倉庫の奥から出てきた変身アイテム!

最近裏の空きスペースを最大限に利用できるよういろいろと手を加えているうち、倉庫もついでにと片付けを始めたら、まあ次から次へと要らないものが出るわ出るわ!

昔使っていたワープロが2台、壊れたラジカセ類に電子レンジやファンヒーター・・・などなど挙げればきりがなく、よくこれだけ入っていたものだと我ながら感心した。

こんなものその時点で処分していたら倉庫が十分広く明るく使えていたのに、何でもかんでも押し込んでいたものだから、アウトドアーの用品が行方不明になったり日曜大工の道具を取り出すのも一苦労だった!

というわけでここらですっきりさせようと分別を始め、壊れたものは当然、壊れていなくても使いそうにないものは容赦なく捨て、現在ではほぼ片付けも最終段階に入った。

しかしここにきて手が止まってしまうものに出くわしてしまったのです! 

今まだ捨てるべきかどうか悩んでいます。

それがこのボストンバックです!!
$思い出


実はこのバックは私の妻が持ってきたもの・・・もちろん全体にカビてたりシミができてたりと到底使える代物ではないが、問題は中に入っていたもの。

その中身がこれ!!



$思い出


えっ!? 見えない? 空っぽだって?

そうか、皆さんには見えなくて当たり前なんですよね(笑)

中に入っていたのは私にとってウルトラマンのベータカプセル、ウルトラセブンならウルトラアイのようなものなので・・・・つまりダメダメ星人だった私を、人並みに変身させてくれた数々の思い出が詰まっていたのです。

話は今から18年前にさかのぼります。

1994年10月、私は朝から車を飛ばし関西空港のロビーにいました。

車を駐車場に止めてからすでに3時間以上、ここで来日してくる妻を待っていたのです

そして予定の時間を大きく回りタイ航空TG620便が到着しました!

次々と下りてくる団体を見送り、やがてポツリポツリと個人の客の姿が見えてきました、しかしまだ妻の姿は見えません・・・・

“どうしたんだろう、もしかしてこの便に乗れなかったのかな?”

“まさかビサに問題でもあってマニラで足止めくってるなんてことは・・・・”

などの不安がよぎり始めたときでした! 不安そうな表情できょろきょろと辺りを見回しながら歩いてくる妻の姿が見えたのです。

私の心に安堵感が広がりました、そんな私を見つけ妻も嬉しそうに微笑みました。

「ほんとに来たよ」 「いらっしゃい」

お互い第一声はそんな味気ない会話を交わしたような(笑)

そして二人はバックとともに車に乗り込み、積もる話も尽きぬまま高速を飛ばし4時間近くかかって深夜1時過ぎ新居へと到着しました。

新居といってもそこはオンボロのひと月8千円の雇用促進住宅!

家具も私が至る所からもらったり、それでも足りないものは借金してなんとかそろえた安物ばかり、部屋はというと6畳一間に、寝室兼ダイニングの4畳半とカビだらけの浴室、蓋のないトイレと埃っぽい押入れ・・・

そんな、決して新婚にはふさわしくない部屋を見回し、それでも妻は嬉しそうでした!






$思い出

このアパートの4階に3年住みました! 当初は仕事で疲れて帰っていても、車の音で妻が窓から顔を出して手を振ると、疲れなんかなんのその、よく4階まで一気に駆け上がってたものでした。  もし今だったら・・・・まあ、そこのところはノーコメントと行きましょう(笑)


バックをあけました! 入っていたのは少しの着替えと歯ブラシ程度、あとは私が交際中に送ったメッセージテープが数本。

そうです、妻は文字通りカバン一つで私のところに来たのです。
ろくにカバンに詰める物もなく、体一つで生まれ育った国さえ捨てる覚悟で・・・・

このバックはアパートの押れをあけると、いつも一番目立つ場所にありました!

着替えを取り出す時も布団を敷くときも、支払いに追われ一つのインスタントラーメンを二人で交互にすすった時も、このバックは黙って私たちを見ていてくれたのです。

大変だった時期もあった、でも二人とも食べることが大好き。

私の持ち物でお金に代わるものはすべてお金に換えた、お酒もやめギャンブルもその他お金のかかる趣味は一切やめた!

そんな中唯一の贅沢が深夜に二人でうどんを食べに出かけること。

当時ラーメンは最低でも一人400円はかかっていたけど、セルフうどんならてんぷらを1品入れても200円あれば食べられた。 妻は海老天、私はちくわ。 

深夜にこれを食べながら笑いあった。 そして近場を一回りしてからアパートに帰り部屋に入りパジャマに着替えるため押入れを開けると、そこではやっぱりこのバックが二人を待っていてくれてました。

と、こんなふうに、このバックにはカミさんの決意と私のこれまでの思い出がぎっしり詰まっているのです。

そんなわけで、もしこのバックが二人のもとになかったら、私はダメダメ星人のままで現在を迎えていたかもしれないのです。

バックを発見した時、妻に見せたらなんていうだろうかと内心ワクワクしながら 「どうしようか?」と言ったら、ちらりと横目で見ただけで 「汚い、いらない、捨てて」 と、いとも簡単に突っぱねられました(笑)

それでも私はまだ捨てるべきかどうか悩んでいます!

これってやっぱり私が女々しいのかなぁ~~?


          おわり