「ファクトチェック」ネット情報の真偽、どう見極める?… | 豆打萌ダー子の不老不死プロジェクト

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読売新聞オンライン 2024/08/23 15:00



 インターネット上の偽・誤情報が問題視される中で、情報の真偽を見極める手法を学ぶ動きが広がっている。読売新聞が今春公開した調査では、日本はネット上の情報を検証する人の割合が、米韓との3か国中で最も低かった。検証する方法自体を知らない人が多いとの指摘もあり、民間団体が啓発に取り組んでいる。
(スタッブ・シンシア由美子)



本当に国道5号か

 市街地の国道5号を走る車から撮影したとされる約1分間の動画。タブレット端末に表示された<父とドライブ>と題する映像を中学生たちがじっと見つめていた。鑑賞するためではない。そこに含まれている偽情報を探すためだ。

 6月下旬、実践女子学園中学校(東京)で行われたメディアリテラシーに関する出前授業。慶応大の学生団体「クラスルームアドベンチャー」共同代表の今井善太郎さん(22)が、「動画の中から誤った情報を見つけてください」と呼びかけると、参加した3年生約260人が一斉に端末の操作を始めた。

 そもそもこの道路は本当に「国道5号」なのか。疑問を抱いた生徒が、動画に映ったラーメン店の名前を地図アプリで調べた。すると、北海道を走る国道5号沿いではなく、東京と横浜を結ぶ国道15号沿いにある店だった。「あ!わかった」。会場のあちこちから声が上がった。

 ネット上では、

2016年の熊本地震で動物園からライオンが逃げ出したとするうその文章と画像がX(旧ツイッター)に投稿されたり、

22年に静岡県を襲った大雨で生成AI(人工知能)製の偽画像が出回ったりする

などのトラブルが相次いでいる。



 今井さんは「だまされないためには、事実かどうか検索して調べる手法を学んだ上で、ネット情報と向き合うことが重要だ」と強調した。

 同団体は全国の中学や高校、大学、児童養護施設で計50回にわたり授業をしている。今回は

元日に起きた能登半島地震の津波としてSNSで拡散された動画が、本当は東日本大震災のものだった

事例も紹介した。今井さんは「画像内の道路標識を検索していれば、過去に撮影されたものとすぐに分かったはず」とアドバイスした。

 能登地震の直後に、被災者が救助を求める偽投稿を本物と信じて拡散してしまった女子生徒(15)は「これからは投稿する前にしっかりと調べるようにしたい」と話した。



日本が「最低」

 日本人は、ネット上の情報の真偽を確かめようとしない傾向がある――。読売新聞が国際大の山口真一准教授(社会情報学)とともに、日米韓の計3000人(15~69歳)を対象に実施した調査では、そんな実態が浮かんだ。

 調査では、ネット上の情報を検証する行動について9項目に分けて尋ねた。その結果、

「1次ソース(情報源)を調べる」と回答した人は

米国が73%、

韓国が57%だったのに対し、

日本は41%だった。

「情報がいつ発信されたかを確認する」と答えた人も

米国74%、

韓国73%だったが、

日本は54%。

 

「何のために情報が発信されたか考える」と回答した人は、

米国79%、

韓国71%だったのに

日本は44%にとどまるなど、9項目全てで米韓を大きく下回った。

 こうした傾向について、山口准教授は「日本はマスメディアへの信頼度が比較的高いこともあり、情報を疑うことが少なく、事実確認の手法を学ぶ機会もなかった」と指摘する。



「一人ひとりが検証」

 様々な手法を用いて情報を検証し、真偽を明らかにする行動は「ファクトチェック」と呼ばれる。

 日本でも、2022年に設立された「日本ファクトチェックセンター」(JFC)が、ネット上の情報を検証した結果を毎月30件ほどホームページに掲載している。しかし、JFCの古田大輔編集長は「大量の偽情報が流れている中で、我々が全てを検証できるわけではない」と話す。

 JFCは昨春から、情報を検証する手順を学ぶ動画を配信サイトで公開している。古田編集長は「日本ではネット検索の基本的な方法すら知らない人が多い。一人ひとりが情報を検証できるようになる必要がある」と語る。