ぷくぷく
森沢明夫


『ぷくぷく』ってなんだろう?

本のタイトルをみたとき、いろんな『ぷくぷく』を想いました。娘は体格が良いので、「わたしがぷくぷくしてるって意味のぷくぷくかなー?」なんて言ってて笑いました。

正解は。。。金魚のユキちゃんの呼吸するときの音でした。ユキちゃんは、イズミという女性が夏祭りでゲットした「琉金」(りゅうきん)です。頭が白いという理由で、他の金魚たちにいじめられていた、ユキちゃん。みんなと「違う」という、たった1点の「欠点」のために、ひとりぼっちだった、ユキちゃん。

この物語は、ユキちゃんの視点で、イズミとその周りの人たちを、優しく静かに見守りながら語られます。イズミの初恋のこと、ずっと秘密にしていたこと、親友のチーコとのやり取り。。。声を出すことも、触れることもできないけれど、いつも側にいてくれるユキちゃん。

ユキちゃんのココロが動くとき

ぷく。

音が出ます。

そういえば、宮崎駿さんも、ココロが動くときに「風が吹く」と言っていたことを思い出しました。こういう表現ができるのがすごい!!!

イズミが親友のチーコに秘密を打ち明けたとき、チーコがこう言いました。

違い


嫌い

はイコールじゃない。

それが分かっている人は、きっと幸せになりやすいし、周りも幸せにできる人、と。

自分が「欠点」だと思っていたことが、実は自分を形づくる大切な宝だということに、イズミは気づきます。ひとりに「慣れ」ていたはずのイズミが、2人でいるときの「しあわせ」を知り、ふたりの「未来」のために勇気を振り絞るのです。

季節は冬から春に変わり、ユキちゃんにも春が訪れます。でも、それは読んでからのお楽しみ。。。ということで♡(o^∀^o)