3日間開催も終わった翌日の1月9日、2023年のJRA賞の競走馬部門の受賞馬が発表された。
昨年もウチのお馬さんにJRA賞についてこのブログで語ってもらう機会があったが今年も3頭のお馬さんに座談会的に斬ってもらうことにした。
今回斬ってもらうのは史実では2001年に特別賞を受賞したステさん（ステイゴールド）、2020年の最優秀2歳牝馬と2021年の最優秀3歳牝馬の2年連続受賞を果たし別のあだ名として『ソダちゃん』という呼び方を検討中の雪ん子（ソダシ）、2022年に最優秀ダートホースを受賞したカフェさん（カフェファラオ）の3頭。
なお、本記事内の会話のセリフの部分では雪ん子の愛称を試験的に検討中の『ソダちゃん』と呼ぶことにする。
また、投票結果に関してはJRAのホームページに記載されたデータを転載。
ステさん（ステイゴールド）：今年も昨年の顔をふりかえる時期になったのう。ソダちゃんにしてもカフェさんにしてももしもあと一丁GⅠを勝つようなことでもあったらここに名前を重ねることもあっただけに思うことあるだろうな。
雪ん子（ソダシ）：私勝ったところで選ばれたのかな～？でも完全に世代交代のカラーって今年は出たよね。それはカフェさんもでしょ？
カフェさん（カフェファラオ）：僕かい…中東に行ったり芝使ったり岩手のトップジョッキーのお世話になったり…そんな感じだと出番ないよ去年なら。
ステさん：2人のことは置いといて早速あれやこれや語ってみようか。
１．最優秀2歳牡馬
【投票結果】
第1位 ジャンタルマンタル 288票 →選出
第2位 フォーエバーヤング 7票
ステさん：やる気のある牝馬にホープフルステークス勝たれたことでジャンタルマンタルも圧巻だったことは事実だけどまた川崎勝った馬に逆張りされたような気がするな。
カフェさん：ダートで頑張った身だから言うけどこのタイトルが芝馬に偏っちゃいけないと思うんだ。確かに今年から本格化するダート重賞体系の再編で芝とダートの棲み分けが始まるかもしれないけどパフォーマンス（レーティング）でダート馬に優位な値でも出たら…
雪ん子：そこなんだよね。あとで私も言うけどJRAも地方も2歳牝馬の重賞が希薄でやる気のある牝馬が牡馬に交わって戦わなければならない事情が映し出されるのもあると思うわ。
ステさん：ジャンタルマンタルはクラシックには…
雪ん子：なんとなく皐月賞が限界な気がする。これでNHKマイルカップに向かうなら鉄板かもしれないけど。
カフェさん：ホープフルステークスもやる気のある牝馬にやられたことだし、そこ負けた馬から主役出現が必要かもな。
２．最優秀2歳牝馬
【投票結果】
第1位 アスコリピチェーノ 163票 →選出
第2位 レガレイラ 132票
雪ん子：言ってはいけないかもしれないが『2歳牝馬はマイル』という固定概念がここに現れているような気がする。
カフェさん：レガレイラがホープフルステークスで勝つというのははた目に見たオッズ上では可能な範囲までにしか思わなかったけど現実になるとはね。
ステさん：2000mで勝てる牝馬が出てきたことでライバル勢から牡馬のクラシック路線に一撃喰らわせようとする馬がまだ出そうな気もするな。
雪ん子：ここも重賞体系が貧相なところある気がする。せめて大晦日の大井の東京2歳優駿牝馬がダートグレード競走に昇格しJpnⅠくらいになってその路線の体系づけがないと活性化は不可能な気がする。2歳牝馬の重賞体系は手厚くしないと駄目な気がするわ。
ステさん：それにあと一息のところで阪神ジュベナイルフィリーズ回避した2頭だっているんだし、この組の復調状況でリバティアイランドみたいな馬が出てもおかしくはなさそうだし。
