺悔を受け入れられた巡礼の人々の落ち着いた教会での場面かなぁ・・・、などと想像します。だって、三幕はタンホイザーがローマでの懺悔を受け入れられずに帰ってきたところから始まるんですから・・・。
その三幕、ヴォルフラムがエリザベートに近寄りますが、きっぱりと拒否。
そこで巡礼者帰還の華々しい?コーラス・・・・。あら、皆様手には雑巾をもってそこいら中を綺麗に拭き回ってます。バケツを持っている人もいるとなるとここはどこ?
巡礼者が去った後、ヴォルフラムが戸に両手ついて大笑い!
『はっはっは、奴は帰ってこなかったぞぉ!ほれみたことか、ざまあみろ!』とでもいいたそう。
それを見たエリザベートは嫌悪感を示して、神に願いを乞います。
そして、なんとガス釜へ入って行きました・・・・。
ここで有名なヴォルフラムの夕星の歌アリアです。
おやぁ、なんと妊婦のヴィーナスがここでも登場。片手に長いペロペロキャンディーを持ってとってもにこやか、能天気です。ヴォルフラムはその彼女に向かって夕星の歌を歌います。
星よ、彼女(エリザベート)が道に迷わないために彼女の道を明るく照らしてくれ!
ここでの星はヴィーナスなんですねぇ。
そんな歌を歌われたヴィーナス、え?私?そんなぁ、困っちゃうじゃないのぉ、という表情。
うーーん、この解釈・・・。 キラキラいつも元気に輝くヴィーナス、彼女のためになっておくれよ、となるのでしょうか・・・。その途中、ガス釜のドアからエリザベートの手だけが出て横たわります。
ここで私はいつもこの歌で感動するんですけど・・・、なんかここでもヴォルフラムの声が軽すぎてだめだわ。
そうこうするうちにぼろぼろタンホイザー登場。ローマ語りアリアです。
これはなかなか情熱的。ヴォルフラムは偽善者になって、僕は君の友達なんだから、なんでも聞いてやるぜ、なんて口だけ。アリアの最中、体に虫唾がはしるのか、こんな話聞いちゃいらんないよ、と体や頭をぼりぼり、ぽりぽりひっかき通し。
ヴィーナス城の道を教えろよ、と言われてもねぇ・・・。
と、ここでお城の檻が下から登場・・・。ヴォルフラムも誘われるように入って行きますが、ようやくここで、彼も我に返り、いい加減にしろよ!エリザベートを思いだせ!!とカツ!!
(この場面でおさるや、またまたオタマジャクシが出てきて、ぴょんぴょん・・・??)
感動のコーラスとお馴染み白の枯れ枝(杖)が現れて、人々に囲まれて祈りながらの放心状態エリザベート(死んでるんだよね?もうこの人?)も通過・・・。
最後のとどめ、妊婦のヴィーナスがお子様を産み落として母となり、このオペラの幕が降りました。
感想:
歌はよかった。さすがバイロイト、レベルが高く、外すこともなく、オーケストラも拍手。指揮Axel Koberも、コーラス担当Eberhard Friedrichもよかったです。
おもしろい解釈の演出だったし、ヴィーナスが別に悪者じゃない、タンホイザーが軽い奴、という設定も新鮮だった。けれど、いらないよねこれ、という余計な場面が多々見受けられたし、たまに見苦しい、と思われる映像もあったり。そのあたりもう少し違ってたらよかったかも・・・。
しかし、最近のミュンヘンを筆頭にしてオペラの演出、舞台は檻や地下倉庫で繰り広げられる、おどろおどろしい世界のようなものが多くて・・・。 気軽に楽しめないのが残念・・・。
そして今回映画館ライブは・・・。
防音がしっかりしてないのか、隣からの重低音がときおり、バンバン、どんどんどっシーンと響き渡り・・・。なんと隣では最新作『猿の惑星』が上演されていたのでした。(爆
メトロポリタンオペラライブはお馴染み、年に6回ほどやるけれど、どうでしょう、私には毎回来るような催しでもなさそう。ただお年寄りや、近所で気軽にオペラを楽しみたい人にはいいかも。だって着飾って遠くまで行かなくてもいいんですから。それでも私たち以外は着飾っている後年配の方たちばかり。これには驚きました。たかが映画館でオペラ、されどオペラなんですね。雰囲気を味わいたいのでしょう。
それにメトロポリタンオペラを、バイロイトを一回でも見てみたい、好きな歌手が出る~聞きたい!と思ったら確かに便利な催しです。
そうそう、上映中のポップコーン持ち込みは禁止でした。(笑
