朝、職場までの道のりをぼんやり歩いていたらすずめの群れに遭遇。
彼らは自分の身体ほどもある、でかいパンを運んでいる最中であった。
しかし、そのパンはあまりにもでかい為、飛行中にうまくバランスが取れず、
すずめAが荷物を口にくわえ、2メートル程浮かんでは、落ち、パンをついばみ、
また違うすずめBがそれを横取りし、2メートル浮かんでは、落ちる、
その様な妙な動きを、すずめが集団で繰り返していた。
それはまるで御堂筋パレードのごとく。
しかし。
そんなハッピーな光景もつかの間、その事件は起こった。
そのパレードサイクルを3回ほど繰り返した後に着陸した所が、まずかった。
到着地点が、不幸にも道路のど真ん中だった事により、彼らに生命の危機が訪れたのだ。
土曜である為、少ないながらも車が定期的にやってくる。
誰の指示かは知らんが、既にパンを運ぶのは諦めた様子で
フォーメーションはAからBに早々と切り替わっていた。
<フォーメーションB>
すずめ隊全員で勢い良く道路の真ん中まで猛ダッシュ。
そして、パンを食いつつ周りを確認。
そして車が近づいてくると、また全員で道路の端に猛ダッシュで帰る。
彼らの頭がいいのか悪いのかは分からない。
すずめの脳みそサイズから推測するに、これが彼らの精一杯の作戦なのであろう。
非常にこっけい、それでいて、何故か見ているこっちが涙ぐんでしまいそうな程、愛らしいお姿である。
しかし、そのダッシュにもとうとう限界が来た様で。
最後にはまだ相当な量が残っているパンを諦め彼らは空の彼方へ飛び立ってしまった。
しかし。
物語はコレだけでは終わらない。
私が彼らを見送った後、ふと下を見てみると・・・・。
1匹。
たった1匹だけ、この場に留まったすずめがパンを恨めしそうに見ているのだ。
しかも彼は周到に車の往来を確認しながら少しずつパンに近づいている!
憎い!こいつは相当なやり手のすずめである!
もし商売を始めたなら、この不況の最中でも、持ち前の笑顔と粘り強さで成功してビル建てちゃう位ガッツがある、そんな逸材すずめと見たね。
そして卑しい。実に卑しいぜアンタ。臭いね臭いね。同じ匂いがぷんぷんするね。
そんな似た者同士の、運命の出会いの場面である。
私達はあの時、確かに目が合った。
そして、お互いの意思を確認し、無言でうなずき合ったのだ。
間違いない。
信じてもらえなくても良いのだ。
これは彼と私だけの秘密の交信なのだから。
私は彼がそれ以上口を開こうとするのを、手で制し、笑顔でもう一度うなずいた。
そして。
道路のど真ん中に横たわっているパンを、助走をつけての必殺ドライブシュート。
彼はすぐさまパンを追って飛び立ち、やがて遠くへ見えなくなった。
さようなら、すずめ君。
大事な何かを教えてくれて、ありがとうすずめ君。
そして。
私は朝から宅配便で、でかいつづらが届くのを、今か今かと待っている。