カフェさん：ご主人（ウチ）が何頭かのお馬さんに論点整理の声かけているJRA賞発表の陰で9日に発表されたグランダム・ジャパンの2歳シーズンの概要見ても貧相っぽいもん。確かにソダちゃんの言うことわかる気がする。
３．最優秀3歳牡馬
【投票結果】
第1位 タスティエーラ 260票 →選出
第2位 ドゥレッツア 28票
第3位 ソールオリエンス 5票
第4位 シャンパンカラー 1票
第5位 デルマソトガケ 1票
雪ん子：『ダービー馬のブランド力』だろうね。ダービー馬が能力的に高かったって結末なのかな。浅いキャリアでドゥレッツアに菊花賞を勝たれたゆえに皐月賞馬のインパクトが薄れてしまったみたいだわ。
ステさん：この世代はリバティアイランド次第になるかもしれないけど年上世代がかなり引退し群雄割拠に拍車がかかりそうな気がする。
カフェさん：昔なら牡馬クラシックを3頭が分け合うとその世代の『三強』呼ばわりされることが多かったけど、この先牡馬牝馬の能力差が何かなくなってくる可能性があり、『三冠牝馬が天皇賞・春制覇』というシナリオも想定しないと何か見ていられないものありそう。
４．最優秀3歳牝馬
【投票結果】
第1位 リバティアイランド 294票 →選出
第2位 ブレイディウェーグ 1票
カフェさん：ここ満票確実と言われただけに裏切られちゃったか。
ステさん：エリザベス女王杯も3歳での制覇になったし逆張りされちゃった印象あるな。
雪ん子：この2頭の直接対決がどこになるかで変わってくると思う。私は宝塚記念で実現してもおかしくない気がする。
ステさん：それはそうだろ。リバティアイランドには凱旋門賞あたりに挑戦してもらわないと困るのもワシ的にはあるし。
カフェさん：僕は比較的早い気がする。意外にも大阪杯とか。ヴィクトリアマイルも考えられないことはないと思うけどブレイディウェーグにはマイルがペース的には厳しいかもしれないし。
５．最優秀4歳以上牡馬
【投票結果】
第1位 イクイノックス 294票 →選出
第2位 ドウデュース 1票
ステさん：ここも満票確実と言われていたのが裏切られちゃったか。
カフェさん：あの有馬記念での復活劇やられたら何票が逆張り入るのもいいかもしれないけど1票だけとはトホホだな。
雪ん子：イクイノックスにはブリーダーズカップターフに挑戦してほしかったわ。パリロンシャンの芝とか合わなさそうだもの。
カフェさん：何とか洋芝適性のある産駒はほしいところだよね。何か万能適性に磨きがかかりそうだし。
ステさん：くた夫くん（キタサンブラック）の子供なんだし種牡馬としてはブラックタイド系の継承の大役も担うから『親子三大大種牡馬』ってのも夢ではないと思うぞワシは。
６．最優秀4歳以上牝馬
【投票結果】
第1位 ソングライン 275票 →選出
第2位 スターズオンアース 11票
第3位 ナミュール 4票
第4位 アイコンテーラー 2票
第4位（同点） スルーセブンシーズ ２票
第6位 該当馬なし 1票
ステさん：中長距離界から燦然たるヒロインでないとこんなものかな。ソングラインがマイルで目立ってしまったようだし。
カフェさん：本来ならこのカテゴリーこそ中長距離向きの馬が得しないといけないんだよね。
雪ん子：あーみん（スターズオンアース）が善戦ウーマン化するようでは厳しいと思う。せめてもう一タイトル獲っておかないとは思うんだけど今年の場合中長距離路線の牡馬の層が厚いようでは…
カフェさん：『壁』だよね。
ステさん：中長距離では牝馬は育たないという評もよくある話だが…その常識というかあるあるが打ち破らなければ中長距離牝馬は得しない可能性も高そうだし。
７．最優秀スプリンター ※昨年までの『最優秀単距離馬』のカテゴリーをスプリント部門とマイル部門に分割再編
【投票結果】
第1位 ママコチャ 226票 →選出
第2位 該当馬なし 43票
