昨日は、2月28日にお亡くなりになられた小林アトムさんのお通夜に行って来ました。
冷たい雨にもかかわらず、本当にたくさんの参列者で、改めてアトムさんのお人柄を感じました。



本当は、アトムさんの事をブログに書く事は、すごく悩みました。
だけど
「人」を大切に思い「舞台」を愛するという事を教えてくれた、最後にお会いした時のアトムさんの様子を、皆様にお伝えしたくて、このブログを書く事にしました。


2月11日
「愛と青春の宝塚」の本番直前、アトムさんが楽屋を訪ねて来てくれました。

「あ!アトムさーん!!」
「おう~元気かぁ~?」

久しぶりにお会いするアトムさんは、いつもと変わらない笑顔で

「終わったらまたくるわー!」

と手を振って客席に向かわれました。

終演後も楽屋に来てくれて

「前回とだいぶかわったなー!?」

なんて、ご自分が出演されていた初演の話や、近況についてや、色々な会話をしました。

普段なら

「ちょっと呑み行こっか」
となるのですが、その日のアトムさんは、なかなか言い出しません。
それに、僕はその日、約束がありましたので

「アトムさん、今度呑みに行きましょうよー!」

とお誘いした時…

「実はさぁ、俺、ガンでさぁ、あと3週間って言われたんだよー。」

…………

あまりにも普通に話すアトムさんに、どんな冗談かと、一瞬は思いました。

でも、治療は続けるとのことで

「3月も、舞台演るから、暇あったら観に来てよ!!
やっぱり舞台人として最後の最後まで舞台に立ってたいからさぁ!」



2月27日
千秋楽の1幕と2幕の間、知り合いから、連絡が入りました。アトムさんがあと1週間と言われ、入院したのだと。みんなに会いたがっているのだと。

その日、打ち上げは欠席して病院へ会いに行こうかとギリギリまで考えましたが、面会時間を過ぎてしまうこともあり、次の日行くことにしました。


2月28日
病院へ向かう車の中で、連絡をもらいました。
アトムさんが、息を引き取られたと…。
病院に着いて、お会いできたのは、もう「おう~けんじぃ~」とは言ってくれないアトムさんでした。
でも、そのお顔は、泣き崩れる僕達に
「アホか~何泣いてんだよ!」
とでも言ってるような、微笑みの顔でした。
最後の最後まで、皆に心配をかけないように、気を使わせないように、自分が一番辛いはずなのに、こんなこと、なんでもないんだよと、陽気に演じきってくれた、小林アトムさんでした。

明日は
「愛と青春の宝塚」仙台公演。その後、熊本、大阪、札幌、名古屋と続きます。
僕が演じる海軍中尉、速水悠介が戦死したことを告げる録音の声は、アトムさんです。
旅立って行く人間の姿を、教えてくれたアトムさんに、少しでも褒めて貰えるように、心を込めて演じたいと思います。