家族？恋人？ …それとも？

え？今日この日に40度近い熱？それは大変ですね、こちらの部屋にどうぞ。

すまない、ノマくん、さっきの患者さんなんだけど…

…はっ！！

マスター、こんばんは、貴方の主治医です。

世間はクリスマスイブということでとても賑わっていますが、ここ皇医院も別の意味で賑わっていますよ。

ええ、毎年のことですね。

あ、電話だ。
ちょっと失礼しますね。

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『翔人、なんだ、どうした？なにって、仕事だよ。…え、いや、僕、聞いてないし。翔人、落ち着きなさい。翔人？ …あ、お父さん。いやいや、僕の勤怠状況くらい知っておいてくださいよ。事前に教えておいてくれないと。そう簡単には上がれませんよ。…いや、あの、そういう話でしたらもう結構ですから。ええ。とりあえず何時ごろになるかは分かりませんが、向かいます。はい、それじゃ。またこっちから連絡しますね。』

ふぅ。
なんだろう…妙に疲れた…。
でも、まぁ、たまには家族で過ごすのも悪くはないかな。
さて、何時に上がれるだろう。

ん？メールだ。

『お腹空いた、死にそう』

……おっと、いけない。

あやうく携帯をスパイダーモデルに仕立て上げてしまうところだった。

スズキ…キミは一体僕をなんだと思っているんだ？

僕はキミのお財布でも未来から来た猫型ロボットでもないんだぞ。

「先生、コーヒーいかがですか？」

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いけない。イライラしてるのを表に出してしまっただろうか。

ありがとう、と。コーヒーを受け取って、その暖かさと漂う香りに少し冷静になる。

…そういえば、ここ皇医院ではクリスマスや三が日なんかの特別な時期に休暇の希望を出す人間が少ない気がする。

こうして皆が出勤してくれてるから、僕だってまだマシな方なんだよな。

世の中にはもっと大変で忙しい時間を送っている人が少なくないはずだ。

それはきっと、マスターだって同じ…ですよね？

とはいえ、どこかで気を抜いてリラックスしないとパンクしちゃいますけど。

ちょっとした『誰か』の気遣いが『誰か』を癒す。
そんな優しい時間が今日のように特別な日だけでも良いから、どうかたくさんありますように。

メリークリスマス。