第3位 ファストフォース 34票
第4位 ナムラクレア 4票
第5位 リメイク 1票
カフェさん：ソダちゃんの妹！
雪ん子：そうなのそうなの！妹がGⅠ獲ったから私も金子さんの鶴の一声でバトンを渡すことになったのね。
ステさん：このファミリーの親戚から受賞馬が出たことはうれしいし『白毛の血脈』からまた主役が出たのも貴重だよね。
カフェさん：昨年はスプリント路線ってスターが不在だった気もしないわけでは…
雪ん子：確かに群雄割拠にも思うんだけど明け4歳の中で妹のライバルになりそうなの…いたかな？
ステさん：ワシも混迷に拍車かかっても驚かないわ。
８．最優秀マイラー ※新設
【投票結果】
第1位 ソングライン 275票 →選出
第2位 ナミュール 11票
第3位 リバティアイランド 5票
第4位 レモンポップ 3票
第5位 シャンパンカラー 1票
ステさん：ワシ的には『誰がスペシャリストなのか』が見えてこない気がする。
カフェさん：リバティアイランドもレモンポップも何か適性の矛先が違う気しかしないようなイメージある。
雪ん子：結局安田記念の連覇でソングラインが押し出されたような選出みたいだし。意外と中距離路線で活躍した馬と配合すれば彼女の仔なら桜花賞か皐月賞あたりとかあっさりクリアしそうだし。かといって姫（アーモンドアイ）のように短距離王者から三冠牝馬ってケースもあるから。
ステさん：何起きるかわからんのう最近の血統事情では。姫みたいに『瓢箪から駒』みたいなGⅠ馬結構いるし。
９．最優秀ダートホース
【投票結果】
第1位 レモンポップ 166票 →選出
第2位 ウシュバテソーロ 126票 →特別賞に選出
第3位 アイコンテーラー 1票
第3位（同数） デルマソトガケ 1票
第3位（同数） メイショウハリオ 1票
雪ん子：票数が同数なら確実にモメる下馬評がこのカテゴリーにはあったみたいだけど案外差がついたじゃん。
カフェさん：ここはJRA実績を最優先させた感じかな。主にダートを走った僕が言うのもなんだけど『国内敵なし』の定義をどうするかによって変わってくると思うんだ。同一年内に国内のGⅠ・JpnⅠを全部となると今年からダート三冠（羽田盃・東京ダービー・ジャパンダートクラシック）の運用もあるので物理的に厳しいところあるけど古馬カテゴリーの完全制覇なら不可能でもなさそうだし。
ステさん：ワシの子孫見て思うんだがダート路線って距離に対する『万能さ』がないと最強にはなれない事情あると思うんだ。カフェさんのように基本『マイルの人』なら相応のスペシャリストになると思うけど、1400mも勝って1800mも勝ってなんて馬が出てきた場合にはもう最強名乗っても不思議はないんだと思うな。
雪ん子：確かこの部門って後日決まるNARグランプリに設定されている『ダートグレード競走特別馬』の選考に関連されるだけに川崎と大井の実績に加えドバイもあるからウシュバテソーロがそこで救済されそうな気がする。マルシュロレーヌちゃんみたいなことになりそう。
カフェさん：レモンポップも盛岡しか実績ないようじゃNAR側の審議委員に認められるのは厳しい気がする。
１０．最優秀障害馬
【投票結果】
第1位 マイネルグロン 279票 →選出
第2位 イロゴトシ 15票
第3位 該当馬なし 1票
ステさん：結局マイネルグロンか。ワシ的には『九州の夢』としてイロゴトシ君に獲らせたかったの心情的にあるんだが。
雪ん子：ここはGⅠでのパフォーマンスが集票につながったたと思う。石神さんがマジック効かせて勝ったような感じあるし、イロゴトシ君も中山大障害回避しちゃったから拍子抜けになった可能性高いし…
カフェさん：ここはレベルアップ必要なところかな。ピョンピョン（オジュウチョウサン）がムーブメント作ってファンが増えたのはいいはずだけど…やっぱりここも『ネクストスター』の育成が必要な時期がまた来ているんだね。
