1: InDesign – パブリッシング専用プログラム
デスクトップパブリッシング(DTP)専門のプログラムであるAdobe InDesignは、本や雑誌を作成する際にブックデザイナーが使うソフトウェアです。 InDesignには電子書籍デザイン用の優れた機能があり、固定レイアウトと画面の大きさに合わせた折り返し表示が可能なリフロー型電子書籍の両方を作成できます。
InDesignの最新版は、よりEPUBに適した機能を持つための需要の増加に合わせて特別に調整されていますが、同じ基本的テクニックを使用してCS5やCS6でもEPUBを簡単に作成することもできます。
また、こちらのチュートリアルでは、InDesignで電子書籍を作成するためのコツを説明しますが、他のソフトウェアを使用することもできます。 QuarkXPressとMicrosoft Publisherは、InDesignに似たインターフェイスを備えていますが、Scribusは無料の優れた代替ツールでWindowsとLinuxに対応しています。
2: デジタル出版用にドキュメントを設定する
まずInDesignを起動したら、[ファイル > 新規 > ドキュメント]を選択するとき、ウィンドウ上部のドロップダウンメニューから「デジタルパブリッシング」 を選択していることを確認します。
これにより、ページのサイズをピクセル(px)で設定できます。 InDesignでは、Kindle、iPad、iPhoneなどのデジタルパブリッシング形式に適したデフォルトページサイズも提案されます。
標準のリフロー可能なEPUBブック(以下でもっと詳しく)を作成する場合は、見開きページボックスがオフになっていることも確認する必要があります。
3: リフロー型のEPUB形式
電子出版のフォーマットEPBUには固定レイアウトと画面の大きさに合わせて可変の折り返しとなるリフロー型の形式があり、ドキュメントのスタイルに応じて、どちらかを選択します。
小説のようにテキストが中心の本は、リフロー型に設定します。
リフロー型EPUBフォーマットには、選択、強調表示、および検索が可能な 「ライブテキスト」 が含まれます。 リフロー型はテキストのサイズや書体のサイズを変更することもできます。 これによりテキストの行が拡張され、他の行に折り返され、「リフロー」します。 リフロー型はテキストが中心の本であればどんなデバイスでも読み易く表示されるので適しています。
4: 固定レイアウト型のEPUB形式
固定レイアウト型のEPUBは 「固定」デザインであり、レスポンシブではありません。 デザイナーが意図した通りに表示されるため、画像が多い電子書籍や電子雑誌に適しています。
多くの画像、ダイアグラム、背景色、インタラクティブ要素(ビデオやアニメーションなど)を本に追加する場合は、固定レイアウト型のEPUB形式が適しています。
5: 固定レイアウトではサイズを正しく設定する
リフロー型のEPUB形式は、デバイスの画面サイズに適応するレスポンシブタイプで、電子書籍リーダー、タブレット、コンピュータなど、どんなデバイスでも読みやすく表示されます。
画像素材 #649719514 寄稿者： TierneyMJ
固定レイアウト型EPUB形式では、表示デバイスによって異なる特定のサイズ(ピクセル単位)をページに設定する必要があります。 そのため多くの読者がタブレットで電子書籍を読むと思われる場合は、InDesignドキュメントのサイズを、タブレット画面の最も標準的なサイズで設定します。
6: コンテンツを整理する
電子書籍が印刷書籍に比べて優れている点の1つは、何回かスワイプしたりタップしたりするだけで、すばやく簡単に本を読み進められることではないでしょうか。
読者が理解しやすいように、書き出す前にコンテンツを整理することはとても大切です。 多数のチャプターまたはサブセクションがある長いブックで作業している場合は、InDesignドキュメントをブックファイル[ファイル > 新規 > ブック]として設定します。
このマスターブックファイル（ブックウィンドウのドロップダウンメニューで、 「ドキュメントを追加する」 をクリック）に個々のチャプターを追加し、セクションのページ番号を調整できます。
アーティクルパネル（ウィンドウ > アーティクル)を使用して、コンテンツを読者の理解しやすい順序に並べ替えます。 例えばあるテキストの後に、特定の画像を表示する場合、アーティクルパネルを使用してテキストフレームの後に画像フレームを持ってきます。
7: カバー画像をアップする
