悲喜こもごも。
身体中悲しみに染まってしまう前に少しずつ手離していけたらと思う頃、5月。
嬉しかったこと、楽しかったこと、幸せだった頃を思い出して、大きな波のような悲しみが、入り込んで支配されてしまう前に、そんな隙を与えないようにしたい。
庭の薔薇が咲き始める中頃には、少しずつ私が私に戻ってくることを感じて、きっと顔を上げて、口角を上げて、微笑むことができるはず。
自分を信じて。
呼ばれて振り返る私は、きっと笑顔でいるはずだから。
「おーい!」
「あっ、はーい」
ほら、私、いつもと同じ笑顔でしょ