傷病手当金を受給中に退職しても傷病手当金をもらうことはできます。

 

 

  傷病手当金

 

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。なお、*任意継続被保険者(健康保険の被保険者が、退職した後も、選択によって、引き続き最大2年間、 退職前に加入していた健康保険の被保険者になることができる制度。)の方は、傷病手当金は支給されません。

 

 傷病手当金がもらえる条件

 

被保険者(健康保険に加入し、病気やけがなどをしたときなどに必要な給付を受けることができる人のこと)が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。

 

 

 ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。

 

 被保険者になれる人

 

適用事業所に使用されている人は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、次の「適用除外」に該当する場合を除いて、すべて被保険者となります。

 

以下は適応除外に該当する者。

  • 船員保険の被保険者
  • 所在地が一定しない事業所に使用される人
  • 国民健康保険組合の事業所に使用される人
  • 健康保険の保険者、共済組合の承認を受けて国民健康保険へ加入した人
  • 後期高齢者医療の被保険者等

 

 

また被保険者のうち、次の人は、法第3条第2項の規定による被保険者となります。

  • 臨時に2か月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えない人
  • 臨時に日々雇用される人で1か月を超えない人
  • 季節的業務に4か月を超えない期間使用される予定の人
  • 臨時的事業の事業所に6か月を超えない期間使用される予定の人

 

 支給される金額

 

1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のことです。)(※)支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。

 

  • 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  • 標準報酬月額の平均額
    30万円(※):支給開始日が平成31年4月1日以降の方
    ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

 

傷病手当金の申請期間の初日の属する月までの12ヵ月間に、勤務先が変更した場合もしくは、定年再雇用等で被保険者証の番号が変更した場合、または退職後に任意継続被保険者になった場合は、添付書類が必要です。ただし、全国健康保険協会に加入していた場合に限ります。

 

 

 傷病手当金の調整

 

1⃣~5⃣にあてはまる場合、傷病手当金の支給額の一部または全部が調整されます。

 

1⃣給与の支払いがあった場合

休んだ期間について、給与の支払いがある場合、傷病手当金は支給されません。ただし、休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

2⃣障害厚生年金または障害手当金を受けている場合

同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。また、障害手当金の場合は、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達することとなる日までの間、傷病手当金は支給されません。

 

3⃣老齢退職年金を受けている場合

資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が、老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。

 

4⃣労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合

過去に労災保険から休業補償給付を受けていて、休業補償給付と同一の病気やけがのために労務不能となった場合には、傷病手当金は支給されません。また、業務外の理由による病気やけがのために労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。

 

5⃣出産手当金を同時に受けられるとき

傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額を支給することとなります。※なお、傷病手当金を受け取った後に、1~5に該当していることが判明した場合は、傷病手当金を返すことになります。

 

 

 支給される期間

 

病気やけがで休んだ期間のうち、最初の3日を除き(これを「待期」といいます。)4日目から支給されます。その支給期間は、令和4年1月1日より、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月に変わりました。ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合は、いままでどおり支給を開始した日から最長1年6ヵ月までの期間になります。

 

 

  まとめ

 

退職しても傷病手当金はもらえる?かについてまとめました。退職をすると健康保険の被保険者の資格を喪失してしまいますが、次の一定の要件を満たした場合は、退職後も支給開始から1年6か月を限度に傷病手当金が支給されます。

 

  • 資格喪失した日の前日までに引き続き1年以上被保険者であったこと。
  • 資格喪失した際に傷病手当金の支給を受けていた、又は受けられる状態であること。


資格喪失した際に会社から給与(報酬)を受けていて傷病手当金が支給されていなかったときでも退職後に傷病手当金の支給を受けることができます。また退職時に有給休暇を取得していたために傷病手当金の支給を受けていなかった場合も同様です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。参考にしていただければ幸いです。

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