スイスは地方分権が進んでおり、中央集権的であった試しはかつて全くない。
そのためか、地域によって人の気質は様々である。
田舎の方は日本の田舎と同じような感じ、保守的な価値観を持つ人がほとんどなイメージである。
ハイジのおんじは、その代表格だろう、今でも似たような感じの人はいると思う。
もちろん、年代によっても傾向が違い、若い世代ほどオープンであるが、まれにどう育ったのか超保守的な若者もいるので驚く。
都市部では多様な人種が混ざり合っており、高齢でも比較的さばけた人が多いとは思う。
チューリヒなどはその代表格で、多様な文化に対してオープン、おそらくスイスとその周辺国の中でも、ずば抜けて国際的だと思う。
英語を話す人も多い、というか概ね50歳以下の年代では全く話せない人のほうが珍しい。
一方、国外からやってきたいわゆる移民と呼ばれる人たち、特に1世代目は文化や価値観をそのまま持ち込んでおり、かならずしもこの考え方は通用しない。
そのためか、彼らの2世代目が対象となる初等義務教育ではドイツ語習得と並んでこのような社会的なルールを守って集団生活をすることに非常に重点が置かれている。
自分の子供達を見るに、この刷り込みはかなり厳密に行われており、きちんと学校に行っていれば真面目なスイス人が一丁上がり!という感じがする。
そういう意味で、ルールを重視する日本の学校とよく似ている。
日本人には非常に暮らしやすい社会であるが、同僚などを見ていると、もっと個人主義の国から来た人にはこのような規制の強い社会は窮屈に感じるようだ。(スペインとかフランスとか)
大学の中では外国人も多く、スイス人の中でもオープンな人が集まっている。
学部生でも典型的なスイス人は非常に真面目で、よく勉強していると思う。(遊んでいては卒業できない)
また、スイス人はなにか問題が起きたときに、きちんと話し合って解決しようとする傾向が強い。
白黒はっきりつけるというより、双方納得できる落とし所を交渉で見つけ出そうという姿勢が見受けられる。
このときに、声を荒げるような人は相手にしてもらえなくなる、というか声を荒らげたほうが負けであるとみなされがち。
そのような言い争いの場面は、社会のどこであっても(スーパーでもご近所でも大学の会議でも)めったに目にすることはない。
(あったとして、怒鳴っている方はたいてい外国人だ)
なにかトラブルが起きても、冷静に、淡々と対処する方がいい。
クレームを入れるときもしかり、感情的な対応をしたら終わり(負け)であるので、粘り強く交渉すべし。
全体的にスイス人のマインドは日本人に近く、考えていることは分かりやすく、マイルドな対人関係を良しとしている。
あくまで平均値の問題だが、ドイツ人ほど押しが強くもなく、フランス人ほど個人主義(という名の自分勝手)でもない(失礼!両国の人)。
ただし、もう一つの側面として、非常にプラグマティックというか自分の利益を重んじる傾向もあり、裏切るとまでは言わないが自分が不利益を被りそうになるとあっさり翻意することもあるので要注意だ。