上演中に食べるつもりはな買ったけれど、一回目の休憩で買った残りのポップコーンを持って入ろうとしたら止められて・・・。後で返してあげるからね、と没収。次の休憩で出たら、なんと新しく買ったポップコーンを用意しておいてくれました。そんな必要もなかったんだけれど・・・。そんな小さなこともプラスで、ありがたく、おもしろおかしく映画館を後に出来ました。
来年は8月7日、ティーレマン指揮、カタリーナワーグナー演出のプレミエ、パルジファル(だったよね?)上映予定だそうです。
我が家にはなぜか昔からタンホイザーのフルスコアがあり、それを見ながらお勉強をした次男君。ついでに少し前のバイロイト音楽祭のタンホイザー、ヴォルフガングワーグナー演出のDVDも買って上映に備えます。
今年でこの演出でのタンホイザーは最後になるということを小耳にはさみ、賛否両論(いや批判の方が多い)この演出を見ておくのも悪くないかなぁ、と少々期待して行きました。
私たちがいつも行く映画館。チケットは普通の映画のものと変わりませんが、入り口にはまぁシャンペンとオレンジジュース、そして少しつまむものなどが無料で提供されています。
ちなみにお値段は一人30ユーロ。安くありませんけれど、バイロイトへ行くことを考えたら・・・。
今回興味深かったのが、始まる前と、各休憩中に行われた映画館鑑賞している人向けへのオペラ紹介番組。進行・解説者のとなりにテノールのフォークトが付き添って、いろいろと今回のタンホイザー裏を披露。
この”変な”タンホイザー演出をしたバウムガルテン氏とのインタビューもあったり、衣装やメイクアップ、舞台装置を扱う裏方さんのなども登場で、全体的になかなか楽しめました。
第一幕でヴィーナス城で出てくる”着ぐるみ”。いろいろなところでは”精子”だ、と言われていましたが、実はあれは衣装さんに言わせると、”おたまじゃくし”なんだそうで・・・(あんまり変わらないけれどね)。 あれを作るのに適した布を探すのに苦労して、最後には海上で使われるものを見つけ出したとか・・・。
第二幕で血みどろになるエリザベート。その血を本物に見せるだけでなく、衣装についた血が綺麗に落ちるような配合にしないといけなかった研究、二幕が終わったらすぐに洗濯にかけられて綺麗にしないといけないことの苦労話。
なによりも舞台が上から下まで鉄柱で組まれたものですから、それを組むだけでも一苦労。
なんと25mのほど標高差?!があるそうですから、上で歌う人は高所恐怖症ではいけませんね・・・。
そして肝心な演出家のバウムガルテンさんの話・・・・、彼の抽象的なドイツ語が理解出来なかったとしておきましょう。とにかくこれはファンタジーなんだから、ありえないことをありえない風に表現するのは普通、みたいなことを言っていたような・・・。
第一幕はでも、どの演出のものを見ても結構過激なセックスシーンダンスがあるので、なんとなくは構えていたのですが、うわぁ、ヴィーナスが妊婦だ!今回はダンサーでなく、ヴィーナスとタンホイザーの濡れ場?!シーンがしっかり(爆。 なぜか彼女はとってもコミカル、おちゃらけで陽気です。タンホイザーは口だけのうわっつら男。真面目に生きてないよね、この人、というのがこの演出ではっきり分かります。いつでもへらへら、ニカニカ・・・。
そうなのよねぇ、オペラの内容からしたらタンホイザーは、ハーレムに飽きちゃったから足洗いたいんだぁ、なんてものすごく勝手な奴なんですよね。
しかし、タンホイザーを歌うトルステン・ケアル、映画館で聞いたからかなんなのか、カンカン、キンキン、私好みではありませんでした。あんまり彼の歌が続くとなぜか頭痛が・・・。
体系これで、この声かぁ・・・・。鼻声がもっと鼻詰まったみたい。
まぁいいや、とにかく舞台の続きです。
ここから出してくれ、と訴えるタンホイザーに、例の”おたまじゃくし”着ぐるみが寄ってきて囲い込み、彼を押しつぶそうとしてます。うーーーん、これいらないよね・・・。苦笑です。
ヴィーナスの牢獄からようやく開放されて出てきたところは、ガス工場。
どっかのぼくちゃん(本当は羊飼いの少年)役のKatja Stuber。声も演技も安定していて、それでいて若々しい声。デビューが2011年のとってもフレッシュなソプラノで次男君も感動。
