関テレ社長辞任、取締役留任には疑問が噴出

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納豆のダイエット効果を取り上げた「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)発覚から2か月半。外部調査委員会から16件の問題放送を指摘され、引責辞任した関西テレビの千草宗一郎社長(63)は3日、記者会見を開き、「すべて、最高責任者の私の責任だと自覚している」と改めて謝罪した。しかし、経営陣にはとどまるとの人事に疑問が噴出。視聴者らからも、「辞任は遅すぎる」との厳しい指摘も相次ぎ、多難な再生への道を踏み出した。

 この日午後7時から、大阪市北区の関西テレビ本社で開かれた記者会見には、後任社長に決まった片岡正志常務(62)と取締役に降格となった千草社長らが出席した。

 「責任の取り方として十分なのか」「これで不信払しょくにつながるのか」

 会見では、千草社長が取締役として経営陣に残ることに質問が集中。

 片岡常務は「批判はあると思うが、私から残って助けてほしいとお願いした。千草社長は現場に精通し、これまで再発防止策にかかわってきた」と強調。

 千草社長は「視聴者の信頼を取り戻すため、新しい関西テレビのモデルを作っていくのが責任の果たし方」とかわした。

 さらに代表権のある出馬(いづま)迪男(みちお)会長(70)が役員報酬のカットという処分についても「十分なのか」との質問が飛び、片岡常務は「会長は経営全般、千草社長は業務執行の最高責任者であり、同じ代表権者でも違う」と釈明。千草社長も「すべては私の責任」と答えるにとどまった。

 しかし、最初に提出した報告書が不十分として総務省から再提出を求められたり、辞意表明が遅れたりするなど、後手に回った対応を問われるうち、千草社長の口調が、これまでの淡々とした様子から一転。

 「辞めるか、再発防止に取り組むか最初からかなり迷っていた」「大きく事態が広がったことを深く反省し、おわびしたい」。顔をやや紅潮させながら、複雑な胸中を吐露した。

 一方、片岡常務は後任を引き受けた理由について、「問題を未然に防げず、取締役として責任を感じるが、視聴者の信頼を取り戻し、再発防止策を実行に移すことを考えた」と話した。

 この番組をよく見ていたという大阪府吹田市の会社員山崎裕子さん(31)は「遅すぎた感じがするが、これですっきりしたのでは。公共の電波が与える影響を重く考えて、信頼できる番組を制作してほしい」と話していた。

 ■検証番組「十分に説明責任果たす」

 3日の記者会見での千草社長との主な一問一答は次の通り。

 ――新社長の人選の理由は

 「総務、人事のみならず、制作、報道と幅広い業務に精通しておられたのが一番の判断。新生関西テレビの再発防止策に先頭に立っていける最適な人」

 ――いつから辞任を考えていたか

 「最終判断は常に考えていた。しかし、行政指導のあとに検証番組をまとめてから責任を取ろうと思った」

 ――検証番組について

 「私も出演し、十分に説明責任を果たせたと思う。当社の意識のゆるみ、制作会社との関係などが重なり合って問題が起きたことがまとめられている」

 ◇視聴率優先 構造的な問題には踏み込まず

 捏造問題の検証番組は、3日午後10時からのテレビ業界でいう「プライムタイム」で放送された。多くの視聴者が見る時間帯を選び、「新たな出発点に」という関西テレビの決意は見て取れたが、視聴率優先主義の弊害や制作会社との関係などの構造的な問題には深く踏み込まなかった。

 番組ではまず「納豆ダイエットの回で捏造がどのような形で行われたか」を詳述。関西テレビのプロデューサー、制作会社「日本テレワーク」のプロデューサー、孫請け制作会社「アジト」のディレクターの証言を中心に、「面白くしよう、分かりやすくしよう」と意識するあまり、「頑張り方を間違えた」と捏造の理由を説明。

 その上で外部調査委員会から、ほかにも不適切な放送が指摘されたことについて、「ネットなどで問題が指摘されていたのに、おごりがあった」など、番組作りの感覚がマヒしていた背景を明らかにした。

 一方で、「番組の評価が視聴率だけになっている」などの根本的な問題は、社員アンケートの声で紹介しただけ。全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)が時間的、金銭的な制約の中で番組制作をしていると指摘した孫請け制作会社の現状なども追及しなかった。

 ◇行政向きの姿勢が目立つ

 大石泰彦・青山学院大学教授(メディア倫理・法制)の話「総務省への初回の報告時に詳細を公表しないなど、行政向きの姿勢が目立った。説明責任を欠き、視聴率を稼ぐ対象としか視聴者を見ていない、と批判されても仕方がない。社長が取締役にとどまるのであれば視聴率至上主義をいかに改めるかのメッセージを出し、強権的な介入の姿勢を強めている放送行政に、対峙(たいじ)していくことだ」

 ◇一区切り、辞任いい時期

 外部調査委員会の委員を務めた作家・吉岡忍さんの話「千草社長は『辞めるのが遅かった』という人がいるかもしれないが、問題に一つの区切りをつけた今がいいタイミングではないか。テレビ局にとって、番組制作は生命線。これからは新しい経営陣が、社としてどんな番組を作っていくのかという制作基準を、視聴者に示していく必要がある」



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