先日、イタリアに行って参りました!今年の冬季オリンピックはイタリアですが、もちろん、その関係ではなく「イタリアのレッジョ・エミリア・アプローチ」という幼児教育の手法を学びに全国の保育園・幼稚園・こども園の園長先生方とイタリアの幼児教育施設を視察見学させていただきました。実は、社会福祉法人毛里田睦会が運営している「まちの保育園東池袋」もこの「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れており、「まちの保育グループ」に属して既に10年近く幼児教育を行なっております。
イタリアの幼児教育施設を南から北までいくつか回らせていただいたのですが、驚くことがいくつもありました!やはり、現地に行くと書籍やネットでは知ることのできない様々な生の情報や知見・経験が手に入るものです!
イタリアの歴史は古く、世界遺産の数も世界一です。人口も経済規模もちょうど今の日本の半分くらいであり、日本と同じように少子高齢化が進んでおります。イタリアでは、幼児期(0〜3歳、3〜6歳)向けの施設として、一般に「 Asilo nido(0〜3歳)」「 Scuola dell’infanzia(3〜6歳)/保育・幼稚園的機能」があります。そして、「子どもの尊厳を大切にする」という主旨から、多くの施設が10時間以上の保育をしていませんでした。教育委員の女性が、「10時間以上教育施設(保育園も含む)に連続で子どもを預けることは子供の成長にとってよくない」と仰っていました。法律で決まっているわけではないそうですが、「子どもの尊厳を守る」ということを大事にしているようでした。私が日本に戻ってきた20年前頃から始まった日本の保育園の「早朝保育」、「延長保育」、「土曜保育」、「日曜保育」などは論外みたいです!目を丸くして驚かれました。(笑)
日本の高度成長の時代は、経済は右肩上がりに上昇していたので、日本人は長時間労働をし、そのために子どもたちの多くが保育園や幼稚園で長時間の保育や幼児教育を強いられてきました。国の政策もそれを後押ししていました。
驚くことに、イタリアの園児のプライバシー保護のために、保育園の開園中は、施設内見学ができなかったのですが、見学した保育園、幼稚園はすべて16:30には、既に園児が一人もいませんでした。昨年度、フィンランドとデンマークの保育園や幼稚園も視察した際も同じでした。全ての施設がこういうわけではないのでしょうが、定員は60人ほど、(「100人以上の規模の保育は園児のためにならない」と仰っておられました。)0〜3歳は先生1人に対して生徒3人〜5人。それ以上のクラスは先生1人に対して生徒7人くらいで、グループで保育がなされていました!
さらに、驚いたのは、先生が今日の「やるべき課題」を園児に提供するのではなく、園児が「今日はこれをしたい!」という欲求を先生方が、聞いた上で園児に提供するのです。まさに、「園児主導の保育」「園児主役の保育」です。
ですから、各クラスが決まっているのではなく、「今日はこれをしたい!」という子どもたちが、集まって、そこに先生方が配置されていくスタイルです。
日本でいうと、中学とかの、数学は「〇〇先生」、英語は「△△先生」、理科は「××先生」のように園児がクラスに移動するのではなく、先生が園児のためにクラス(園児が興味のあることをしている場所)を移動するのです!
さらに、園児はただ、好き勝手に遊んでいるのではく、きちんと目的をもって遊び(学習)をしていました。教育省(日本でいうと教育委員会のようなもの)から、職員が派遣されていて、各州、各市町村に配置されていました。「教育担当」「障がい児担当」「経営(配置人数)担当」ときちんと担当者が決まっているのも良かったです。
日本だと、経営・会計・職員のマネジメント・教育などすべてを園長が担当するので大変です。さらに、障がいを持ったお子さんも、市町村に認定されないと保育士加算がつきませんし担当職員を配置できません。さらに担当する保育士は障がい児に関してはシロウトの専門家ではありませんので、そこから学び始めるのです。
これは、学童や介護分野にも言えることですが、多くの学童や介護施設では資格のない方でも働くことができます。驚くべきことです!
