これはアクセス数などお構いなしに、自己中心的に書き綴っていくので、あまり期待しないでください(笑)

最近ちらほらスカステであらゆるバージョンの『ベルばら』を放映しています。

やはり宝塚といえば『ベルばら』というのは、もはや古臭いのかもしれませんが、この僕も例に漏れず、この作品でヅカ愛に目覚めました。

動画サイトで過去の作品を見たわけですが、その時に見たのが『オスカル編』(91年月組)です。

はい、時の月組トップスター涼風真世さん主演のものです。

ちょうどフランス革命が始まり200周年の年にあたったからなのですね。

その前年とこの年、宝塚では各組ベルばら祭りだったそうで、このオスカル編では、後に星組でフェルゼンを演じることになる安蘭けいさんの初舞台作品でもありました。

77期といえば、安蘭けい、花總まり、朝海ひかる、春野寿美礼さんなど多くのスターさんを輩出している期ですね。

今までに、『オスカルとアンドレ編』や『フェルゼン編』など多くのバージョンが上演されましたが、個人的には一周してこの『オスカル編』が構成的にいちばんまとまっていると思います。

当時は「アントワネットが出てこない」と騒がれたようですが、オスカルの人物像、フランス革命に至るまで、そしてアンドレとの恋模様がとてもバランスよく描かれているし、なんといっても涼風オスカルの美しさがいちばんの魅力なのです。

まあ欲を言えば、アントワネットぐらいはいてもよかったかなとも思いますね。

このオスカル編に近いものが『オスカルとアンドレ編』ですかね。ただこれに出てくるオスカルは、比較的悩みが多そうで、弱いオスカルを見受けられます。それにフェルゼンもアントワネットも出てきますが、フェルゼンは1幕の前半でサヨナラですし、オスカルの衛兵隊に転属したシーンもちょっと遅いタイミングでした。

まあ、あれはあれでいいのかもしれませんが…

逆にいちばんナゾなバージョンは『フェルゼン編』だと思います。これは簡単に言っちゃえば、フェルゼンとアントワネットの淡い恋物語に焦点を当てているので、フェルゼンに片思いして悩むオスカルが女々しくて仕方がありませんし、2幕でフェルゼンがオスカルの死を知るシーンなんかも、いきなりバスティーユの場面に切り替わります。どのような最期を遂げたのか、ああやって物語の流れを止めてまで、全く別のシーンを挟むのもいかがなものかなとも思います。

それに革命運動に身を投じるオスカルがアンドレの愛を身に染み込ませるシーンも、ちょっと唐突なんですよね。死期が迫っているオスカルの気持ちを考えれば無理もない展開だと分かりますが、オスカルはあくまでも脇役扱いなので、下手に演じると尻軽だと見られかねない。

でも考えてみれば、フェルゼン編はもともとベルばらでヒットした年代に、植田紳爾さんがあえて鳳蘭さんに当てて書き直した物語なので、ベルばらファンを裏切らないように、バスティーユなどの名シーンを残したのかもしれません。

どのみち僕みたいな新参者には口出しできる筋合いなどありませんが。

とにかく今の時代に生きる僕がどう感じるかで講釈を垂れるのも、オールドファンにはシャクですよね。

もとい、涼風真世さんに話を戻します。

91年のオスカル編を見て宝塚にハマったわけですが、たしかな演技力と歌唱力にも好感がもてました。涼風オスカルはホントに男らしく凛々しいんです。それに涼風さんの男役像って、基本的にとても男臭くて、色気もあり、かつ逞しくて好きなんですよ。

目がクリクリしてるのに、終始見せる流し目… そして時々キリっと目線を飛ばしながら、あの良質な低音ボイスで歌われたら、ファンにならざるを得ません。

追々星組で同じオスカルを演じた稔幸さんとは少し違うオスカルでした。稔幸さんはどちらかと言うとノーブルな印象で、ああいうオスカルも好きです。

ですが、僕はオスカルは涼風真世以外にあり得ませんし、どの生徒が演じたところで、僕は低評価を下しますがね。

さらに彼女を褒めちぎるとすれば、あの臭いセリフのオンパレードを、涼風真世率いる月組生は見事な抑揚でドラマチックに聴かせてくれたところでしょうか。

また当時アンドレを演じたのは天海祐希さんですが、涼風真世トップお披露目ということもあり、お祝いの意味も兼ねて、他組からいろんなアンドレが特出してくれました。

天海祐希さんといえば、早期抜擢の犠牲者でしたが、この時はまだ研5ですよね。改めてゆりアンドレを見返すと、まだ初々しさは残るものの、5年目とは思えないほどの演技力でした。大した度胸と実力の持ち主です。

4〜5年目だと、生徒によってはまだナヨナヨしてたり、見せ方が分からなかったり、「女子」全開だったりしますが、才能のある方は違うなー

それに、当時の月組は若手娘役が充実していましたから、娘役スターの出番が多かった気がします。

紫とも、朝吹南、麻乃佳世、朝凪鈴、羽根千里など。

紫ともさんはこのあとすぐに雪組へ組替えしトップ娘役に。羽根千里さんといえば、当時のエトワール専科で、劇中ではイザベルという盲目のお役でした。朝吹南さんは注目はされてましたが、その後は目立った役どころには就くものの、トップにはなれませんでした。

麻乃佳世さんは根っからの涼風真世ファンとして入団しました。涼風さんの相手役として朝凪鈴が来ると思いきや、このオスカル編で退団しましたので、麻乃さんは次回作の『銀の狼』からトップ娘役に。

朝凪鈴さんは涼風さんの1期下にあたり、新人公演などで相手役を多く務めました。

退団公演となった、このオスカル編では台詞の多いロザリー役を、そしてパレードではエトワールを務めます。それだけでなく、銀橋ではトップの隣に並ぶという破格の対応を受けます。

麻乃佳世さんに話を戻します。劇団は早々に麻乃佳世さんをトップにさせたかったのでしょうか。とあるベルばら関連のムック本によると、当時植田紳爾さんは麻乃佳世のトップ就任はまだ早いと思っていたらしいです。

次回作からトップ娘役になるからなのか、このオスカル編ではディアンヌというオリジナルにはない役をもらいます。ディアンヌとはアランの妹に当たり、しっかり目立ちますが、1幕でサヨナラです。

個人的にオススメしたいのが、幕開けに下級生だけで『ごらんなさい』を歌うシーンがありますが、このソロを歌う小公子役のいつき吟夏さんです。本編では親衛隊員の1人です。

このいつき吟夏さんですが、歌がうまいんですよ。下級生による幕開けなので、ベルばらではかなりキツい指導が入るそうですが、この小公子はベストですね。

いきなり「うまい!」と唸らされます。

もうご存じかと思いますが、『ごらんなさい』はバージョンによってメロディーと歌詞が異なります。

月組のベルばらを語るといろいろ出てきますが、いろんなバージョンと比較しても、まったく引けを取りません!

それにオスカルのよーく台詞を聞けば、誰よりも一枚も二枚も上手なんですよね。主人公って感じがします。物語も非常にうまく展開していき、無駄がありません。

ただ「釈迦に説法」とかフランスとは思えないセリフがあったり、構成や演出、そして古臭い曲調を今風に変えてくれるとありがたいんですけどねアセアセ

近々ベルばらが再演してくれる日を祈りながら、僕は過去の作品にも浸りたいと思います。