$「天使の弁護士 成瀬領」VS「天才鍵師 榎本径」


「開けてみるわ」

しおりは恐る恐る封を開けてみた。

手紙を持つその手は小刻みに震え、彼女の目からは光るものが零れた。

「こんなことって・・」


そこに書かれていた文字とは・・


しおりさん


あなたを愛しています

そして あなたの幸せを願っています

永遠に

T.Manaka



そのイニシャルは、彼の本名だった

友雄さん・・


しおりは手紙の筆跡を指でそっと なぞってみた

なぜか彼の声が聞こえてくるような気がして


いや、しおりの耳には確かに懐かしい声が届いていた


「しおりさん、あの時は・・」

「悲しい思いをさせてしまって・・」

「すまなかった」

「そして、これは、あの時 あなたに伝えたかった言葉です」


「あなたを 愛しています」

「そして あなたの幸せを願っています」

「永遠に・・」


その優しい響きは忘れようにも忘れられない

愛おしい人の声だった


その手紙は まさしく

時空を超えたラブレターだった


目をつぶると、このカフェガランサスの

扉の前の光景が思い出された

あの時、彼女は名前を呼ばれて彼のほうを振り向いていた

「しおりさん」

「私は・・・」

彼は何かを言いかけて・・・ 

直後に 顔色を曇らせた

「おやすみなさい」と

ひとことだけ言い残して・・・



あなたが伝えたかった言葉はこれだったんですね。

しおりの目から涙が溢れた

それは、悲しみの涙ではなく 

清らかな一筋の真実を見つめる涙だった


「ありがとう・・・」


開と未来は心配そうに彼女の様子を見守っていた。

しおりが涙をぬぐって笑顔を見せると

ようやく二人にも笑みがこぼれた


やがて、しおりは二人を眩しそうに見つめ

こう言った

ねえ、輪廻って信じる?

私は信じるわ 人の魂はきっと永遠なのよ

だから、命が消えることがあっても、寄り添う魂はいつかまた引き合うの

今のあなた達のようにね

開と未来は少し恥ずかしそうに眼を合わせ微笑んだ

二人には幸せになってもらいたいの

この手紙を託した人もきっとそう願っていると思うわ

ええ、きっと・・・

しおりの手の中には、時空を超えて思いを遂げた

白い封筒が握り締められていた・・

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輪廻とは人が幸せになる為に何度も繰り返す

転生を意味するのかもしれない

だとすれば 人は必ず幸せになれるはずだから・・

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