僕が特養(特別養護老人ホーム)を始めて驚いた最大のことが、この事でした!介護の職につくのに、もちろん介護士やヘルパーの資格のある方が採用できれば一番良いのですが、資格がなくても働けることでした!介護の職員の採用が30万人も40万人も不足しているのですから仕方のないことですが、非常に危ないです。ですから、当法人ではミャンマーの職員をたくさん採用させていただいております。そこには、一定の審査がありますので非常にレベルやモチベーションの高い職員に来ていただいております。
さらに、小さいお子さんがスマホやゲームで遊んでいるところは、あまり見ませんでした。特に印象的だったのは、多くの国民が素敵なカフェやレストランで夜通し飲んだり、食べたり、しゃべったりしていること。友人や家族、社内の仲間との時間を非常に大切にしている風土でした。どこの町にも素敵なレストランやカフェがあり、雨が降っていても、外のテラスで食事やワインを楽しんでいる方々が多かったことです。そこに小さな子どもたくさんおりましたし、公園でも広場でも子どもたちが「外で」「いつまでも」遊んでいました!
暑いこともありますが、今の日本で外で子どもたちを見ることが本当に少なくなったと感じます。わざわざ、室内遊技場でボーリングや、ダーツ、カラオケ、ゲームも悪くはないのですが、わざわざお金を払って、室内遊戯で「遊ぶ」必要がどれほどあるのでしょうか?
最近参加したセミナーで、有名な講師の先生が、今から20年後の世界のお話をされていました。20年後はAIエージェントが、ほぼ人間の仕事を代行し、介護や教育の分野まで進出してくるそうです。学校の先生がAIで授業したり勉強を教えたり、介護ロボットがお風呂やトイレの介助ができるようになるそうです。非常に安心で安全な世界が実現でき、すべての国民にベーシックインカムを支払う社会になるだろうと仰っておられました。すばらしいですね!!
では、人間は何をすれば良いのでしょうか?
脳科学者の茂木健一郎さんの、『生きがい』という書籍にこんなことが書いてありました。
『「生きがい」とは、「生きる喜び」、「人生の意味」を表し、「生きる」と、「値うち」を指す「甲斐」から成っている日本語である。「生きがい」は1000人の人がいれば1000通りの「生きがい」があり一人一人みんな異なる。そして、「生きがい」を持つことで、より長生きし、より健康に、より幸せに、より満たされ、ストレスをより感じにくくなることが可能である』と。
さらに、『「生きがい」とは、自分にとって意味がある、人生の喜びを発見し、定義し、楽しむことに尽きる」ことで、一人一人が自分自身の「生きがい」を見つけ、培い、密かにゆっくり、独自の果実を得るまで、育てていけばいい。』
「あなたが心の中で一番大事にしているものは何か?」
「あなたに喜びを与える小さなことは何か?」
「あなたがもっと幸せで、もっと実り多い人生にするために、あなた自身の「生きがい」を見つけよう。以上の問いがあなたの「生きがい」を見つけるためにとてもよい質問となる」と。。。。。
「レッジョ・エミリア・アプローチ」も実は、子どもたちの一人一人の尊厳を大切にし、一人一人の園児の興味や関心を引くような環境設定をし、それを深めていく教育方法です。
同『生きがい』の中にこんなことも書かれていました。
『ダーウィンにとってのフジツボのように、心から熱中できる何かを見つけること。世間の評価に振り回されるのではなく、自分の心に従うこと。「生きがい」を感じることにもつながるし、結果そして学びを深め、進むべき道を切り拓いてくれる。』と。
AIやロボットに利用されるのではなく、一人一人がAIやロボットと共存し、実は「生きがい」を実現できるような世界が近ついているのかもしれません!そのお手伝いをするのが、私の「生きがい」です。合掌。
※レッジョ・エミリア・アプローチ(Reggio Emilia Approach) は、第二次世界大戦後のイタリア北部エミリア=ロマーニャ州レッジョ・エミリア市で生まれた、幼児教育の革新的な教育法です。