電子書籍のカバーデザインは、紙のカバーデザインとは少し違う部分があります。 一般的に電子書籍のカバーは、最初は小さなサイズでストアのウェブサイトのサムネイルとして表示されます。 このためサイトを眺めている購入者を引き付けるように、サムネイルでも本の内容がよくわかるデザインがオススメです。
タイトルを強調したサイズに拡大、テキストを背景に対して大きく対照的な色に設定します。 活字が明瞭で読みやすく、本のジャンルがすぐに伝わるようにしましょう。
本のカバーをInDesignドキュメントの最初のページに配置するか、電子書籍を書き出すときにカバーとして設定できる、個別の画像ファイルを作成します。
電子書籍のサイズを正しく設定する必要性については、#5で既に説明しましたが、カバーのアートワークのサイズを変更する方法はかなり異なります。 電子書籍ストアによってカバーサイズの基準が異なるため、Amazon Kindle、Apple iBooks、Luluなどが推奨している内容を事前に確認してから各ストアにカバー画像をアップします。 これらのスペックは、eReaderテクノロジーの進化に伴ってよく変更されるため、頻繁に確認するようにしてください。
InDesignで電子書籍レイアウトを作成することは比較的簡単ですが、ブックカバーの制作には、より多くのデザインスキルが必要になる場合もあります。 Shutterstock Editorを使えば、直感的にブックカバーを作ることができます。
8: 読み易いフォントを使う
電子雑誌や画像の多い本のような固定レイアウトの出版物の多くは、スマホやタブレット、ラップトップPCで読まれています。これらのデバイスからの光は目に負担をかけることがあり、読者が読むためだけにページを拡大する手間も避ける必要があります。
このことを念頭に置いて、固定レイアウトのEPUBを作成する場合は、読みやすいフォントを選択し、大きめのフォントで行間を広く取りましょう。 InDesignでは文字パネルと段落パネルで、テキストの書式を調整できます(ウィンドウ > 書式と表 > 文字 > 段落)。
9: ページにエレメントをアンカーする
リフロー型でEPUBファイルをエクスポートすると、ページレイアウトが乱れる場合あります。 画像とテキストフレームの位置がずれないようにするには、InDesignドキュメントにそれぞれのエレメントをアンカーしておきましょう。
アンカーはテキストフレーム内の特定のテキスト部分にエレメント（例: 画像やイラスト）を効果的に結合します。 画像やイラストをテキストフレームにアンカーするには、[[編集 > コピー]で要素をコピーして、テキストツール (T) カーソルをテキストフレーム内の適切な位置にクリックして、[編集 > 貼り付け]で要素をテキストフレームに直接貼り付けます。 貼り付けた要素の右上に小さなアンカー記号が表示されます。
[オブジェクト > アンカーオブジェクト > オプション]を選択し、位置をインライン、行の上またはカスタムに調整すると、書き出されたアンカー要素(つまりテキストに対するその位置)の表示方法を調整できます。
#10: EPUB形式への書き出し
カバーを作成、ページを組版し、本のセクションを整理したら、がんばって作成した作品をEPUBファイルとしてエクスポートできます。
ドキュメントをブックファイルとして設定していない場合は、[ファイル > 書き出し]を選択し、 形式ドロップダウンメニューからEPUBを選択します。
ブックファイルを設定した場合は、ブックウィンドウのドロップダウンメニューから、[ブックをEPUBに書き出す]を選択します。
開いたウィンドウで、EPUBのバージョン(ご自身の電子書籍ストアで推奨されているバージョンをご確認ください)を選択し、カバーのドロップダウンメニューから最初のページをラスタライズ、またはイメージを選択します。
エクスポートしたEPUBの画像の解像度を編集する場合は、左側のメニューで画像オプションをクリックし、使用可能なオプションを調整します。
準備ができたら、 OKをクリックしてEPUB形式で本を書き出してください。
紙に印刷された本ではなく、電子書籍として本を制作することには多くの利点があり、もしあなたが自費出版の著者で、本を配布した経験がないなら、EPUBは間違いなく最高のフォーマットです。 電子書籍は印刷する必要がないため、制作コストが安くすみ、InDesignを購入(または、AdobeのWebサイトから30日間の無料試用版をダウンロード)して、デザインに時間をかけるだけで済みます。 |
