ギムナジウムお受験の費用 総決算 | 生物学者ママの実験的スイス生活

生物学者ママの実験的スイス生活

スイスドイツ語圏最大の都市で、仕事と子育てに奮闘中の研究者ワーママ。人生の3分の1以上をすでにスイスで過ごし、すっかり現地に同化中。
夫ともはやチビではない息子たちとの家族4人の日々の生活を、生物学者としての視点で(独断と偏見も交えつつ)考察します。

ギミ入試の準備のためにかかった費用は、うちの場合は結局一体いくらかかったか。

案外かかったとも言えるし、(日本の塾事情を鑑みると)案外かからなかったとも言える。

 

まずは受験料、これは格安で、たったの20フランだった。

チューリッヒ州の公式オンラインサイトで受験者として登録した際に、カード払いできた。

物価は日本の倍のスイスにおいては、もはやこの額を徴収する意味がわからないほどの低額である。

日本とは一桁違うだろう。

 

次に、塾の費用その1、9月から2月まで、週1回4レッスン(実質3時間ほど)を22回分。

4人で1クラスの少人数制である。

大手の塾だったので、独自に作成している教材の費用も入っている。

これは3500フランと、それなりにまとまった費用となった。

月割にすると580フランほど。

ここはさすがに人件費の国スイスだけあり、結構なお値段だった。

 

ただし、先生は素晴らしく、十分払う価値ありだった。

教えるのはうまいし、マメに強化すべき単元とおすすめの市販の教材なども親に知らせてくれた。

ぶぶちゃんの方もいずれ同じ塾に送り込もうと思っている。

同じ先生に当たると良いのだが、こういう大手はどの先生でも大丈夫なんじゃないかと思う。

 

もう一つ、塾の費用その2,2月のスポーツ休暇中の一週間(5回)開催の冬期講習。(Kompakt Ferienkurs)

午前午後で8レッスン、一日合計では実質6時間ほどで、800フラン。

これはほとんど不要だったかもしれない。

使う教材は22回半年のコースと同じで、良い復習にはなったが、おびちゃんにとっては確認作業のような感じだった。

日頃から家で勉強している子供なら、この2週間だけの受講で受かった例も知っている。

 

最後に、模擬試験の費用、350フラン。(Simulationsprüfung)

時間あたりの費用にするとこれが一番高くついたかもしれない(笑)

しかし、その価値は十分あった。

塾で提供されている本番試験の数週間前に行われる模擬試験だ。

日本で模試というと各社各タイプが年中開催されているが、こちらは本番での手順を体験するのが主な目的。

結果が帰ってきてから本番はすぐなので、この結果をみて何か勉強方法を改善しようとか強化しようとかするにはもう遅いタイミングだ。

本番と同じ時間に、同じ形式の問題が出題され、答案は2人の採点者により評価されるという、本番さながらのテストだ。

さらに、翌週にはその振り返り講義が行われ、問題の解説や模範解答などを教えてもらえる。

 

おびちゃんの場合、このテストを受けることで、答案の書き方の改善につながったと思う。

実際に採点された答案を見ることで、こういう書き方をしてはいけないなど、具体的なテクニックを学んだようだ。

そのおかげか、この試験での結果よりも本番の点数のほうが若干上がった。

(もしくはこの試験の採点が厳し目なのかもしれない)

 

最後の費用、独自に購入した問題集、250フランほど。

教育関連の書籍や教科書、問題集を扱う専門の本屋に行って、ギミ入試対策用の問題集はと尋ねたところ、なんと一種類しか存在していなかった!

日本なら本屋の一角すべてが埋め尽くされるほどの種類があるだろうが、たった一揃い、算数とドイツ語がそれぞれ単元ごとに別れた冊子になっており、各20冊ほど、一冊の問題の量は、数十ページのみ。(後半の同じページ分が解答)

これでは、大手の塾が独自作成の教材を売り物にするはずである。

全部まとめて買うと割引で500フランほどのようだったが、さすがに高いと思ったのでおびちゃんが弱いと思われる単元の冊子のみを8冊ほど選んで購入。

が、おびちゃんはほとんどこれには手をつけてくれなかった。

実際、塾の教材はよくできていたので、さらにこれを購入する必要はなかった。

 

 

以上、全てを合計すると5000フラン弱だ。

こうしてまとめてみると結構かかった。。。

我々は初めての受験でもあり、加減がわからずに、ちょっと過剰に投資してしまったとおもう。

少なくとも1週間のコースは行く必要なかったし(本人が行くと言ったのだが)、問題集も買う必要なかった。

家でドイツ語の面倒は見られないため、半年の塾にいかせるしかなかったが、親が本気で見られるのなら、それすら実は不要かもしれない。

小学校で提供してくれる準備用コースもあるので、それを利用すれば無料だ(それに入るには先生の同意、つまりある程度の成績が必要だが)。

実際それだけで合格する子もいる。

 

日本の中学受験はどうだろう。

今では、一流と言われる六年一貫校に行くには(そうでなくても?)3, 4年生の頃から塾に行くらしい。

塾の費用が一体月にいくらかかるのか知らないが、もし1万円だとしたら4年で50万円ほどとなる。

それを考えると、どっこいどっこい、もしくは物価と人件費を考えるとスイスのほうが安いとも言えるかもしれない。

 

ただし、究極的には、受験に必ず必要な費用は受験料の20フランのみである。

小学校提供の準備コースに行けばその他の費用はかからない。

しかも入学すれば、授業料は当然のようにタダ(ただし教材費が少しかかるらしいが)。

いくらお受験が加熱しているとはいえ、日本の特殊化した中学入試とは異なり、ちょっと訓練すれば解ける程度の試験問題である。だとすると、ギムナジウム(つまりスイスにおける高等教育)は、狭き門かもしれないが、子ども自身にやる気と才能さえあれば家庭の事情には比較的左右されにくい門戸なのかなとも思う。