これを読まれていらっしゃる皆さまは、「法事」や「供養」はなぜ行うか考えてみたことがおありでしょうか?もちろん、お一人お一人さまざまな故人さまへの想いや、気持ちがあって供養を営まれていると思います。
和尚様によっても、説明や解説も異なります。
ここで、私なりに年回の解説してみたいと思います。
まず、曹洞宗の葬儀は、『授戒(戒律を授かって)成仏(ホトケになる)』を基本にしておりますので、「生前授戒」するご縁がなかった方にも、「没後(お亡くなりになったあとでも)授戒」を受けて「ホトケサマ」になっていただきます。
これを授かりますと、故人さまは、遠くはお釈迦様、達磨大師さま、道元禅師さま、菩提寺ご開山様、現在のご住職さままでのすべての和尚様方の弟子になり、あの世へお送られます。ですから、日本では、昔から、お亡くなりになられた方をよく「ホトケサマ」といいますネ。これは、自動的に「ホトケサマ」になるのではなく、葬儀を通じて遺された遺族のみなさまが、大切でかけがえのない故人さまを「ホトケサマ」にするのです。
さらに、初七日は別名「初願忌」。故人の想いを遺族の皆様が胸に刻んでお一人お一人が「願い」を立てる日です。
そして、49日は、「大練忌」。「大きな」「練」=「修行」が終わり、あの世に安堵いたしましたというお参りです。
さらに、100ケ日は、「卒哭忌」。「100日たつので、そろそろ嘆くのを卒業してゆきましょう。」という意味です。
そして、1年後の一周忌は「小祥忌」。「小さく」この「祥」という字の「ネ(しめす編)」は、お供えを示す台を模した漢字です。「示」の字の下の「小」は台の3本足、その上にお供え物を乗せる台があり、お供物が乗っています。右の「羊」は貴重なものという意味です。
これが、三回忌になりますと、「大祥忌」。「小」が「大」になり、お供えものが大きくなるわけです。
さらに、七回忌は、「休廣忌」。(ひろく休らう)の意味ですが、分かりずらいですね。もう一つ、「超祥忌」という言い方もございます。つまり、一周忌から、「小」→「大」→「超」とどんどん「ホトケサマ」が年回を重ねる度に大きくなっていくわけです。故人の「想い出」は彼方に行ってしまうけれど、「ホトケサマ」として、手を合わせる存在は「大きく大きく」なっていきます。
そして、二十三回忌を「思実忌」と申しまして、故人の「思い」が「実現」するというお参りです。私ももう学生時代から30年以上、法事をしておりますが、二十三回忌に、亡き故人の意思を継いだ息子さんや、娘さんが故人の意思を現実に成し遂げる例が多いです。
そして、三十三回忌の「清浄本然忌」で、身も心も清らかに自然宇宙と一体化します。ここまで来ますと、今度は自分の番になります。
このように、法事や供養というものは、古の人が、故人の恩を次の代、そのまた次の代へと「恩」を忘れずに送っていく「恩送り」の集いだと思います。
「因縁」の「因」を「心」に刻む。それが「恩」という字です。
いつまでも、故人さまの「恩」を忘れずに、毎日「手を合わせ感謝の日暮らし」をしたいものです。
合掌(^人^)
瑞岩寺 住職 長谷川俊道
podcastHASEの金曜は聴きこみ寺(旧:こまった時の聴きこみ寺)(毎週金曜日好評配信中!!!)
群馬県・太田市にある瑞岩寺の住職HASEの一風変わったトーク番組。
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【HASEこと長谷川俊道について】
天文12年(1543年)創建の瑞岩寺住職。社会福祉法人毛里田睦会理事長(札幌市麻生むつみ保育園、横浜市北寺尾むつみ保育園、北寺尾第二むつみ保育園、毛里田児童クラブ、特別養護老人ホーム毛里田を運営)。毛里田こども園園長。1967年2月27日、群馬県生まれ。駒澤大学仏教学部禅学科卒業後、福井県・永平寺で3年余り修行。修了後は永平寺から群馬の自宅まで1か月かけて托鉢しながら帰宅する。その後、東京・東久留米のお寺を経て、ハワイ・パールハーバーのお寺に赴任。7年半ハワイで住職として過ごした後、帰国。実家の瑞岩寺の副住職に就任。その後、2018年に瑞岩寺住職。社会福祉法人毛里田睦会理事長に就任する。
著書:
『お坊さんが教える「悟り」入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799314688/
『お坊さんが教える「悟り」入門 <大活字版>』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799320114
『人生に悔いを残さないための「悟り」入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799323776/