T子ちゃんとデート中の午前2時。

駐車場に止めた車が朝7時まで出せない事件が発生。


「7時までどっか行こう♪」

というT子ちゃんの言葉を受けて、

まずはカラオケを提案しました。


「いいよ、カラオケ久しぶり♪」

ってなわけでカラオケ屋さんへ。


週末といえど、午前2時。

すんなりと店に入れました。


T子ちゃんとは以前、職場の飲み会のあと

みんなでカラオケに行ったことがありました。


そのときは、恥ずかしがって無理やり

歌わされた1曲だけしか歌いませんでしたが、

さっきの感じだと、カラオケは好きみたい。


1曲しか聞いたことないけど、彼女は歌がうまいし、

私は彼女の声が好きなので、

彼女の歌を聴くのがすごく楽しみでした。


1対1なら、変に気を使う必要もないですしね。


部屋に入ると彼女はまずトイレに行きました。


なんとなく歌ったことない『旅立ちの唄』なんて

入れて一人で歌って(練習して)ました。


T子ちゃんが戻ってきたので、デンモクを

渡して、歌い続けます。


いろいろ迷っている様子のT子ちゃん。

曲が入るまえに私の歌は終了。


T子ちゃん、けっこう世間ずれしてるので、一応質問。

「この歌知ってる?」

「知ってるよ。テレビでたくさん流れてれば、わりとわかる」


おぉー、よかった。歌いやすい。


で、決まりそうかな~と思ってデンモクを覗いてみたら、

2005年ベスト100をずっとさかのぼったり、

履歴をさかのぼったり。。。


「もう1曲先歌って」

メニューもなかなか決まらないので、待ってても

しょうがないので、もう1曲歌いました。


ってか、めっちゃ聞いてる!

うれしいけど、、、曲選んでればいいのに・・・


間奏で、「決まった?」と聞いたら、首を横にふって

「心の準備ができないから、あと2曲歌って」

と言われました。


「2人なんだし、緊張することもないよ~」って

言ったんですが、デンモクを私の方に差し出したままです。


デンモクを受け取って、2曲入力。

・・・そして、2曲というか計4曲歌い切りました。

ってか、T子ちゃんの歌入ってないですからね。


「・・・決まった?」

控え目にうなづくT子ちゃん。


デンモクに表示されていた曲は今井美樹の『プライド』。

「いいじゃん!」

そう言って、無理やり送信ボタンを押しました。


曲が流れ始めて・・・うん、やっぱり彼女の歌声も好きだな♪

そんな幸せな気分で聞きました。


歌い終わって、私の入れた曲『抱きしめたい』が流れ始めます。


「やっぱり歌うまいね~」

首を横に振りながら、

「そんなことないです」


そういって、飲み物をガブガブ口に運ぶT子ちゃん。


「緊張した?」

そう聞くと、彼女は左手を胸に当てて、

右手を私のほうに、差し出してきました。


「緊張しすぎて、手がすごく冷たい」

そう言われました。


私はその手を引き取り、その冷たさに驚き、

「本当、冷たいね」

そう言って、一度手を離すと、彼女の首に触れ、

首があたたかいことを確認すると、

再び彼女の手を握りました。


そのまま歌は始まり、私は手を握ったまま、

いや手をつないだまま『抱きしめたい』を

歌いました。


T子ちゃんはその手を、離すことなく、

私の歌をゆっくりと聞いてくれました。


少しは心が通じたてるのかな?

