輪廻2 もうひとりの存在
階段を降りて地下室に潜るとTrashという名のBarにたどり着いた
5~6人が踊れる程度のダンスフロアーにカウンターのみという
限りなくシンプルで隠れ家的なスタイルのBarである
ただし、出入りする人間はシンプルな店構えとは真逆だった
スキンヘッドのマスターが取り仕切るこの店では
何故か女性客は一瞥され
新しい男性客が訪れると艶っぽい視線が交錯しあうのだ
そう、ここはゲイと呼ばれる男達のたまり場
Trash(くだらない人間 能なし)とはいうものの、アーチスト、ライター、ミュージシャンなど
才能溢れる男達が集う場所になっていた
ゴミ箱というよりも宝石箱と言っても過言ではない
それをあえてTrashとへりくだってネーミングしているのだ
「最近Ryoを見ないけど、あの子どうしてる?」
「ああ、あの綺麗な顔したバイトの彼?」
「やっぱり彼もこちら側の人間なんでしょ?」
「やつは両刀さ」
「お目当てのお客も多いんでしょ?」
「彼は週末だけ現れるのさ」
「もうそろそろ来る頃じゃない?」
そんな噂が飛び交う頃、噂の主が階段口から現れた
周りがざわめき始める
「Ryo 遅かったじゃない!」
「ごめん、女の子巻くのに手間取ったのさ」
Trashは彼にとって、ロッカールーム的な役目を果たしていたのだが
彼が着替えるものは洋服だけではなかった
スキンヘッドのマスターのもうひとつの肩書きは
カウンセラー(心理療法士)だった
Ryoが着替えるものとは・・・
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大学生の頃ゲイの友達に連れて行ってもらったのが新宿2丁目のTrashでした
あの独特のヤバイ雰囲気は忘れられません。
才能の塊みたいな人達に出会える場所でもあったかな~
それにしてもRyoはゲイじゃないからね、カウンセラーがたまたまゲイなんです。
私の友達がたまたまゲイだったようにね!