麻生太郎氏「民度の違い」発言と、蓮舫氏の応酬「どんだけえらいの?」 | 生物学者ママの実験的スイス生活

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スイスドイツ語圏最大の都市で、仕事と子育てに奮闘中の研究者ワーママ。人生の3分の1以上をすでにスイスで過ごし、すっかり現地に同化中。
夫ともはやチビではない息子たちとの家族4人の日々の生活を、生物学者としての視点で(独断と偏見も交えつつ)考察します。

麻生太郎氏がまたもや国会で一席ぶったらしい。

 

Covid-19の死者が日本で少ないのはどうしてと他国の政治家などに問われ、「国民の民度が違うからだ」と言ってやったというエピソードを披露したらしい。

それに対して、民主党の蓮舫氏、「どんだけ偉いの?」と応酬したとか。

朝日新聞の記事

 

確かに麻生氏の言い方はまずかったかもしれない。

他国の国民を貶めているととられかねない発言だからだ。

ただ、私が思うに、麻生氏の真意は「わたしは民度の高い日本国民を誇りに思う」という点にあるのではないだろうか。

大して厳しい制限も行わずにここまで感染者数を(一時的にせよ)抑えるのに成功した国は、他にあるだろうか。

少なくとも、国民の努力によって成し遂げられた成果であることには間違いない。

 

言い方はまずかったに違いないが、このような真意をくめば、「どんだけ偉いの?」という応酬は的外れもいいところだ。

麻生氏は自分が偉いといってるのではなく、「うちの国民はエラいんだ!」と他国に誇っているのである。

ここは、下のように応酬すべき所だったのではないだろうか。

 

「麻生さん、あなたの仰りたいことは、「国が厳しい制限をかけずとも、自ら行動を御し、ウィルスの感染コントロールに成功しつつある日本国民を、自らもその一人として誇りに思う」ということですよね。

でも、あなたのその言い方では他国のことを貶めることにもなり、国際的に考えていらっしゃることを正しく伝えることも出来ません。ここは、「民度が違う」ではなく、このように言うべきところではないでしょうか」と。

 

国際的に見て、自国の政策が功を奏したことで自国民をたたえる政治家は珍しくなどない。

スイスの周辺国なんて、規制緩和に向けてだいたいそのような(みんなよく頑張った、我慢した!的な)ことを国家元首なりが発言している。

 

実際日本の死亡者数・感染者数が国際的に少ないのは統計上一目瞭然である。

他の国はいぶかしく思っているものの(内心底知れずブキミに思ってるかもしれないが)日本はどこかのように数字を操作するほどセコイ国でもないので、理由はわからないものの真実と受けとめられている。

そして、日本をよく知るひとなら、国民の行動様式の違いにその原因があるのではと、うすうす思っているに違いない。

 

日本は世界的に見て、たしかに国民の成熟度は高い。

これまででも、災害時にありがちな暴動など起きたためしもないし(江戸時代の飢饉時の一揆などはのぞく)、日本の大衆は行動が理性的であると世界的に評価されているのも事実だ。

日本に暮らしているとそれが普通のことで気づかないかもしれないが、そんな国は多くない。

国際社会に向かってことさら自慢する必要も無いが、これは日本国民全体が誇りに思って良い点で、こういうときくらい「うちの国民は偉いんだ!」と政治家が誇っても良いのではないか。