そう思える素敵な時間でした。


抱きしめたいと同時にまた3曲入れていたので、

残りの2曲を歌い彼女の番です。

ちなみに今度はT子ちゃんも2曲入れてくれました。


流れてきたのは、kiroroの『長い間』。


  長い間 待たせてごめん
  また急に仕事が入った
  いつも一緒にいられなくて
  淋しい思いをさせたね


彼女の選曲基準はわかりませんが、

ものすごく胸に響きました。


彼女がもしこう思っていてくれたら、

これほどうれしいことはありません。


それからT子ちゃんがもう1曲歌い、

歌い終わると、

「やっぱり緊張した」

そう言ってまた手をこすっていました。


私は再びその手を握り歌を歌います。


カラオケに来る前の店で彼女はこう話していました。

「私、誰と話すときも緊張するの」

「オレといるときも?」

「うん、本当に誰でも」

「家族は?」

「家族は緊張しない。でも親戚は緊張するし、友達も」


少なくとも私のそばでは、緊張させない存在になりたい

そう思いました。


それからずっと私が3曲連続、彼女が2曲連続で歌うことを

繰り返し、2時間半。体力も限界に近づき

5時近くなって、店をでました。


まだ7時まで2時間。

電車は動いていたので、もしT子ちゃんが電車で帰るなら

それもありかなと思いました。


私は13時から用事がありT子ちゃんを送らなければ、

2、3時間寝る時間をとれるからです。


店をでてから、ファミレスへ向かいながら

「一応、電車動いてるけど?」と聞いてみました。


「一緒に待ってるよ」

やっぱりすごくうれしいことを言ってくれます。


明け方のファミレスはそれなりに賑わっていましたが、

ほとんどがオール明け。


オールで遊ぶ集団には必ず喫煙者がいるというのは定番で、

通された禁煙席の周囲には、まったく人がおらず

静かに話ができる感じでした。


浮かんでは消えていくような、たわいもない話を

たくさんしながら時間が流れていきます。


私はさすがに眠気を感じる瞬間もあったのですが、

T子ちゃんはそんなそぶりを一切みせません。

ほっそりとした体に潜んでいる、この体力には

実に驚かされます。


ふとしたときに、私は彼女を褒めていました。

なんでそういう話になったのか、わかりませんが、

私は彼女の例えば、一生懸命がんばるところとか、

笑顔で人を元気にするところだとか、

そういった部分を褒めてました。


褒められた彼女はいつもそうするように、

全力で首を振り、

「私なんか・・・」と言います。


彼女の緊張するところも、この謙遜というよりも

自己評価の低さに起因していると思っているので、

少なくとも私が褒める部分については、

私の前では自信を持ってほしいというのが私の気持ちです。


それでも、なかなか理解してくれず、

困った私は・・・こう口にしました。


「わかってると思うけど、オレT子ちゃんのこと好きだし・・・」


T子ちゃんが息を飲む様子が手に取るように伝わってきます。


一緒にいると楽しいこと、元気になることや、

何かしてあげたくなること、そういったいろいろを話して、

つき合って欲しいと思っていると告げました。


彼女はその間、落ち着きなく水を飲んだりしつつも、

その眼はずっと私に向けられて、そして何度もうなづきながら、

私にさらなる何かを期待しているといった面持ちで

聞いていました。


明らかに平常心を失くしているその様子から、

彼女から何かの言葉を聞き出すのは、無理という感じでした。


返事を急ぐ話でもないので、「今日は返事はいいよ」と言いつつも、

「こういう気持ちを持ってるんだけど、次も遊んでくれる?」と聞いたら、

「いいよ」と返答してくれました。


このまま口説き続けても、彼女は平静でいられないだけになるので、

そのあたりでこの話を避け、話題をそらせました。


少し話すと彼女は落ち着きを取り戻し、

いつもの調子に戻りました。


はっきりとした返事はもらってないものの、

告白したときに、すごくうなづいてくれたので、

彼女の態度からはOKっぽい様子を受け取りました。


もし、これでダメなら私は途方に暮れてしまいます。。。


しばらくすると朝7時は過ぎ、気づけば7時半。

「そろそろ駐車場も空いたし、行こうか」


そうしてファミレスを後にして、彼女を送っていきました。


(続く)


ちなみに帰宅したのは結局午前10時。

送ったあとの帰りの車は、眠気との壮絶バトルでした。


1時間だけ寝て、また夕方まで遊んだ私の体力も、

まだ捨てたもんじゃないな、そう思いました。


・・・が、翌日遊んだAちゃん。おもろい話はできたと思うけど、

死んでてごめんよ。。。