閉園時間が過ぎたころ、

最後のアトラクションから出ました。


「もう終わりだねー」

寂しくもある言葉だけど、十分に楽しんだので、

すごい充足感があります。


いえ、まだ足りてないことがありました。


そういえば、できればしたいこと2つあったんですね。

1つは混雑にまぎれて手をつなぐ。

もう1つはキス。


前者はですね、、、あまりの空きっぷりと

あまりの寒さにポケットから手がでませんでした。


もうね、手をつながらないと"はぐれる"そんな状況を

期待してたのに!


さて、もう1つのしたいこと。

こっちは・・・ものすごくクサイ、そしてありがちなセリフとともに、

不意打ちするかどうかを逡巡してました。


そう考えつつも、まずはおみやげを買いに。

閉園時間過ぎてますけどね。

いつからかこの時間で十分買えることに気づいてしまいました。


T子ちゃんの欲しそうなものがあったら、

後でサプライズで渡そうかなーと考えもしましたが、

なんかあまりおみやげに興味をしめさないT子ちゃん。。。


実家だから、買って帰って家族に突っ込まれるのがイヤとか・・・?

こんな勘ぐりをしてるわけで、これじゃ何か買ってあげるのも迷惑に

なるかもと思い、サプライズ作戦はあっけなく中止になりました。


3軒、4軒くらいぱーと見た中で、結局私は自分が気に入った

マグカップを自分のために買いました。

まぁ、なんつーかノリです。


で、やっぱり彼女は特にゆっくり見てるものもなかったので、

やっぱりお土産は買わないのかなぁと思っていたら、


「あっちにあったのもう1回見に行っていい?」


と言ってくれました。


ごくフツーの言葉なんですが、彼女が私に自分の希望を言うのは

その日はじめてのことで、

・・・というかもしかしたら2人で遊んでいて、はじめてのことで、

たったこれだけのことでも、彼女が自分の希望を伝えられるくらいには

安心してくれるようになったんだなぁ、とうれしく思いました。


彼女は2つのお菓子をずっと見比べ、申し訳なさそうに見比べて、

じっくり選んだ1個を選びました。


食べ終わったら缶を自分用に使いたいって言ってました。

(よかった友達?へのプレゼントじゃなくて・・・)


レジにはもはや、ほとんど人はいず、

おみやげサプライズ作戦の再開は見送られました。


2人でおみやげを手にさげ、ディズニーランドを後にします。


退場口から駐車場にかけて、私は勇気をだすかどうか

散々悩みました。


想定してたセリフは・・・書くのも恥ずかしい。。。

『最後に魔法をかけてあげるよ。目を閉じて・・・』


たぶんT子ちゃんは、なんにも考えずに目をとじると思います。


チャンスは車に乗るまでか、車から降ろした直後だと思っていました。


だいぶ最後のほうに退場したはずなのに、空いていたのに、

車はすごく少ないのに、人がまばらにいます。


悩みながら、チャンスを探しながら歩いていたのですが、

結局、誰もいない瞬間が来ず、そのまま明るい立体駐車場の中に

入ってしまいました。


駐車場入り口で、自販機を発見したので、寒さのあまり

あったかい飲み物を2つ買いました。


ちょっとあっためたあと、隙があったので、

私は彼女の頬に自分のもっていたペットボトルを

あててみました。


彼女の顔が驚きに変わり、思考が数秒・・・

いや数十秒途切れたようでした。


なんかしらのリアクションが帰ってくると思っていたのですが、

その瞬間、彼女は驚きとおそらく照れのあまり動作をとれなくなって

いたようです。


私はこの反応をみて、今日はキスはやめておこうと思いました。

いま不意打ちでキスをしても、彼女はきっと驚くばかりで、

そのあとに何を伝えようが伝わらないだろうと思ったし、

そもそもそのキスに込めた思いも伝わらないと思ったんです。


彼女に対してきちんと気持ちを打ち明けたあとに、

せめてそれからキスをしようと思いました。


駐車場から車をだし、少し走ってから、

夕食を食べてなかったのでファミレスに入りました。


正直、夕食なんてどうでもよかったんですが、

少しでも一緒にいる時間を長くしたい、そんな気持ちからです。


まったりしつつも、楽しい食事を終えて、

次の約束を提案します。


「また来月にでもこうやって遊ぼうよ! いつくらいなら空いてる?」

「2月は仕事が忙しくて・・・たぶん無理なんです。3月ならたぶん暇になると思うので…」


彼女の仕事ぶりやスケジュールをなまじ知っているだけに、

この言葉が嘘でないことがわかります。


そして私からみたら、そこまで滅私奉公する必要はなかろうと思うところまで、

真剣にがんばるのがT子ちゃんなんです。


「そうかぁ。こないだみたいに2時間だけとかでもいいんだけど・・・2月は無理?」

「はい。。。2月は・・・」


当然、仕事以外に何かをしている他の時間はあるはずなんですが、

こう言われっちゃたらしょうがないです。


少なくとも遊んではいないことは、この日のお昼にちゃんと話しました。

仕事が暇になるまで、信じて待つしかないのです。


「じゃあまた3月に遊ぼうね。また近くなったらメールするよ」


距離はすごく縮んだと感じていたんですが、

やっぱり彼女の中に占める仕事の割合は大きく、

それを凌駕できるほど彼女の中の私の存在は大きくなっておらず・・・

これまでと変わらないペースでしか会えないことがはっきりしました。


彼女を最寄り駅まで送っていき、降ろします。

本当はゆっくり別れの挨拶でも・・・と思ったんですが、

日が変わった時間帯にも関わらず、意外に交通量が多く、

あまりゆっくり挨拶もできず、彼女を送りました。


それから疲れきっている体に鞭打って、

自宅に帰ります。

絶対に眠いはずなんですが、やっぱり興奮してて

眠気を感じず自宅まで辿り着きました。


車を降りて・・・後部座席にT子ちゃんの傘発見!

そうだよねー。アトラクションから降りるときに

忘れちゃってたくらいだもんねー。


一言言ってあげるべきでした。

3月まで会えないと言っておいて、傘を忘れるT子ちゃん。


これは・・・『会う口実になる』と私が思ったのは言うまでも

ありません。


無事に帰ったこと、

それから傘を忘れていることをメールして

倒れるように眠ると・・・翌朝、T子ちゃんからメールが来てました。


『傘はいつでもいいので、置いておいてください』


そんなつれないこと言わないでよ~。

と思いつつ、メールに不明な点があったので、

返信したら、即レスが返ってきました。


確実に、確実に距離は縮まっている・・・

そんなディズニーランドでした。


~続く~

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もう1か月以上も前の話ですけど。