えんぴつ

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うっかり、ご飯食べながら読み始め、あっこれはTPOが…と思ったが話の面白さが上回って次々頁を捲っていくと、やはり知念先生は医師、リアルな描写にたじろぎ、さすが食事中は本を閉じ、あいまの昼夜と継いで読み進め、最後はウワッ!ウワッ!言葉にならない声が出てきて、少しばかり呼吸が乱れた。

 

ホラーは苦手なのだけど、蒼く光る森や洞窟の描写の美しさ(たとえそれが禍々しくても)、哀しい伝説のファンタジー的なやわらかさが中和してくれて、良かった。

 

 

文庫 | 双葉社

 

黒猫のカバー絵で手に取り、ファンタジーノベル大賞受賞作で即買い。

漱石の猫の生れ変りクロが棲みついた北斗堂にはやはり、かつて小説家に飼われた猫たちがいた。

古書店主の抱える謎と小説家を目指す少女。

最初、漱石の猫は単なるキャラ設定かと思いきや、どうしてどうして。

創ること・文学に捧げられた、愛情たっぷりの奇想天外な供物だった。

 

初めてファンタジーノベル大賞作品を読んだ時(酒見賢一『後宮小説』だった)、“荒唐無稽”を描く筆で、人間を描き切れるんだ!と感動した。いまさらだ。「漱石の猫」はまさに荒唐無稽のお手本じゃないか。

小説を読む楽しみ、喜びがひたひたと押し寄せてくる。そんな感動の一冊だった。

ちなみにインパクトのある黒猫の絵、カバー装画はMolvisu。

 

 『猫と罰』 宇津木健太郎 | 新潮社

『猫と罰』 宇津木健太郎 | 新潮社

微かな記憶をもとに始まる書物探索。

見つけた糸を手繰る先に別の糸があり、ゲームのように次から次へと扉が開かれる。

落語、古典文学、ミステリー…読むたび知識量、蘊蓄の豊かさに圧倒される。

無尽蔵という言葉が思い浮かぶほど。蘊蓄の恩恵、多々あり。

菊池寛の「日本の小説は“源氏から西鶴に飛ぶ”」という言葉にハッとし、「勝手知ったる他人の家」の名文句は大辻司郎という漫談家によるものと知ってそうだったんだ!と驚く。 

『空飛ぶ馬』で出会って幾年。北村薫はいつ読んでも面白い。

 

 

 『水─本の小説─』 北村薫 | 新潮社

『水─本の小説─』 北村薫 | 新潮社