１１．年度代表馬
【投票結果】
第1位 イクイノックス 293票 →選出
第2位 リバティアイランド 2票
ステさん：ワシ的にはここは真っ二つに票が割れてもおかしくなかったんだが。
雪ん子：完全にジャパンカップの『負け方』が響いて地滑り的にイクイノックスが票を食った印象が強いわ。
カフェさん：おそらくJPNサラブレッドランキングで裏付けがあると思うけどそこでの評価がリバティアイランドが来年年度代表馬争いとして巻き返せるかの試金石になるかもしれないね。
ステさん：ファン的にはここは納得に思う方多いんじゃないかな？
１２．調教師・騎手部門（1月4日にJRAの内規により選考決定）
【調教師部門】
最多勝利調教師 杉山 晴紀（栗東） 56勝
最高勝率調教師 木村 哲也（美浦） 0.209
最多賞金獲得調教師 矢作 芳人（栗東） 27億3276万8100円
優秀技術調教師 木村 哲也（美浦）
【騎手部門】
最多勝利騎手 クリストフ・ルメール（栗東） 165勝
最高勝率騎手 川田 将雅（栗東） 0.305
最多賞金獲得騎手 クリストフ・ルメール（栗東） 50億8476万1000円
MVJ 松山 弘平（栗東） 47ポイント
最優秀障害騎手 石神 深一（美浦）
最多勝利新人騎手 田口 貫太（栗東）
カフェさん：思いのほか杉山（晴紀）厩舎勝っていたんだ。てっきり木村厩舎かと思っていたけど。
ステさん：川田君の勝率が岩盤だったな。ルメールさんは勝ち鞍と賞金はがっつり稼いでいたようだし。
雪ん子：ルーキーも田口君が群を抜いていたようなところあるし。ここは騎手経験ある両親譲りなのかな。
カフェさん：松山君のMVJは乗り鞍数で勝負あった感じだし。
ステさん：矢作厩舎は『使いどころ見極めてがっつり稼ぐ』というスタンスが定着したようだし。
雪ん子：石神さんの障害No.1に関してはピョンピョンが去ってもしばらく牙城のところありそうだし。逆転できそうなのもう（小牧）加矢太くんしかいないんじゃないのかな？
ステさん：2人はいろいろ見てて気づいたことはあるかな？わしはリバティアイランドに凱旋門賞勝ってほしい願望だが。
カフェさん：僕はダート三冠路線も開幕するので、『三冠達成→チャンピオンズカップ制覇』による四冠馬誕生かな？
雪ん子：私ねぇ…リバティアイランドに負けた女子たちの巻き返しもそうだし、フェブラリーステークスやチャンピオンズカップに昨年の地方競馬の顔が挑戦してほしいの。あとステさんの言いたいこともわかるわ。
ステさん：ソダちゃんは日本のダート競馬の活性化を課題にしたいんだ。
雪ん子：そうなの。そういう意味では近日中に発表されるNARグランプリの受賞馬の顔ぶれもまた気になるわ。
カフェさん：ダート重賞の改革も始まったばかりだし、それに負けないくらい芝の路線も盛り上がってくれないことには引退した僕らも浮かばれないよね。ステさんの子孫もこれから枝葉がさらに分かれ貢献していくんだし。
ステさん：そりゃそうだ。
3頭の共通展望での認識としてリバティアイランドの凱旋門賞挑戦というシナリオが上がった。あと、3頭の間ではダート三冠路線の本番の幕開けということもあり、ダート競馬への期待が日々高まっていた。加えて雪ん子は牝馬の身だからか三冠牝馬の前に涙を呑んだ馬の中から誰かが巻き返してほしい願いも持っていた。
ウチ的には期待の新種牡馬産駒の活躍もあるが3頭は気付かなかったのかな？それともクラシックのトライアル路線見て様子見でもしようかという感じかもしれない。
これが終わると次はNARグランプリの発表…年度代表馬の予想については3頭とも頭の中では『あの馬』と『あの馬』の二択になっているようだ…