すごく楽しみにしていたコンサートに行ってきました。
前回のオラモとは違い、満員御礼。一番端っこまで埋まっておりました。

ミュンヘンフィルハーモニーホール
バイエルン放送響
シューマン、チェロコンチェルトイ短調op.129
チャイコフスキー、交響曲6番 "悲愴"
指揮:マリスヤンソンス
チェロ:ヨーヨーマ

いつものように、一時間半前にコンサートの作品説明が30分ほど行われます。
前回は指揮者のオラモが直々に出てきて、お話してくれたのですが、
今回はオーケストラコンサートマスターの一人が出てきました。
誰の話でも、作品のことを少しでも聞いた後のコンサートは楽しさ倍増です。

まず前プロのシューマン。
シューマンは精神の病んだ?!(その当時の作曲家は普通か?)ピアニストでした。
彼のチェロコンチェルト(のみならず、バイオリンのソナタなども含めて弦楽器関係の曲は)ドボルジャークやブラームスのように派手なものは残さず、常に螺旋階段を思わせる感じで少し地味目に出来ています。
でも技術的には、弦楽器をあまり知らないピアニストが作った?だけあって、当時にしてみれば(いや、今でも)ありがたくないほど難しく出来ているようです。結局彼が生きているうちには演奏されず・・・。今では多く演奏されるけれど、大反響を呼ぶほど大成功を修めるには今でも難しいという話でした。

ヨーヨーマはその曲を、楽しみながら笑顔でオーケストラと一緒に演奏します。それは、ヨーヨーマが持つ性格からのようですが、彼はとにかくオケ団員までもをオープンにして演奏会を楽しむそうです。
その話を聞いていたので納得。
終始笑顔で、時には上を向いて・・・、
まるで居間のソファーに寄りかかってテレビを見ているような、
そんなリラックスさえ感じられました。
2楽章には、旋律の中にやさしく撫でるように音が上から下に5度移動する箇所が多く聞かれます。楽譜にはその部分に「Clara」と記載されているんだそうです。
それはシューマンの愛するClaraの名を作る5文字から、5という音型にこだわった結果らしいのです。

そうかと思うと3楽章は、精神がおかしくなってる?怒ってる?
と思わせる激しい部分もあるのですが、
ヨーヨーマはそれを「懸命に一生懸命」というより、
余裕の中でも激しさを表現。

時にリラックスの中でも、魅了してくれる弓使い、指運び、音の繊細さ、
この曲を聞いたことのない私でも、聞いてよかったなぁと感動です。
CDを色物中です。


後半はチャイコフスキーの「悲愴」。
皆さんご存知、彼は「ホモ」だったのに、
女性と結婚を強いられたこともあり、
精神的にかなり辛い思いをして生きた人です。
この「悲愴」は彼が亡くなる直前ともいえる時期に書かれました。

コンサートマスターの話では、
ロシア出身の指揮者のマリスヤンソンスは、
チャイコフスキーのメンタルやその当時の置かれた状況を考えながら、
この作品をあまりドラマチックではなく、
感情は常に抑えられているように表現するそうです。
ですから、時には譜面に書かれている強弱を削除して、
平坦にしてしまう部分もあるそう。

そんな話を聞いた後に聞いた第一楽章。
おぉぉ、いきなりクラリネットのソロに感動です。
弦楽器も相変わらず、ミュンヘンのプロオケの中ではピカイチと定評があるだけ、とっても美しい、け・れ・ど・・・。
うーーーん、本当になんか「さめた」感じがひしひしと感じます。
平坦に進んでいく感じ。その中で、あぁぁぁ、お風呂場ホルンだなぁ。
ここの1ホルン、本当にピアニッシモとか音の出だしとか完璧なのに、
相変わらず品の無いフォルテ・・・。
挙句に他の金管の出来もあまりよろしくない様子。
木管セクションも含めて、まわりが完璧に近いだけに
そんな風に進んでいく様子を耳にしていたら、
あまり私の好みでないチャイコフスキーだなぁ、
と聞いている私も冷めてきてしまいました。

しかしそんな感情も2楽章には、だんだん変化してきます。
おそらくそれほど金管楽器の活躍場が無いからでしょうか(笑い
民族音楽特有の変則拍子4分の5拍子のワルツ(もどき)ですが、曲は常に「クール」に進んでいきます。指揮者の曲を意図するところが聞こえてくるのは、初めに話をきいたからでしょう。

そしてメインの3楽章。
ここでは、マーチが鳴り響きます。
この演奏を聞いて私は、ロシアの赤の広場で集まった群集に見送られる軍の行進を想像します。こんなことは始めてで、感動を通り越して「あぁ、これは名演だ!」と脱帽。
得に出番の少ないシンバルに感動を覚えた私です。(笑
ここで、にわかクラシックファンは絶対に「ブラボー」拍手するよね、してもおかしくない出来だわ・・・、と思っていたら案の定・・・・、あぁ、恥ずかしい。
大大大きな声で「ブラボー」が飛び、一割ぐらいの観客が拍手・・・。
・・・・・・、
そしてざわざわ、失笑の声・・・。
これさぁ、今ラジオでライブ放送されているんだけれど・・・
日本だったら絶対にありえない?!よね?!(と信じたい。)
などと、悲愴感に包まれながら4楽章が始まります。
木管と弦楽器の掛け合いが悲しく美しいぃ。
よく聞かれる演奏とは逆で、軽ささえ感じられます。
本当はドラマチックなのに、悲観に暮れているはずなのに、
わざとそのドラマチックな感情を見事に抑えている演奏がたまりません。
最後のコントラバスのピアニシッシモ??で幕が閉じました。

今回も後ろに座ったのですが、
私のまわりは定期演奏会会員が座っている様子。
左隣が「私たちマリスヤンソンス(70歳)と同年よね!」といえば、
右隣が「あらぁ、お若いわね、私はもうちょっと上よ」とおっしゃるマダムたち。いつもは前に座っているけれど、オーケストラはここの方がずっとよく聞こえるわ、と終始興奮ぎみ。しかし、ヨーヨーマは知らない?!ご様子で、なんで今日はこんなにいっぱいなのかしら?と不思議そうでした。もちろん、その彼女たちはチャイコフスキー3楽章終わりでパチパチ・・・。こういう方々に支えられているんだよねぇ、ここのクラッシック界って・・・。

と思いながら駅に向かえば、ホールと隣にあるヒルトンホテルへかなりの人が流れ込んで行ったところを見ると、ヨーヨーマとマリスヤンソンスのおっかけもかなりいた、ということでしょう。もちろん、日本人の方々も多く見受けました。


さて、うちに帰ってみれば
暇を持て余した長男にぶーたれられて、
気分が興ざめ。

ぁーぁ、コンサート後ぐらい気分よくしたいわ。