持っているDVDはボーイソプラノ。子供のきれいな声がいいのですが、でも若いソプラノが歌うとまた違いますね。モーツアルトのフィガロでスザンナ役なんてよさそう。
騎士団登場のなかで一番気に入ったのが、なによりヘルマン領主を歌った韓国人Kwangchul Youn。うぉぉ、この低音といい、音量といい、音程の確かさといい、最高じゃないの。それになにより顔が好みだわ~。それを聞いた次男君、横で『ママ好きだねぇ、映画『赤壁』に出てきそうな雰囲気の人だよね』と呆れ顔でした。(爆 三国志に出てきそうな、アジアンなおじちゃんは昔から好なのよねぇ・・・。違う、違う、ここはタンホイザー。
タンホイザーを見つけた旧騎士仲間たち。
帰ってこいよ、とタンホイザーを無理やりに誘えば、いや、僕は帰るつもりないんだけれど・・・・、困ったなぁ、と頭をぽりぽり。
でもさぁ、ほら、あのエリザベートが待ってるぜ、とヴォルフラムに言われちゃぁ、
あぁ、あのかわいいエリザベートか、そういえばいたよね、そんな子。そこまで言うならちょっと帰ってみようかなぁ・・・。
と、かなり軽い調子のタンホイザーがここでも演出から見て取れます。
場が変わってエリザベート登場。
彼女はいいですね。演出が変でも、上手な歌声にはぴぴっと反応。
Camilla Nylund、2011年からここで毎年エリザベート歌っているそうですが、ご本人インタビューでは、この円熟したエリザベートを聞いていただけると思います、ということでした。そしてまさにその通り。見て聞いて納得です。
白無垢処女のエリザベートも所詮、”女”には代わりありません。
セクシーにタンホイザーに迫られちゃったら、やっぱりねぇ・・・。
なんとなくタンホイザーにからまれて、ちょっとうれしい気分。
そんな場面にエリザベートのおじさま、ヘルマン領主登場。ちょっと怪しげな雰囲気を察して、そろそろ姪っ子もお年頃。タンホイザーも帰ってきたことだし、今度の歌会でいい奴を自分で決めて結婚しろよ!と半ば強制的な態度です。(普通の演出だと”やさしいおじさま”なんだけれど。)
エリザベート半分困っちゃってます。だって、相手はタンホイザーだけなんだけど・・・。
さて歌会に続々と人が集まってきます。お、そこには妊婦のヴィーナスがタンホイザーに付き添って登場し、円卓の外でにやにや笑いながら座ります。時折、タンホイザーが彼女のところへ行って、いちゃらいちゃら・・・。それを見たエリザベートが半分呆れ、怒り・・・。
でもやっぱりセクシーに迫ってくるタンホイザーの歌を聞くと気持ちはトロトロに溶けちゃいそうです。プラトニックラブな歌を歌う他のあっさり系男たちより、やっぱりテストステロンをガンガン感じちゃう方がいいわ、となりますが・・・。でもまさかねぇ、ハーレム・ヴィーナス城にいたとはさすがの彼女も思いもよらず・・・。
タンホイザーが最後に、未経験な奴はヴィーナス城へ行け!と歌ったところで、ヴィーナスと一緒にワルツを踊り出す・・・。
まわりは飽きれてしまいます。奴を殺せ~、ここから追い出せ~。
それを聞いてエリザベートが叫び、みんなの前で自暴自棄に走り、精神異常に陥ります。ナイフを持って自分の手を差し血みどろになり、おじさまにお慈悲を、救いを求めて第二幕終了。
歌会はやっぱり見どころ。でもヴォルフラムを歌ったMarkus Eiche,声質はどう聞いてもマイスタージンガーのベックメッサーがよさそう・・・。ちょっとこの役には軽すぎる気がします。
第三幕に入る直前、まったくクコアーには記載されていない関係のない、教会でのメッセ場面が登場。みんなで最後にアーメン、で舞台から去ったところで、観客からブーイング。『オペラと何の関係もないじゃないか!』と野次が飛びますが、私にはこの場面はローマに到着し、無事に懺悔を受け入れられた巡礼の人々の落ち着いた教会での場面かなぁ・・・、などと想像します。だって、三幕はタンホイザーがローマでの懺悔を受け入れられずに帰ってきたところから始まるんですから・・・。
その三幕、ヴォルフラムがエリザベートに近寄りますが、きっぱりと拒否。
そこで巡礼者帰還の華々しい?コーラス・・・・。あら、皆様手には雑巾をもってそこいら中を綺麗に拭き回ってます。バケツを持っている人もいるとなるとここはどこ?
