日本の競馬界では(これはJRAでの話だが)ここ最近上位3頭を独占するレースも出てくるほど女性騎手の活躍が珍しくなくなりつつあるが、それ以上に合格自体が難関とされる調教師の世界となると、日本の競馬界全体としてその数は数えるほどしかいない。

 

地方競馬の場合、令和3年度の調教師試験に当時騎手だった宮川真衣(騎手時代の旧姓:別府)調教師が合格し令和3年12月1日で免許交付されたたことに伴い(地方競馬の総体として)7人目の女性調教師が現役として活躍している計算になる。開業後も重賞を制している宮川調教師もそうだが、記憶に新しいところでは1月10日に浦和競馬の入口由美子調教師が開業後初勝利を果たしている。余談で宮川調教師に話を戻すが、最近第1子を出産したこともあり『ママさん調教師』としての活動も開けてくる。女性調教師の場合は人によるが調教と育児との両立もまた克服すべき課題にもなっている。

 

実は、ここ最近女性といえば女性騎手の話題が先行してしまうJRAにおいては、中央競馬の歴史上としてもこれまで女性調教師の誕生というのがない。これまでの男性の騎手の合格ルートが女性にも当てはまるはずだと考えたのはウチのライちゃん(ライスシャワー)。ちょうど、女性調教師の誕生ルートに関してクロ美(クロノジェネシス)が疑問を持っていたらしくそれに答える形になった

 

 

 

 

クロ美(クロノジェネシス):地方競馬って女性調教師がちょこちょこ誕生しては勝利を挙げているみたいだけど、JRAって長年男性中心の厩舎社会だったから女性調教師っていないよね。

ライちゃん(ライスシャワー):そうだな。昔にも女性騎手っていたけど引退が早かったりして調教助手になっても調教師試験の受験に繋がっていないところあるんだな。

クロ美:たぶん男性調教師が受かるルートって女性にも当てはまると思うんだけど、どういうルートだったっけ?

ライちゃん:まずは騎手を起点にした場合を考えよう。騎手免許期間中に調教師試験を受験し合格する方法。最近受かった(福永)祐一さんはこの方式。現役騎手からの合格というのも難しい話で騎手免許更新に比べれば難易度も高い。もう一つのルートは調教助手の身から調教師試験に合格する方法。こっちの手段がどうしてもオーソドックスになりやすく、その調教助手になるにも騎手引退からの転向か競馬学校の厩務員課程に入学し調教厩務員としての実務を重ね調教助手に進むやり方。厩務員課程に女性が入るのってレアっぽい話ではあるし、騎手から転向して調教助手になっている女性も(ゾウたん調べで)2人しか確認できていないし、その2人が受験・合格しないことには女性調教師の誕生も厳しい気がする。

クロ美:思いのほか難易度高いんだねJRAの女性調教師って…

 

 

ここに加えて『女性調教師がJRAで初勝利を挙げるならどんなシチュエーションになるか?』という疑問をリス子(リスグラシュー)がぶつけてきた。

 

 

 

リス子(リスグラシュー):ライちゃんとクロ美ちゃんの話聞いてたけど、JRAでの女性調教師の誕生のルートってかなり教科書的なんだね。それはそうと、地方の女性調教師がJRAで勝利挙げるとしたらどんなシチュエーションかな?

ライちゃん:これも実は教科書的なんだよな…手っ取り早いのは管理馬を特別指定交流競走に出走させ勝たせることかな。特別指定交流なら1勝クラスからあるはずだし、調教後の輸送とか外厩とかクリアさせれば不可能ではないはずだぞ。

クロ美:あと、出走資格を満たせばの話になるけど、能力的にチャレンジが効けばJRAのダート重賞に登録し出走資格を獲得して勝ち星挙げるというのもあるわ。今のところJRAのダート重賞自体がダートグレード競走扱いで地方所属馬の挑戦が可能になっているし、やる気のある調教師にすれば(勝つ)ハードルは高いけど夢もあって不可能ではないと思うわ。

 

リス子:それでも最近JRAで女性騎手が上位独占という出来事も2回あったり、着々と勝ち鞍重ねる騎手は多いし、2人の女性調教助手が受かったタイミングで女性調教師の誕生って決定的だし、何か女性騎手以上の脚光浴びてもおかしくない気がするわ。

クロ美:宮川調教師誕生の際、競馬エイトのトラックマンの方が、それらしき期待をちょこっとコラムに書いていたらしいわ(リンクを貼る)。

 

ライちゃん:そういう期待が膨らむとなると、もう競馬界というかJRAの悲願になるのはすぐそこだろうね。さすがにJRAも女性活躍に力入れるゆえ、騎手もそうだけど厩務員養成から女性に門戸を開いてくるような気がして楽しみだな。トレーナーとして男女が対等に渡り合えるのもお父ちゃん期待しているよ。

 

ライちゃん:ところで…

リス子・クロ美:お父ちゃんどうしたの?

ライちゃん:女性騎手って最近の競馬ニュースとしては脚光浴びやすいけど、『女性調教師』となると急に扱いが薄くなっていると思うんだお父ちゃん。JRAで女性調教師誕生する前に、地方競馬の段階から女性調教師がスポットライト浴びてもいいと思うんだ。2人ともどうすればいいのか思いつくかな?

リス子:それね~。NARも『LADIES JOCKEYS』と同じ力の入れ方で『LADIES TRAINERS』って感じで女性調教師の特集サイトって組んでほしいのあるわ。

クロ美:リス子さんに繋がるやり方ではグリーンチャンネルの『アタック!地方競馬』あたりで『頑張る!女性調教師』的な集中企画組んだ方いいと思う。そうでもしないと中央地方問わず『調教師になりたい!』って女性が出てこない気がしてなり手不足に繋がりかねない気がするのね。

ライちゃん:女性騎手もそうだけど、女性調教師がもっと脚光が浴びてもいいと思うんだお父ちゃん。

 

3頭の話は、調教師になるルールをわかっている人であれば推測がつき、JRAでの勝利もお分かりになられている方が多いと思うが、ウチのお馬さんには『女性特有の何か』があるような気がしていて理解に苦しんだ部分があった。そこをライちゃんが教科書的と説明することでクロ美もリス子も咀嚼できたような感じであった。あと、女性調教師の活躍をピックアップできるサイトの必要性も3頭は感じていたようである。

 

将来的にJRAの新規調教師試験の合格者に女性の名前があった際、3頭どころかウチの牝馬たちがみんな狂喜乱舞しそうな感じがして、合格→初勝利のシナリオを辿った際に競馬界の進歩を感じることになるのだろう…ウチも微かな期待は胸に抱いておきたい。