$「天使の弁護士 成瀬領」VS「天才鍵師 榎本径」



二人を乗せた車はゲートを通りHOTELの駐車場に吸い込まれていった

彼がルシファーと交わした契約の時間まで 後、4時間・・・


いつしか、Ryoの存在が完全に消える日が訪れるのなら

人格統合という共存の道があるとルシファーは諭してくれた


心から愛する人を残し、自分の存在を消さなければならないことは

Ryoにとって、身を裂かれるように辛いはずだった


今、彼は許された時間の中で自分の全てを未来に伝えようとしていた

彼は、部屋へ入るなり未来をきつく抱きしめた

その存在を確かめ、いま自分がここにいることを証明するかのように


Ryoはすくい上げるように未来を受け止め静かに唇を重ねていった

痺れるような感触は 幻ではないことを訴えているようだった

オレハ ココニイテ キミヲ アイシテル という信号がシナプスを駆け巡る

彼の想いは痛いほど未来に伝わり、揺れ動く感情は涙になって溢れた

「会いたかった・・」「未来・・」

「私も・・」未来は潤んだ瞳を彼に向けた

「最後って、もう会えなくなるっていうこと?」

「もともと、俺は、実態のない人間だから・・・」

そう言って彼は、車の免許証を取り出して見せた

登録されている氏名は当然 榎本開 だった


「榎本開が光なら俺は影、闇のようなもの」

「Ryoという人間は存在しないんだよ」


彼は、未来に背中を向け寂しそうにその言葉を吐き捨てた

「嘘よ!」 「あなたはここにいるわ」

「君は幽霊に出会ってしまったようなものなんだ」

「そんなことない、あなたは目の前で生きているのに・・」

彼女はRyoをそっと背中から抱きしめた

「あなたは温かくて、強くて、素敵な人よ!」

その言葉がRyoの心に火をつけた

彼は、ゆっくりと振り向き未来の目を覗き込んだ

「最後の夜に、俺だけの未来でいて欲しいんだ」

未来は涙で声を詰まらせ、頷いた

「泣かないで」

Ryoはそう言うと未来の涙にKISSをしてもう一度その瞳を見つめた

「愛してる・・」「俺の中の真実を君に伝えたい」

震える声にRyoの全ての想いが溢れ出した

「君の記憶の中に刻みつけるよ・・永遠に・・」


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この先は☂限で数日後にUP予定です!もう二度と会えない人との最後の夜ってどんなんでしょうか?
ちょっと想像もできません、目の前に別れがあるのなら・・厳しい選択ですね~