巡礼者が去った後、ヴォルフラムが戸に両手ついて大笑い!
『はっはっは、奴は帰ってこなかったぞぉ!ほれみたことか、ざまあみろ!』とでもいいたそう。
それを見たエリザベートは嫌悪感を示して、神に願いを乞います。
そして、なんとガス釜へ入って行きました・・・・。
ここで有名なヴォルフラムの夕星の歌アリアです。
おやぁ、なんと妊婦のヴィーナスがここでも登場。片手に長いペロペロキャンディーを持ってとってもにこやか、能天気です。ヴォルフラムはその彼女に向かって夕星の歌を歌います。
星よ、彼女(エリザベート)が道に迷わないために彼女の道を明るく照らしてくれ!
ここでの星はヴィーナスなんですねぇ。
そんな歌を歌われたヴィーナス、え?私?そんなぁ、困っちゃうじゃないのぉ、という表情。
うーーん、この解釈・・・。 キラキラいつも元気に輝くヴィーナス、彼女のためになっておくれよ、となるのでしょうか・・・。その途中、ガス釜のドアからエリザベートの手だけが出て横たわります。
ここで私はいつもこの歌で感動するんですけど・・・、なんかここでもヴォルフラムの声が軽すぎてだめだわ。
そうこうするうちにぼろぼろタンホイザー登場。ローマ語りアリアです。
これはなかなか情熱的。ヴォルフラムは偽善者になって、僕は君の友達なんだから、なんでも聞いてやるぜ、なんて口だけ。アリアの最中、体に虫唾がはしるのか、こんな話聞いちゃいらんないよ、と体や頭をぼりぼり、ぽりぽりひっかき通し。
ヴィーナス城の道を教えろよ、と言われてもねぇ・・・。
と、ここでお城の檻が下から登場・・・。ヴォルフラムも誘われるように入って行きますが、ようやくここで、彼も我に返り、いい加減にしろよ!エリザベートを思いだせ!!とカツ!!
(この場面でおさるや、またまたオタマジャクシが出てきて、ぴょんぴょん・・・??)
感動のコーラスとお馴染み白の枯れ枝(杖)が現れて、人々に囲まれて祈りながらの放心状態エリザベート(死んでるんだよね?もうこの人?)も通過・・・。
最後のとどめ、妊婦のヴィーナスがお子様を産み落として母となり、このオペラの幕が降りました。
感想:
歌はよかった。さすがバイロイト、レベルが高く、外すこともなく、オーケストラも拍手。指揮Axel Koberも、コーラス担当Eberhard Friedrichもよかったです。
おもしろい解釈の演出だったし、ヴィーナスが別に悪者じゃない、タンホイザーが軽い奴、という設定も新鮮だった。けれど、いらないよねこれ、という余計な場面が多々見受けられたし、たまに見苦しい、と思われる映像もあったり。そのあたりもう少し違ってたらよかったかも・・・。
しかし、最近のミュンヘンを筆頭にしてオペラの演出、舞台は檻や地下倉庫で繰り広げられる、おどろおどろしい世界のようなものが多くて・・・。 気軽に楽しめないのが残念・・・。
そして今回映画館ライブは・・・。
防音がしっかりしてないのか、隣からの重低音がときおり、バンバン、どんどんどっシーンと響き渡り・・・。なんと隣では最新作『猿の惑星』が上演されていたのでした。(爆
メトロポリタンオペラライブはお馴染み、年に6回ほどやるけれど、どうでしょう、私には毎回来るような催しでもなさそう。ただお年寄りや、近所で気軽にオペラを楽しみたい人にはいいかも。だって着飾って遠くまで行かなくてもいいんですから。それでも私たち以外は着飾っている後年配の方たちばかり。これには驚きました。たかが映画館でオペラ、されどオペラなんですね。雰囲気を味わいたいのでしょう。
それにメトロポリタンオペラを、バイロイトを一回でも見てみたい、好きな歌手が出る~聞きたい!と思ったら確かに便利な催しです。
そうそう、上映中のポップコーン持ち込みは禁止でした。(笑
上演中に食べるつもりはな買ったけれど、一回目の休憩で買った残りのポップコーンを持って入ろうとしたら止められて・・・。後で返してあげるからね、と没収。次の休憩で出たら、なんと新しく買ったポップコーンを用意しておいてくれました。そんな必要もなかったんだけれど・・・。そんな小さなこともプラスで、ありがたく、おもしろおかしく映画館を後に出来ました。
来年は8月7日、ティーレマン指揮、カタリーナワーグナー演出のプレミエ、パルジファル(だったよね?)上映予定だそうです。