博多座「三銃士」の公演中、ルイ13世役の、今拓哉さんから美味しいお肉屋さんがあることを聞きました。
僕は早速行きたい!と、詳しい場所を聞き、独りで行ってみることにしました。
 
門構えは、いたってシンプル。
スイモアマイモカミワケタおばあちゃんが、たったひとりでやっていそうな“ミート感”をいっさい感じさせない古い居酒屋の様ですが、中に入ってみると、感じのイイ若いお兄ちゃん2人が
 
「いらっしゃいませ!」
 
 
そしてそこは、やはり“ミート感”を感じさせない、よくある定食屋さんな感じ。
 
いささか不安をおぼえるアンバランスっぷり。
 
 
とにかくまずはビールで乾杯フォ~ミィ~。
そしてメニューを見てみて一安心。
間違いなく“ミート”です。
 
早速、今さんオススメのお肉をひと通り頼みました。
 
 
 
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…頼みすぎました。
 
 
でもでもお味は最高っ!!
 
そういえば、今さんがボトルキープしていて、飲んでいいとおっしゃってくれていましたので
 
「すみません、今で、焼酎のボトルが入っていると思うんですが…。」
 
 
「ございました。」
 
 
「お願いします。」
 
 
美味しいお肉と美味しい焼酎、最高です!
 
ガンガン食べてガンガン飲んで…
 
気が付いたらミートもボトルの焼酎もなくなっていました…約30分で。
 
 
「ご馳走様でしたー。」
 
 
「有難うございました!」
 
 
いやいや、ちょっと待ったっ!
このまま帰るわけにはいかない!
今さんのボトルは空っぽになってしまっている…。
さすが仏の今さんも、それでは気ぃ悪いに違いない。というか、こういう場合は、ちゃんとボトルを入れておくのが礼儀だ!それが、大人というものだ!
 
「すみません、同じボトルもう1本ください。」
 
今さん名義の新しいボトルキープ完了!
 
 
次の日、今さんにご報告をさせていただき
 
「ボトルは気にしないで飲んで。」
 
なんとも優しいお言葉をいただきました。
 
それから、そのお店にすっかりハマった僕は、週に2回のペースで独りミート&焼酎をしていたのですが、ある日の事、そのお店に今さんは、最初の1回行っただけで、その後行っていないと知りました。
 
ん?ということは…ひょっとしたらお店の人、僕のことを今さんだと思っているかもしれない。
 
それに気づいた日から僕は“いつも独りの今様”として、そのお店に通うことになったのです。
 
「いらっしゃいませ!」
 
「どーも、(気持ちは)今です。」
 
 
ミートを食らう。
 
「すみません、今(あたかも自分のことのように)のボトルお願いします。」
 
焼酎を嗜む。
 
「すみません、今で同じボトル一本入れといてください(ホントは違うけど)!」
 
そんな日々が続きました。
 
 
ある日、いつものように
 
 
「いらっしゃいませ!」
 
「どーも、今です。」
 
ミートを食らう。
 
「すみません、今のボトルお願いします。」
 
「…すみません…あのう…3階のお座敷に“今様”のボトルがいってるんですが…?」
 
しまった、とうとうバレてしまった。
 
ちょっとした犯罪者のような気持ちになりましたが…
 
ん?おかしいなぁ…“今”は俺なんだけどなぁ…?
さてはお座敷で、ニセモノの“今”が俺の名前を使って勝手にボトル飲んでるなぁ!?
 
という感じの表情を一瞬やって
 
「お座敷に行ってみていいですか?」
 
「あ、どうぞ。」
 
…今さんになりすまして生きてきた事、今さんに正直に謝ろう!
そして、丁寧にお礼を言おう!
と、ホンモノの今さんの元へと、一歩一歩階段を上がりました。
 
 
そして、ややコウベを垂らしつつ、お座敷の襖をゆっくり開けるとそこには…
 
 
今拓哉さんの姿はなく
バッキンガム公爵と、アンヌ王妃、そしてダルタニャンの友達や、パリの商売人や、貴族やらの3名、計5名がルイ13世のボトル(その時点で3本目だったので、もはや“今”と書かれた“坂元”のボトル)を飲みながらミートパーティーをしていたのでした。
 
 
そして、バッキンガム公をこよなく愛する従僕ジェイムズ、“元祖ホンモノのニセモノ今”も加わり、一緒にミートでボトルしました。
 
彼らが今さんのボトルを頼んだ時、お店の方が
 
「今様ではない今様がキープされているボトルですが、宜しいですか?」
 
と言われたそうです。
 
 
その後、ついにホンモノの今さんが、“今”と書かれた“僕”の4本目のボトルを飲みに行かれたそうです。
 
この場をお借りして…
 
本物の今さん!
有り難うございました!!