創始者は教育者 ロリス・マラグッツィ(Loris Malaguzzi)。彼は「子どもは無限の可能性をもつ主体的な存在」であり、教育は「子ども・教師・親・環境の三者協働」で行われるべきだと考えました。
基本理念(5つの柱)
①子どもは「有能な学び手」
子どもは受け身ではなく、自ら世界を発見し、意味をつくり出す主体。
教師は「教える人」ではなく、「共に学ぶパートナー」となります。
② 「環境は第3の教師」
教室や園のデザイン(光、空間、素材など)が子どもの探究心を刺激すると考えます。
壁面の装飾や作品展示も、単なる飾りではなく「子どもの思考の記録」として重要です。
③「プロジェクト活動(探究的学び)」
一斉指導ではなく、子どもの興味関心からテーマを見つけて長期間のプロジェクトを展開します。
例:影、風、森、音、水、街など。
子どもが「なぜ?」「どうして?」と感じた疑問を深く掘り下げます。
④「ドキュメンテーション」
子どもの会話・作品・行動を教師が丁寧に記録し、学びの過程を“見える化” します。
写真・メモ・映像・展示などを通して、子どもの思考や成長を保護者や社会と共有します。
⑤「協働と対話」
子ども・保護者・教育者の三者が対等なパートナーシップを築きます。
家族も教育の一部を担い、地域全体が子どもを育てるという発想です。
<現代教育への示唆>
AI時代の今こそ、「答えを教えない教育」「問いを生み出す力」「協働的創造」が注目されています。
レッジョ・エミリア・アプローチはその実践モデルのひとつであり、子どもの主体性を中心に据えた教育の先駆けといえます。
合掌
合掌(^人^)
瑞岩寺 住職 長谷川俊道
podcastHASEの金曜は聴きこみ寺(旧:こまった時の聴きこみ寺)(毎週金曜日好評配信中!!!)
群馬県・太田市にある瑞岩寺の住職HASEの一風変わったトーク番組。
毎週金曜日、未知なる“寺スタジオ”に素敵なゲストをお迎えします!
インタビュアーであるHASEが、“住職”という枠を超えて、あんなことやこんなことを聴いちゃいます♪
さぁ、金曜は寺スタジオでゆったりまったりゲスト対談をお楽しみください。
【お便り】
宗教法人瑞岩寺ホームページ(www.zuiganji.com)、または、社会福祉法人 毛里田睦(もりたむつみ)会 (www.morita-mutsumikai.com)のお問い合わせフォームよりお送りください。
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【HASEこと長谷川俊道について】
天文12年(1543年)創建の瑞岩寺住職。社会福祉法人毛里田睦会理事長(札幌市麻生むつみ保育園、横浜市北寺尾むつみ保育園、北寺尾第二むつみ保育園、毛里田児童クラブ、特別養護老人ホーム毛里田を運営)。毛里田こども園園長。1967年2月27日、群馬県生まれ。駒澤大学仏教学部禅学科卒業後、福井県・永平寺で3年余り修行。修了後は永平寺から群馬の自宅まで1か月かけて托鉢しながら帰宅する。その後、東京・東久留米のお寺を経て、ハワイ・パールハーバーのお寺に赴任。7年半ハワイで住職として過ごした後、帰国。実家の瑞岩寺の副住職に就任。その後、2018年に瑞岩寺住職。社会福祉法人毛里田睦会理事長に就任する。
著書:
『お坊さんが教える「悟り」入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799314688/
『お坊さんが教える「悟り」入門 <大活字版>』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799320114
『人生に悔いを残さないための「悟り」入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://www.amazon.co.jp/dp/4799323776/