「わかりました協力させていただきますが、ひとつ条件があります」
「僕は敬虔なクリスチャンです」
「つまり、堕胎や人工授精は神への冒涜であり、基本的に好みません」
「目的が受精であるならば・・・」
「自然であることが理想と考えます」
「あなたは僕のDNAを必要とし、その僕はあなたに惹かれている」
「あえてリスクの高い人工授精を選択する意義はあるのでしょうか?」
「あの、私・・煩わしい事は避けたいのです」
「それは、僕が煩わしい存在ということですか?」
「いえ、そんな」
「私自身の問題なのです・・」
ここで、榎本は彼女は一筋縄では陥落しない女だと直感した。
「僕のDNAは not for sale であり、入手方法は give and take だけだとしたら」
中野由紀は はっと目を見開いて榎本の瞳を捕らえた。
「一度だけでいい・・」そんな囁きが耳をかすめ、心地よい彼の香りが近づいてくる
由紀は、いっそこの香りに包まれてみようかとも思った。
「わた・し・」
「僕に、一度だけチャンスを下さい」
そこまで言われると、こう言うしかなかった
「わかったわ・・」
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寸前まで、一般記事にUPしておきます。
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