ら「何ィッ!?」

 

かたな「ふふふ・・・・あたしの勝ちみたいだね♪」

 

 

さら「そんな・・・・ボクの方がリーチは長いはず・・・・」

 

かたな「そのリーチが命取りだったね。」

 

さら「なんだと!?」

 

かたな「どうしても大振りになるから・・・・タイミングを見計らって、懐に入りさえすれば・・・」

 

マスター「言うのは簡単だが・・・・実際に実践するとなれば・・・」

 

かたな「伊達にハイスピードトライクの名は冠してないよ!」

 

マスター「ほう!言うな。」

 

かたな「ふふ♪」

 

マスター「さて・・・・沙羅。」

 

さら「・・・・・。」

 

マスター「お前は負けた。」

 

さら「・・・・う、うん・・・」

 

マスター「わかってるな?」

 

さら「しかたないよね。」

 

かたな「な!?どういう事!?」

 

マスター「俺は弱い神姫に用は無い。」

 

かたな「それで?」

 

マスター「だから、沙羅の役目はここまでだ。」

 

かたな「なんだって!?」

 

マスター「今までだって、沙羅に勝てない神姫はすべて処分してきた・・・」

 

かたな「処分って?」

 

マスター「まず、リセット、再育成の後でも成果が得られなければ・・・・廃棄だな。」

 

さら「仕方ないよ、ボクは今までそうやってたくさん・・・・・」

 

マスター「だが、もう一度チャンスをやろう。」

 

さら「え?」

 

かたな「?」

 

マスター「今度、地下神姫タッグトーナメントが開催される。」

 

かたな「地下?」

 

さら「タッグ?」

 

マスター「俺が強い神姫に拘るのは、地下神姫の大会に勝つためだ!」

 

かたな「いや、だから・・・地下って?」

 

マスター「あ、ああ!地下ってのはだな・・・」

 

 

マスターの話によると、

 

毎年、非公式の実戦による神姫バトルが行われているという。

 

ルールは相手を破壊、もしくは行動不能に陥れるまで行われるデスマッチ。

 

普通、神姫センターで行われるバトルは神姫を筺体にセットして、

 

その能力を数値化、データによるシミュレーションとして、ヴァーチャルに再現するものである。

 

それゆえ、バッテリーの消費こそあるものの、実際に戦闘している訳ではないので、

 

神姫が破損する事は無い。

 

しかし、地下バトルは実際に神姫自身を戦わせる「リアルファイト」なのだ。

 

ルールは決められたフィールドで相手を倒すというただ一点のみ。

 

当然、MMS管理機構によって、非合法とされている行為である。

 

そこで優勝するという事は、実戦において最強の神姫の証明となるとマスターは言った。

 

今回ははじめて「タッグマッチ」形式で行われるらしい。

 

 

 

マスター「どうだい?片奈。」

 

かたな「ふう~ん・・・・さらと一緒なら良いよ。」

 

さら「え?」

 

かたな「あたしたちでさ、優勝狙ってみるのも面白そうじゃん!」

 

さら「・・・・・かたな・・・・」

 

 

 

片奈。

 

マスターが新しく迎えた神姫。

 

今までの怯えたような他の連中とはどこか違っていた。

 

ボクにとって、他の神姫はすべて倒すべき対象でしかなかったし、相手もそのはずだった。

 

ボクは「外界」を知らない。

 

来る日も来る日もマスターの部屋で、他の神姫を倒し続けてきた。

 

ボクに負けた神姫はみんないなくなってしまった。

 

そして、ボクは負けた。

 

でも・・・

 

片奈はボクとは違った。

 

ボクに手を差し出す。

 

 

かたな「さぁ!一緒に行こう!!」

 

 

ボクはその手を掴んだ。

 

 

そして・・・

 

 

 

つづく。

 

 

※この記事は2010年11月29日に投稿したものを再録しました。