2024年度の新規騎手試験合格者の発表が行われたのが2月6日。例年この時期だと、現役の調教師・騎手の免許更新もJRAのホームページに掲載される。

 

実際のところJRAの騎手の場合、平地と障害の2種類の免許がある関係なのか、勝利数の関係でその分野のスペシャリストで活躍していく目途が立つなどでどちらかの免許を更新する際返上する騎手が例年一定数いる。しかし、その筋に詳しいX(旧Twitter)のアカウント調べを確認したところ藤懸貴志騎手が障害免許を返上したことしか今年の場合確認できていない。

 

ウチの在来馬3頭のおチビ達は、騎手免許更新時における『片側返上』の事情を知りたいらしく、史実ではこのたび定年引退する松永昌博調教師が騎手時代主戦として育ての親だった専務(ナイスネイチャ)からちょっと聞いてみようということになった。

 

 

 

 

ミカン(野間馬):JRAの騎手って、新人騎手でのデビューの際に『平地・障害』という騎手免許交付されるみたいだけど、キャリアの途中で片方返上する人いるってどういことかな専務さん?

専務(ナイスネイチャ):おじさんそういう騎手結構見ているんだけど、一番多いのは『平地で(勝利数を)たっぷり稼げるようになった』とか『障害主体に騎乗するようになって依頼が増え勝ち星が追いついた』というのが主だと思うんだ。

ゆき(道産子):障害の騎手って最近なり手少ないって言われているけど…

専務:確かにそうだよね。ピョンピョン(オジュウチョウサン)が作ったムーヴメントもあって需要あるんだけど、若手からなかなかなり手がいなく今回は調教助手から騎手に合格というルートまで出てきたみたいだし。

サンゴ(与那国馬):最近は勝利数で伸び悩む若手が挑んでいる事情もあるようだけど。

専務:やはり担い手不足なのかな。乗り手の確保に向けベテランや厩舎サイドもかなり動いてきた気がするな。

 

ゆき:片側返上とはいっても、障害専門の騎手だと平地馬の調教でも欠かせない事情もあるようだけど。

専務:確かにそうだ。障害転向に当たって馬を『作る』(丸太などの簡単な障害を飛ばせてハードルになれる訓練をさせる)という技術も抱えているから、その応用だと思うけど主に平地馬出走1週前当たりの追い切りに騎乗することだって普通だし。

サンゴ:その逆ということでいえば、平地で勝利数稼いでも障害免許持ったままという騎手も…

専務:そうそう、おじさんが思うのは調教需要が第一の要因になると思うし、そういう騎手がいることでアクシデントに備えた騎乗人員の確保にも役立っていると思うんだよね。

ミカン:その代表例が3月に開業する福永祐一調教師だったのでは。

専務:詳しいことはわからないけど、馬の育成のために必要な事情もあって返上しなかったんじゃないかなっておじさん思うぞ。

サンゴ:そういうことでいえば、障害専門であっても海外へ行った大先輩の攻め馬要員で渡航した騎手が。

専務:いるいる。海外遠征馬の攻め馬騎乗要員で渡航届出す障害騎手はまれにいる。話が違うかもしれないが国内で最強だった馬だと黒岩悠さんがくた夫くん(キタサンブラック)の担当だったこともあり海外挑戦できれば現実になっていたかもしれないな。 

 

サンゴ:あと、更新となると免許自体の試験事情も。

専務:サンゴちゃんその通り!騎乗試験に関する分野の出題内容が平地と障害の免許間で異なってくる事情もあるので、障害免許の場合はスペシャリストを目指すのにふさわしい内容になっているんじゃないかな。

ミカン:ということはこれからの騎手免許の更新というのも…

専務:『いかにスペシャリスト性が要求される』内容になっていくはずだよ。

ゆき:ということは競馬学校卒業後に合格した後も…

専務:法規改正や騎乗技術の進歩についていけるかも問われるし、日々勉強しないとついていけないものじゃよ。

おチビ達:(恐る恐る)合格した後も大変なんだ…

 

 

おチビ達はまだサラブレッドの競馬の世界については知らないことばかりのため、専務の説明におののいているような感じも受けた。合格後の学力の維持が求められることに騎手の世界の奥深さを知ってしまったようである。専務は専務で、厩舎での騎手の学力維持的な苦労を知っていたこともあり、『これは伝えないと』という意味もあって時に強めの口調にでもなっているようだった。しかし、障害騎手のなり手不足に関しては『障害一家』のような家系でないとすんなり溶け込めないとも感じているようであり、ピョンピョンがもたらした騎乗技術のレベルアップは何も無駄ではないと思っているようであった。