産経新聞 2024/8/26 18:03
「溶血性レンサ球菌(溶連菌)」が原因で致死率が約30%とされる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が、都市部を中心に増えている。今年に入って全国で1333人の報告があり、すでに過去最多だった昨年を更新。死者は少なくとも250人にのぼり、160人余りだった昨年を大幅に上回る。
大阪府の患者も76人と最多で、府などは感染の兆候があれば速やかな受診を呼び掛けている。
溶連菌は咽頭炎などを引き起こす細菌。このうち血清群別の分類でA群やB群、G群などの溶連菌がまれに劇症化し、発熱や体の激しい痛みといった症状が急激に悪化する。劇症型は「人食いバクテリア」とも呼ばれ、致死率が高い。手足の壊死(えし)や多臓器不全を伴うショック症状を伴い、発病後数十時間で死亡するケースもある。
国立感染症研究所のまとめによると、劇症型の患者は8月11日までの報告で1333人。平成11年の感染症法による届け出開始以降、過去最多だった昨年の941人を半年弱で上回った。死者数は「広く公表していない」(同研究所)としているが、同日までの報告を足し合わせると250人(報告遅れなど除く)の死亡例があった。昨年は1年間で163人(同)だった。
同研究所のまとめでは、今年は劇症型のうちA群が6割超で、例年(3~5割程度)より多い。溶連菌は足の傷口から感染しやすいとされ、6月16日までにA群として報告があった患者656人の
推定感染経路の内訳でも、
傷口が288人(44%)で最多。
くしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染は59人(9%)にのぼる。
厚生労働省は「有効なワクチンはない」とし、予防のために手洗いの励行や傷口の清潔な処置、マスク着用などを呼び掛ける。