「ゴジラ対メガロ(1973)」 監督:福田純
赤コーナー、怪獣王「ゴジラ」、電子ロボット「ジェットジャガー」!
青コーナー、「メガロ」と「ガイガン」の地球侵略コンビ!
第二回怪獣タッグマッチ、ファイッ!!
「妖怪ブーム」により、存続が危ぶまれたゴジラシリーズ。
しかし、前作「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」の頃に始まった「変身ブーム」から、需要を保つことが出来ました。
その「変身ブーム」の影響が強く見受けられる本作。
ゴジラのパートナーとして今回用意されたのは、電子ロボットの「ジェットジャガー」。
トリコロールカラーのボディに、アルカイク・スマイルの顔という派手なデザインは、まんま「ウルトラマン」ですね。
更に、機械でありながら正義の心が芽生え、人間大の身長からゴジラと同程度まで巨大化したりと、彼だけ全然違う世界のキャラクターです。
ロボット怪獣といえば「モゲラ」、「メカニコング」も過去にはいましたが、無機質・無表情の彼等とはキャラが全然違いますね。
まあ、ロボット怪獣を出したかったというよりは、正義のヒーローを用意したかったのでしょう。
そして、ゴジラたちが戦う侵略者は
「シートピア海底王国」。
大昔に海に沈んだ「レムリア大陸人」の末裔です。
同じように滅んだ「ムウ大陸」の名も主人公から説明されますが、なんだか「ムウ帝国」が無かったことにされてます。
女帝、どうぞこいつをマンダの餌にしてください。
シートピア海底王国が地上進行を開始したのは、繰り返される人類の核実験により彼等の平和が脅かされたためです。
久しぶりの反核がテーマ。
これがあるだけで、グッと作品が引き締まる気がします。
海底王国人の司令官を演じるのは、久々に出演の「ダン・ユマ」さん。
今回は納谷悟朗さんのアフレコになってます。
片言の日本語では悪役っぽくないと判断されたのでしょうか?
なんだか勿体ないキャスティングだと思いますね。
というか、出演俳優を見るまでは「ニック・アダムス」さんだと思ってました…笑
声が銭形警部だし。
ジェットジャガーのコントロールを奪い、彼等の守護神が地上を進行する際の道案内役にします。
その守護神の名は「メガロ」。
デザインモチーフはカブトムシとセミで、両腕がドリル。
企画段階では、前作の「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」で「バラン」と共に登場予定だったとか。
見たかったなぁ、バラン。
まあまあ格好いいメガロですが、
うさぎ跳びしたり、なんだかガムシャラに暴れるのが好きなようです。
正直、あんまり頭は良くないと思います。ジェットジャガーに誘導してもらわなければ、海底王国人の意図通りに動いてくれません。
侵略兵器としてはかなり欠陥があります。
というか、この問題はメガロそのものよりも、ジェットジャガー抜きの対策を何も考えていないシートピア人にあると思いますが。
そんな困ったちゃんのメガロですが、
ダム破壊シーンだけは必見。
吹き出る水と粉々になるコンクリートは、あの名作「モスラ」のダム破壊シーンよりも迫力があります。
メガロが暴れるなか、主人公グループがジェットジャガーのコントロールを取り戻し、怪獣島の「ゴジラ」に救援要請させました。
その後、巨大化してメガロと戦うジェットジャガー。
「M宇宙ハンター星雲」からの増援「ガイガン」、ゴジラも揃い、2対2のタッグバトルが始まります。
このタッグマッチが本作のメインイベントですが、
四大怪獣が皆バカになってます。
ジェットジャガーを人質にとるガイガン。
しかし、ゴジラに放射能火炎を撃たれ簡単に脱出されます。
飛び道具を持つゴジラにとる戦法ではない。
次いで、メガロが「地熱ナパーム弾」を放ち、ゴジラとジェットジャガーを火炎で囲みます。
おしりペンペンなんてするほどの余裕を見せますが、
ジェットジャガーは飛行可能なので難なく逃げられました。
勿論メガロとガイガンがアホなんですけど、それよりも突っ込むべき相手はゴジラですね。
お前が火にびびってどうする。
敵わないと思ったガイガンは敗走。
メガロは仰向けに撃った地熱ナパーム弾が自分の口に入るという、凄まじい間抜けぶりを見せて戦意喪失します。
だめ押しに攻撃するゴジラ。
滞空時間の長いドロップキックを2発浴びせ、さらに反転させたパワーボムのような技で地面に何度も叩きつけ、メガロも撃退しました。
以上、「ゴジラ対メガロ」でした。
メガロが地上で暴れる場面は、その殆どが流用シーン。
現場のふところ事情が透けて見えますが、それを主人公グループのアクションでカバーしたり、全力投入のダム破壊シーンを用意したりと、作り手の創意工夫を感じます。