「TARANTALLEGRA Oriental Ver.」に関する一考察
1、はじめに
2012年8月に発売されたXIAのシングル「UNCOMMITTED」には、同年5月に発売されたオリジナルアルバムの表題曲「TARANTALLEGRA」の「Oriental Ver.」が収録されている。
本稿では、この「Oriental Ver.」におけるアレンジの特徴について考察していく。
考察に当たっては、インターネット上のニュースサイトに示された、「Oriental Ver.」に関わるインタビュー記事を用いて行うものとする。
2、分析結果と考察
ニュースサイトの記事
キム・ジュンスは“今回の編曲はオーケストラが会って(翻訳原文ママ:)雄壮で神秘なサウンドの原曲にオリエンタル的な感じを強調した”と話した。 リフレーン(2-1)に伝統楽器ケンガリのビートを挿入して(2-2)最後に韓国的な唱法のアドリブを追加した(2-3)とのことが彼の説明だ。
上記の記事から、「Oriental Ver.」」のアレンジの特徴に関わるキーワードを、以下の通り3点抽出した。
(2-1) リフレーン
(2-2) 伝統楽器ケンガリ
(2-3) 韓国的な唱法
この3つのキーワードを元に、以下に考察していく。
資料動画
http://ameblo.jp/zunda1000/entry-11377479797.html
2-1、リフレーン
「リフレーン(リフレイン)」の本来の意味は、「詩や楽曲で、各節の終わりなどに同一の詩句・楽句を繰り返すこと。また、その部分。折り返し。畳句。」である。
しかし、この記事においては、その文脈から、「曲の中で同じメロディーや歌詞を繰り返すこと」という意味で用いていると思われる。
よって、本稿においては、後者の解釈で考察を行うものとする。
「Oriental Ver.」における歌詞のリフレーンであるが、楽曲全体を通して、「TARANTALLEGRA」という歌詞を、32回に渡って繰り返している。
同様に、ラップ部分の歌詞の「what music will you listen to? hey」(資料動画 0:33~)も、28回に渡って繰り返している。
このリフレーンは、「Oriental Ver.」のみならず、原曲の「TARANTALLEGRA」(以下、原曲と記す)でも同様に用いられており、本楽曲の大きな特徴となっていることが分かる。
次に、伴奏のリフレーンであるが、「Oriental Ver.」及び原曲では、パーカッション(打楽器)のリズムにおいてリフレーンを数多く取り入れている。
本楽曲の前奏は、ティンパニー(図1)が刻む重厚な音のリズムから始まるが、このリズムは楽曲全体を通して繰り返し刻み続けられている。
図1 ティンパニー
2-2 韓国伝統楽器ケンガリ
2-1で述べた、ティンパニーのリフレーンに付け加える形で、「Oriental Ver.」で新たに用いられている打楽器がある。
それは韓国の伝統楽器「ケンガリ」(図2)である。
「ケンガリ」によるリフレーンは、「Oriental Ver.」だけに特徴的に用いられている。
図2 ケンガリ
「Oriental Ver.」」の中盤以降に、このケンガリの硬質な金属音が、印象的なリズムを刻み始める。(資料動画 2:16~)
そしてその音色を変化させながら、楽曲の終わりまで途切れることなく、このリズムを刻み続けていく。
楽曲の終盤では徐々にクレッシェンド(cresc:だんだん強く)して、フォルテシモ(ff:最も強い)まで盛り上げ、聴くものに強い余韻を残して楽曲を終える役割をしている。
「Oriental Ver.」に限らず、KーPOPにはこのリフレーンを用いた楽曲が多いことがよく知られている。
リフレーンを用いることによって、特定のメロディーや歌詞が耳に残り、聴き手の心に強い印象を残すことができるからである。
「Oriental Ver.」においても、このリフレーンが非常に効果的に用いられている。
そのため、一度聴くと繰り返し何度も聴きたくなる、ある種の「中毒性」を持った楽曲となっている。
2-3、韓国的な唱法のアドリブ
「Oriental Ver.」の終盤に、(資料動画 3:40~)XIAのアドリブによるファルセットの歌声が入っている。この部分の歌唱法がニュース記事に示された「韓国的な唱法」を示していると推察する。
「Oriental Ver.」の編曲者であるXIAは、原曲にはない、この「韓国的な唱法」の歌声をアレンジに加えることによって、原曲のもつ無国籍なイメージをオリエンタルなイメージに変化させようとしたと考えられる。
この歌唱からは、XIAのボーカリストとしての音域の広さ、技術の巧みさ、音楽的な「ふり幅」の広さ等を感じることが出来る。
2-4 総合考察
本稿では、「Oriental Ver」の特徴について、ニュースサイトの記事に示されたキーワードを元に考察してきた。
その結果、「Oriental Ver.」は、原曲「TARANTALLEGRA」のアレンジを根本から変更したのではなく、原曲に、「ケンガリ」や「韓国的な唱法」といった韓国の伝統音楽のエッセンスを加えた形でのアレンジとなっていることが分かった。
以上の考察を踏まえると、本楽曲は「TARANTALLEGRA Korean Ver.」というタイトルのほうがより適切であると考えられる。
しかしながら、本楽曲のタイトルは「TARANTALLEGRA Oriental Ver」である。
この点について、以下のように考察する。
英語歌詞の「TARANTALLEGRA」CDを発売するに当たって、今後ジュンスが全世界を舞台に活動していくことが念頭に置かれていたと考えられる。
その際、「韓国人の歌手」「K-POPの歌手」であること以上に、「アジアの歌手」である点を強くアピールしていくねらいがあり、アジア全域をイメージさせる「Oriental Ver.」という名称を用いたのだろう。
3、今後の課題
2-3「韓国的な唱法のアドリブ」についての考察が浅いのは、筆者の資料収集不足によるものである。
この点については今後の課題とし、まずは資料収集に努めていきたいと考えている。
4、謝辞
ジュンスの歌声が好きすぎて、大真面目に考察しちゃいましたーー!
ここまでお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。m(_ _ )m
最後の「韓国的唱法」のジュンスの歌声が、もうもう~、so sexy!!! (/ω\)
こういう、アドリブ的な歌い方って、ジュンスは得意ですよね~
ここの声、すごーーーーくイイです・・・・(///∇//) (///∇//) (///∇//)
それから、韓国人っぽい独特な英語の発音にも、めちゃめちゃ萌えます
<参考文献・引用文献>
佐藤郁哉(2011)『質的データ分析法 原理・方法・実践』 新曜社
コトバンクhttp://kotobank.jp/word/%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3
ニュース記事引用元http://starin.edaily.co.kr/news/NewsRead.edy?SCD=EA21&newsid=01197206599626008&DCD=A10202