パリから来たディエゴはアフリカ系フランス人で、フランス語なまりのスペイン語なので、何言ってるかわからない。

さらに、ドレッドヘア、ガリガリ、長身、薄汚くて見るからに怪しさ満載。

この間、家の前の殴り合いのケンカでも、おもしろいからベランダから見てたら、

最後に収めたのはディエゴだった。

 

ディエゴと話していると、近所のイギリス人紳士は「あんなドラッグディーラーと話すなんて!」と眉をひそめる。

え?ドラッグディーラーなんだ。じゃ、なんであんたそれ知ってるのよ。突っ込みたくなる。

ディエゴは、いや、この街のディーラーは私にそんな話を一度でも、持ちかけたことない。

たまに新人が声かけてくると、「この姉ちゃんにそういう事言うなよ」と誰かが必ずいさめてくれる。

そもそも、そういうイギリス紳士だって、いつもラリってるじゃないか。

 

私が路上に放り出されて、困ってる時ディエゴはチュニジア人の黒服アミールと一緒に私をバーに誘い出して、事が収まるまで避難につきあってくれた。お互い、何言ってるかわかんないのに(笑)

 

ディエゴはベロベロに酔った私を、娘のところに送り届けて「かあちゃんの事頼むよ」と言って「紳士的に」立ち去った。

 

ディエゴとのつきあいは8年になる。路上で立ち話するだけの関係だ。

でも、「Hola! Mi amor! Que pasa!」とどんなに離れていても声をかけてくれる。

昨日、ばったり会って「今からバスの運転するんだ~」と言うと、

「おまえはなんでもできる、すごいかっこよくてsexyな女だよ」と珍しくまじめにコメント。

フランスなまりが抜けない自称「ジャゴ」。誰がなんと言おうと、彼が何者であろうと、今では大事な私の生活の一部だ。