「平成女児」がブームらしい。
最近では、シール帳を作って、シール交換をするのが流行っている。
子供たちもそうだが、親世代のママたちと親子2世代で楽しんでいる。
最近のヒット傾向として、①誰でも買える②景品性③2次流通(転売)
が特徴的だ。ラブブやハッピーセットのおまけ、上記のボンボンドロップシール。
フリマアプリなどで500円程度のシールが、数千円で取り引きされている。
わたしからすると、シールに数千円の価値などあるとは思えないが、手に入りにくい希少性から、価値が高騰している。
GDPに、転売の利益は含まれないが、2次流通を含めるとなかなかの規模になるのではないだろうか?
経済学的には転売ヤーは
「価格差を利用する仲介者」
安く買える市場(一次市場・定価販売)
高く売れる市場(二次市場・需要超過)
この価格の歪みから利ざやを得ている。
転売の発生要件
① 価格統制(定価・上限価格)がある
人気ゲーム機
限定グッズ
ライブチケット
本来の均衡価格より低い価格で売られているため、
需要 > 供給(超過需要)
行列・抽選・即完売
価格差が発生
この価格差を埋める役割として転売が生まれている。
3. 転売ヤーの「経済的な役割」
① 資源配分の効率化
転売市場では
「本当に欲しい人(高くても買う人)」に商品が渡る
支払意思額の高い消費者へ配分される
これはミクロ経済学では効率的配分とされる。
② 時間・探索コストの代行
転売ヤーは
並ぶ
抽選に応募する
情報を収集する
という取引コストを肩代わりしているとも言えます。
忙しい人が「お金で時間を買う」構造が成立しています。
4. ではなぜ闇なのか(厚生経済学)
ここが重要。
① 消費者余剰の移転
本来
定価で買えたはずの消費者余剰
が、
転売ヤーの利益に移転
しているだけで、社会全体の余剰は増えていない。
② 生産者に利益が還元されない
メーカーは定価分しか受け取れない
ブランド価値毀損・顧客不満が増大
価値を生んだ主体と利益の帰属がズレる
③ 人為的な供給制限(モラルハザード)
買い占め
ボット使用
複数アカウント
これは単なる仲介ではなく、
市場を歪める行為として批判されます。
5. 転売は「悪」なのか?
経済学的には
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 効率性 | 一部○ |
| 公平性 | ✕ |
| 社会的厚生 | △〜✕ |
| 市場の健全性 | ✕ |
効率性と公平性のトレードオフ
6. 政策・制度的な対応
① 価格を市場に委ねる
ダイナミックプライシング
メーカー直販の値付け改善
転売の利ざやが消える
② 転売を前提にした制度設計
本人確認付きチケット
転売公式プラットフォーム
ロイヤルティ課金(再販時にメーカーに還元)
③ 規制(効率は下がるが納得感は上がる)
チケット不正転売禁止法
ボット規制
7. 一言でまとめると
転売ヤーとは
「価格を上げられない売り手」と
「並びたくない買い手」の間に生じた
歪みから利益を得る存在
感情的に「悪」と言われる理由も、
経済学的に見るとかなり合理的に説明できます。
8.診断士ならどう助言するか
① 価格戦略の見直し
ダイナミックプライシング
上位版・限定版の公式高価格設定
支払意思額の高い層を自社で回収する戦略提案
② チャネル戦略の再設計
公式リセール
本人確認付き販売
再販時ロイヤルティ取得
二次市場を「敵」ではなく「管理下」に置く
③ 顧客セグメントの明確化
ファン向け
一般向け
プレミアム層向け
「全員に同じ価格」はもう限界
9.転売ヤー問題は「経営成熟度」の試金石
転売が横行する企業ほど、
価格戦略が曖昧
顧客の支払意思額を把握できていない
データ活用が弱い
という傾向がある。
裏を返せば、
転売問題を解決できる企業は、
マーケティングと経営の成熟度が高い
おわりに
転売ヤーは確かに腹が立つ存在だ。
しかし、診断士的に見れば、
「転売ヤーがいる」のではなく
「転売ヤーが成立する経営になっている」
と言える。
感情論で叩くだけでは、問題は何も解決しない。
構造を直す。
それが経営支援の基本であり、
中小企業診断士に求められる視点なのだと思う。